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 ケルトと私がたどり着いたのは、洞窟の前だった。


 「とりあえず、ここに潜れ。この中は階層構造になっていて、下に行けば行くほど、強い魔物が出てくる仕組みになっている。逆を言えば上の階の敵は大したことねーってことだ。どこまで行けるかは、お前次第」


 ダンジョン……ってやつか。何となく聞いたことがある。ゲームの世界ではメジャーな存在だけど、実際にそういう場所があるなんて……つーか、魔物までいるなんて何て星だよ。ここは。


 「とりあえず行ってみるけどさ……実際どの位まで潜れば良いわけ?」


 「そうだなー。今のお前なら10階位か?40階位までいけるようになったら俺が相手してやるよ」


 「40階ね……で、私がここに入ってる間、あんたは何してんの?」


 「寝てる」


 素でぶんなぐろうと思った。おいおい!こんな得体のしれないところに入れっつといて、自分はなんもしねー気か、こいつは!大体何か必要な道具とかあんだろ!


 「あんたさー、ちょっと無責任じゃない?私、ここがどんなとこで、どんなのが居て、何が必要なのか全く分かんないんだけど!」


 「あー、じゃあ、せめてもの激励として、松明とバッグパック位くれてやるよ。ほれ、持ってけ」


 そういうと、ケルトは私に松明一束と、バッグパックを私に投げてきた。私は仏頂面でそれを受け取る。バッグパックの中は空ではないようだ。それなりに重みがある。


 「こん中何が入ってんの?」


 「それはお前が自分で確かめろ。自分で調べて何をどう使うか考えろ。っとそれから、死にそうになったら一回戻ってこい。お前に死なれると色々面倒くさそうだからな」


 だったら付いて来いよ!という言葉を私は奥歯で噛み殺し、バッグパックを背負う。全て私が弱いのが悪いんだ。ここで修行して強くなるんなら、やってやる。


 「分かった。じゃあ、とりあえず行ってくるわ。一気に40階まで行っちゃったら、すぐに相手してよね」


 「そんときは……な。ただ、あんまり甘く考えねー方がいいぞ。今お前が40階の魔物を相手にしたら、100死ぬから」


 あくまでも軽く言いやがんなーこいつは。まあいい、もう期待しない。私はケルトに踵を返すと、洞窟へと入っていった。





 洞窟はしばらく一本道だった。どんどん入口の明かりが暗くなっていく。私は歩いて進んでいたが、ここからは松明が必要になりそうだ。私は火の魔法が使えないので、火を起こすしかない。何かないかとバッグパックの中身を探る。ぱっと見て使えそうなのは……この石かな?何か赤い宝石のような石がある。いかにも火の魔法が込められていそうだ。私は、石を手に取ると、念じてみる。ビンゴ!宝石はメラメラと燃え出した。


 「あちっ」


 宝石を持っていられなくて私は落としてしまった。それでもまだ炎は消えてはいなかったので、それを使って松明を灯す。これで席に進める。私はどんどん奥に歩を進める。歩きながら考える。なぜ私は負けたのか。何が足りなかったのか。まず敗因の一つは魔法を同時に2種類使えなったこと。そして……弱かったこと。あの負けたときの記憶を思い出し、ぐっと奥歯をかみしめる。絶対に強くなってやる。


 「ぎぃっ」


 突然目の前から、妙な鳴き声が聞こえた。何だ?確認するために私は松明を前方に向ける。見ると馬鹿でかい蝙蝠がいた。通常の蝙蝠の10倍はありそうだ。どうする?これ多分、魔物の一種類だよね。とりあえず戦ってみるか。


 私は、松明を床に置き、構える。超でかい蝙蝠~後にジャイアントバットという名前だと判明する~は、私目掛けて、飛びかかってきた。間一髪で私は横に避ける。肉食か?吸血系か?どちらにせよ、私を獲物だと思っているらしい。さて……どうするか。とりあえず、ぶん殴る!


 「フィスト!」


 私は巨大蝙蝠に向かって拳を突き出す。しかし、蝙蝠はあっさりと空中に逃れる。ちっ。私も空中に……って同じか。素早さは向こうの方が上みたいだ。こういう時、有効な魔法……。リバースフィストでこっちに引き寄せるか?いやだめだ。今の私の魔法の精度じゃ、周囲の岩石まで引き寄せてしまう。ってかそう考えると基本私、接近戦用の魔法しか使えない!私は愕然とした。こんな何でもなさそうな蝙蝠一つに苦戦するの?私。


 「あ」


 そうだ、私も接近戦用じゃない魔法を使ったことがあった。ギブソンに使ったやつ!私は蝙蝠に慎重に狙いを定める。


 「クラッシュ!」


 ぶっつけで、脳内経由ではなく使ってみたけど、上手くいった!蝙蝠は苦しみながら、内側につぶされていく。


 「ぎぃいいい……」


 そのまま、蝙蝠はただの肉塊になる。ふう。一発目でこれかー。先が思いやられる……でも、進むしかない!


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