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更新が遅くなり、ご迷惑をおかけしました。これからは定期的に更新していきますので、引き続きよろしくお願いします。

 私が見たものは、横たわる王子と、その傍らに立つセシリアだった。


 「無事……だった……?」


 私が訪ねるとセシリアはこともなげに言う。


 「この程度の男にうちの貞操を奪わせる訳ないっしょ。こいつ、多少魔法は使えるみたいだけど、大したことなかったよ。人払いをしてもらって、2人だけになったら、うちにかなうわけないでしょ。ちょっと痛い目を見て貰ったよ」


 私は心の底からほっとした。私の目の前で連れ去られたときはどうしようと思ったが……それにしてもこれは王子のスタンドプレーか……?何か入れ知恵をした奴がいる気がする。あの大臣だ。


 「ねえ、セシリア。私どうしても王子が独断でこんなことするとは思えないんだよね。あの大臣辺りが王子に吹き込んだんじゃない?」


 思ったことをそのままセシリアにぶつけてみる。するとセシリアも同意した。


 「だろうな。こいつはちっと許せねえな。どうすっか。ってかこんだけ証拠を残してくれたんだから、こちらが優位に立っているのも事実だ。これを機に……」


 「これを機に……?」


 「いや、なんでもない。とにかく大臣の奴をとっつかまえて聞いてみるか」


 「とっつかまえて聞くのはいいんだけど、どこにいるか分かんの?」


 「うーん、どこにいるか調べるのは簡単だけど、でもよく考えてみたら、ちょっと裏を取っておきたいな。こいつを起こして口を割らせるか」


 そう言ってセシリアは倒れている王子を見る。確かに今の段階では推論でしかないわけだから、何かしらの確証が欲しいのは確かだ。しかしそう簡単に口を割るかな……?


 セシリアはそんな私の考えをよそにつかつかと王子に近づき、胸倉を掴んで2~3発平手打ちをかます。


 「う、う~ん……はっ、ここは?」


 とぼけた声を出して王子が目を覚ます。そこにセシリアがドスの利いた声で話しかける。


 「わたくしの貞操を奪おうなんて、百億年早いですわよ。王子はなぜこのような蛮行に及んだのですか?裏に誰かがいるでしょう?教えていただけないかしら」


 口調と声の雰囲気が合っていないため、めっちゃ迫力がある。


 「い、いや、それは……」


 口ごもる王子。しかし、セシリアは容赦なく追い詰めていく。


 「どうしても言いたくないというのでしたら、先ほどのようなことになりますが、よろしいですか?」


 「ひっ、分かった。言う。言うからやめてくれ」


 「やっと素直になってくれましたね。一体誰の差し金ですか?」


 「……大臣が、この国にはセシリア王女がどうしても必要だ、そのためには既成事実さえ作ってしまえば問題ない。見事王女をこの国に迎え入れることができたら、民衆はみな私を讃えるだろうと……」


 「よく分かりました。でも王子。そんな私利私欲のためにわたくしの貞操を奪おうとしたことに対して、罪悪感はなかったのですか?」


 「そりゃあ少しはあったけど、でも大臣の言うことももっともだし、それに私の魅力に魅せられない女性は居ないと思って……」


 とんだナルシスト野郎だなこいつ。セシリアじゃないけど私も何発かぶん殴ってやりたい。そもそも私にしたこともいつか償ってもらわないと気が済まない。


 「あなたは自分が思ってるほど魅力的ではありませんよ、セシル王子。以後はもう少し自分をわきまえて暮らすことですね。……さて、それでは、大臣の部屋に案内してもらいましょうか」


 唐突に切り出したセシリアの言葉に王子は面食らう。


 「えっ、なぜそんなことを……」


 「決まっております。直接話をするのです。王子にこのような無礼を働かせた張本人にも責任を取ってもらわなければいけないと思いますので」


 王子はしばらく迷っていたが、断るという選択肢がないことに気づいたようだった。


 「……分かった、付いてきてくれ」


 王子の案内で私たちは大臣の部屋まで来ることができた。


 「では、王子、大臣に事は全て終わったから部屋を開けてくれるように頼んでください」


 セシリアの丁重な命令に渋々従う王子。


 「大臣、私だセシルだ。全てことは済んだ。ここを開けてくれ。話がしたい」


 程なく扉が開く。


 「これはこれはセシル王子。さすがですな。さっお入り下さ……なっ」


 扉が開いた瞬間に、私とセシリアがさっと部屋に入り込む。


 「さあ、大臣様。そこの扉をお閉めになって下さい。ゆっくり話をいたしましょう」


 またドスの利いた声でセシリアが言う。大臣は何かを察したのか、部屋の扉を閉める。


 「さて、これで役者は揃いましたね。それでは大臣様聞かせていただけますか、なぜセシル王子にわたくしを襲わせたのか」


 しばらく大臣は沈黙のままだったが、やがて口を開いた。


 「全てはこの国のためだった。この国では今光を欲している。そのためにもあなたの力がどうしても必要だったのだ」


 「嘘ですわね。綺麗ごとを並べれば納得するとでも思ったのですか?そんなことは絶対にないので安心して下さい。本音を聞かせていただけますか?」


 「嘘じゃない!私はこの国のため……」


 「どうしてもそう主張されるのですね。本当は裏でこの国の実権を握るためでしょう?セシル王子が見事に私を手中に収めたとして、それは誰が聞いても容認できるやり方ではない。それがセシル王子にとっての弱みになる。しかし、それを知っているのは自分だけ。だから、セシル王子がこの国の王座に暁には自分が実質的なこの国支配者になれる……そんなところでしょう」


 図星を突かれたのか、大臣は何も言えなくなってしまった。


 「この埋め合わせはきちんとしてもらいます。明日、民衆を広場に集めて下さい。わたくしからひと言この国の民に挨拶させていただければ、今夜何もなかったことにしましょう。もし、それができないとなれば、私は即刻オーリスに戻り、事のあらましを全て報告します。するといくさは避けられないでしょう」


 「……分かった、それで今日のことはなかったことにしてくれるのだな」


 「ええ、約束いたします」


 話はまとまった。とんとん拍子に明日、セシリアが民衆の前で挨拶をすることになった。この時私もセシリアが何を考えているか分からなかった。しかし、明日、それが明らかになった時、私はセシリアの怖さを身をもって知ることになる。


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