初めてのバトルで 蓮、美桜version
『うわぁー、前の世界にはいなかった動物?とかが沢山いるよ!毛も、もふもふしてる!』
と、美桜が楽しそうに言ってくる。
この発言だけ聞いたら、異世界の森で可愛い生物と触れ合っていると思うだろう。しかし、
『何を言ってるんですか。私達は、1度も戦ったことがないのに、獣のような生物に囲まれているんですよ。もう少し危機感を持ってください。』
そう言って椿が美桜を叱る。
椿の発言からも分かるように、俺達は今、獣のような魔物に囲まれている。ちなみに、魔物だとわかったのはその生物が口から火を吹いていたからだ。
『口から火を吹くとか恐竜みたいだね。』
と楓がみんなに言う。
『そうだな笑。じゃあ、そろそろ各自スキルを試してみるか。まあ、初めての事だから、俺と美桜のペアと楓と椿のペアで一体ずつ相手していくか。』
俺は、リーダーとして指示を出した。
じゃあ、まずは俺から攻撃するか。
『夜眼』
『超速思考』
『身体強化』
そう言ってスキルを発動する。
すると、勝つ為の考えがかなりのスピードでまとまっていく。これは『超速思考』の効果だな。また、足が速くなったり、腕などの力が強くなった気がする。これは『身体強化』の効果だと思う。『夜眼』は効果が出ないな。しょうがないから、『夜眼』は無しで戦うか。
俺は、力の強くなった拳を使って殴り、獣の魔物の気を引いた後、美桜に目配せをした。
美桜は頷くと、スキルを発動した。
『人形製作』
『超速思考』
『自動回復』
そして、美桜は魔法の詠唱を始めた。
『我、美しき桜の力を宿す者の命令だ。人形よ、我の忠実な部下となり、あの、獣を喰い尽くせ。』
そう言うと、ツギハギの多いクマのぬいぐるみが出てきた。そのぬいぐるみは、獣の魔物に向かっていき、柔らかそうな手で1回殴った。俺は、あの感じじゃ攻撃にならないのではと思ったが、クマのぬいぐるみは一撃で獣の魔物を仕留めて消えていった。
『スキル解除』
俺と美桜はそう言って戦いを終わらせた。
俺は、魔物がやられる時に落ちたアイテムを回収し、美桜に駆け寄った。
『美桜、凄いな。カッコよかったぞ。』
俺が褒めると
『えへへー。お兄ちゃんに褒められるの大好き!もっと褒めてー。』
と美桜は可愛い声で言ってくる。
『よしよし、よく頑張ったな。ところで、あのクマのぬいぐるみは、なんで一撃で獣の魔物を仕留められたんだ?』
と俺が聞く。
『あのぬいぐるみには、美桜の魔力がこもってるからその魔力で攻撃したんだと思う。スキルのおかげかな。』
美桜はそう言うが、俺はスキルだけの効果ではなく美桜の魔法の適正能力の高さもあるのでは…と考え、感心した。
『まぁ、何はともあれ勝てて良かったな。』
俺が笑顔で言うと、美桜も
『うん!お兄ちゃんと私の連携プレーだね。』
と言い、笑顔で頷いた。