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大分更新が遅れて申し訳ありません。もう少しで完結ですのでお付き合いください。

 私とセシリアの力は相反するものだ。闇は光を、光は闇を中和する。お互いに致命傷を与えるのは難しい。嫌でも戦いが長引くのは目に見えていた。どうする?しかも、セシリアの光は強大だ。私に勝ち目はあるのだろうか。


 そこまで考えて、ふと気づいた。これは私が勝つための戦いじゃない。そうじゃなくて、セシリアを変えるために戦うのだ。このままじゃ、セシリアが哀れすぎる。セシリア自身は否定するだろうが、何となく分かる。セシリアの心は悲鳴を上げている。周囲の期待と自分の心。そこに乖離があるのは明白だった。


 「なにボサッとしてんのさ!こっちから行くよ!アロー!」


 セシリア熱線を矢の形にして幾本もこちらに打ってきた。


 「ダークウォール!」


 私は闇の壁でそれを防ぐ。しかし、何本かは壁を貫いて私に迫ってきた。私はそれを身をよじって避ける。やはり……とてつもない強い光!こちらも全力で行くしかない!


 「ダークバインド!」


 セシリアの後ろに幾つかの重力場を発生させ、動きを止める。しかし、


 「こんなんじゃあ、私の動きを止められないよ!」


 セシリアは事も無げに、束縛を引きちぎる。


 「本気を出してみなさいよ!まだまだあんたの力はこんなもんじゃないでしょ!」


 そう、確かにセシリアの言う通りだ。私は本気で戦ってはいない。私の本気は相手の生命エネルギーを吸い取る技だ。しかし、セシリア相手にそれを使う気にはなれなかった。セシリアを殺してしまうつもりもない。どうすれば……


 「ごちゃごちゃ考えてる暇はないよ!」


 セシリアは容赦なく攻撃を仕掛けてくる。それを私は躱す。そんな攻防が続く。くそっこのままじゃじり貧だ。……はっ、もしかしたら。やってみたいことができた。


 「セシリア、あんたのほんとの心を見せてもらうわ」


 「何を言ってるのか分かんないよ!そんな暇があると思ってんの?」


 私は、特大のダークボールを作ると、空に打ち上げた。そして、


 「吸引!光!」


 そう。生命エネルギーじゃなくて、光を根こそぎ吸い寄せる。光を吸い寄せるのだから、周りはあっという間に暗くなる。セシリアの放つ光も徐々に吸い寄せられていく。


 「くっ、これは……!」


 セシリアから光が無くなっていく。私は見たかった。光に覆われていないセシリアを。何物でもない、素のセシリアを。やったことはなかったが、私にはできるはず。そう、吸い取れるのは生命エネルギーだけではない。ただの重力を発生する力でもない。私に与えられたのは、「何かを一点に集める力」それが、」闇として顕現しているだけなのだ。


 光を吸い取られているセシリアは必死に抵抗している。だけど、その先にあるものが私には分かっていた。いや、そうであるはずなのだ。それを確かめたかった。より吸引の力を強める。


 「そ、そんな……私の……光が……」


 セシリアの力は私より強いかもしれない。だから、もっと強大な光であのダークボールを消失させることもできるのかもしれない。だけど、幸運なことにそこまでセシリアの考えは及んでいないかった。吸い寄せられる光に執着していた。自分の持つ光が、本当に自分の物ならばきっともっと強大な光で対抗したはずだ。だけどそうしないということは……!


 「くっ……!ぁああ……!」


 もがきながら必死に抵抗を試みるセシリア。だが、それも、もう終焉だ。私は最大限まで光の吸収を強めた。周囲は勿論真っ暗だ。暗闇の中でセシリアは一人であがいているのだ。恐らく生涯で初めてのことだろう。だけど、この先にあるもの、それを見つめなければ。


 そして……光が消えた。私のダークボールの及ぶ範囲の光は全て吸収された。周囲から見たら真っ黒な球体に見えることだろう。


 その中心に私とセシリアはいた。セシリアはうずくまっていた。肩で息をしながら膝を付き、こちらを見上げていた。私は私の周囲の光だけは吸引せずに残していた。だから、私の姿だけははっきりとセシリアにも見えるはずだ。


 「……はぁはぁ、あんた、何がしたいのよ……!」


 セシリアは私に問いかける。


 「……私は、本当のあなたが見たいの。今までのあなたじゃなく」


 「本当のうち?そんなもんみせてんじゃーねーか……はぁはぁ……」


 「違う。あなたはまだ偽っている。私がそうだったように。誰からも愛されたことのない私だけど、誰からも愛される孤独は何となく分かる。もし、自分がこの人たちの期待を裏切ったら……何か不始末をしでかしたら……愛されなくなってしまうんじゃないか。そんな孤独は少し分かる」


 「……はっ、そうだよ。だからこうして誰もいないとこでは素の自分を出してんじゃねーか……それで満足じゃねーのかよ……」


 「それも違う。あなたは自己防衛のために強がって見せているだけ。本当のあなたは……もっと……儚くて……もろくて……」


 言いながら涙が出てきた。私に重なる部分があることがそうさせるのかもしれない。いや、それよりももっとつらい環境を生きてきたセシリアを思うことが私に涙を流させているんだ。


 「ねえ、もう強くなくていいんだよ……?愛される存在じゃなくていいんだよ……?私は友達だって……その言葉は変わらないよ……?だから、その荷物を降ろして、ただの人になりなよ……」


 その言葉を聞いて、セシリアは肩を震わせた。泣いていたのかもしれない。それを私はぎゅっと抱きしめた。抵抗されるかもしれないと思ったけど、素直に私の胸に顔をうずめた。そして……泣いていた。





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