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 ケルトと二人になった私は早速、戦いの構えを取る。しかし、ケルトがそれを制止した。


 「ちょっと待ちな、ルカ。お前、戦い方かなりの自己流だろ。」


 「そうだけど、何よ。」


 「あんな、俺ら魔法使いってのは、魔法が戦いの基準にあるべきなんだ。お前は魔法を身に着ける前の自己流の格闘術の癖が強い。格闘と魔法が上手く融合していけば戦闘レベルも上がるが、今のお前は格闘と魔法がばらばらだ。それじゃあ、何度やっても俺には叶わねーよ」


 「やってみなきゃ分かんないじゃん!勝手に決めつけないでよね!」


 正直、こいつがあのギブソンより強いとは思えない。ちゃらちゃらしてるし、体も細い。そんな奴に私が負けるとは思えなかった。


 「んー。じゃあ、とりあえずかかってきてみ?秒で返り討ちにしてやっから」


 その言葉にカチンときた私は、返答もせずに向かっていく。とりあえず、あいつの顔に一発入れたい。


 「フィス……」


 あいつの顔面に、拳をたたき込もうとした瞬間、私は後ろに吹き飛ばされる。いや、後ろからの引力に吸い寄せられたと言ったほうがいいか。あいつは、いつの間にか私の後ろに闇を発生させ、その引力で私の足を止めたのだ。


 「ほらな?生憎だが、それじゃあ俺に近づくこともできねーよ」


 くそっ、私はあいつの闇が開き序されると同時に、再びあいつに向かって駆ける!今度こそ!


 しかし、結果は同じだった。さすがに3度も同じことはしない。


 「どういうことよ……」


 「お前は、攻撃にばかり目が言っているが、移動とか防御で魔法を使いこなせていない。闇魔法ってのは少し特殊だが、使いこなせれば、色んな用途がある。とりあえず、そっから教えてやる:


 確かに、私は攻撃一辺倒だったかもしれない。そのあの思い付きで防御や移動に使っていたが、それではあいつに近づくことすらできないってことか……


 「いいわ。教えて頂戴。あんたがどんな風に魔法を使うのか」


 「ったく、謙虚じゃねーなー。まあ、そういう性格も嫌いじゃないぜ。いいか?魔法ってのは、自分の行動すべてを補助する役割に使えるんだ。少し頭を使えば分かると思うが、例えば星の引力と反対方向に引力を持つ闇を自分の中に発生させるだけで、体が軽くなり、移動スピードが上がる。防御は……お前も戦闘で使っていたらしいが、相手の攻撃と反対方向の重力場を発生させれば、攻撃を受けないか、ダメージも軽くすむ」


 確かに的を射ている。ってかこいつ私の試合を見てたのか?その割に私の容姿を見て驚いていたけど。


 「あんた、私の戦いを見てたの?」


 「見なくても分かるさ。お前の攻撃の仕方。格闘センス。どの程度まで魔法が使えて、どの程度使いこなしているか、一目見れば大体分かる」


 ……こいつは意外に凄い奴なのかもしれない。あのバルクのおっさんが連れてきてくれただけのことはある。ここは素直に言うことを聞いておこう。


 「で……私は、何から始めればいいの?」


 「そうだなー。俺と戦うまでは、もう少し掛かりそうだから……とりあえず、魔物と戦ってもらうか」


 「魔物?何それ?見たことないんだけど」


 「お前この星で暮らしてて、魔物も見たことねーの?城の周辺には確かに、護衛もいるし近づいて来やしねーけど、そこら辺にうじゃうじゃいるぜ」


 「つまり、ゲームみたいにレベルを上げろってこと?」


 「正解。お前は実戦で伸びるタイプだから、実戦を重ねた方がいい。ある程度経験を積んだら、俺が直々に相手をしてやるよ」


 「分かった。とりあえず、あんたの言うことを聞いて、何でもやってみる」


 「それと、お前の中で、まだ眠っている力があるだろ?それを使えるようにならねーとな」


 眠っている力?バルクのおっさんが言ってた、人の生命エネルギーを吸い取る……ってあれのことか?


 「私は、その眠っている力で、周りの草原を枯らし、バルクのおっさんを殺しかけたことがあるの。できれば……使いたくない」


 「そんな悠長なこと言ってっと、お前が死ぬぞ。いいか、この前の試合みたいにお前の生命が保証されている戦いなんて、他にあるもんじゃない。本当の戦闘になったら、生きるか死ぬかだ。死んだら王女も守れねー。それに、お前の持てる全ての力を使えるようになんねーと、あいつ……ギブソンには勝てねーよ」


 ギブソン……その名前を聞いただけで、私の胸が熱くなる。もう負けたくないという思いが、ふつふつと湧いてくる。


 「……いいわ。やるだけのことはやる」


 「よし、じゃあ場所を変えるぞ。あ、基本俺は後ろで見てるだけだからな。頼りにすんなよ。アドバイスはしてやるけどな。あと、この程度で死ぬんじゃねーぞ」


 「やってみなきゃ分かんないけど、死ぬわけにはいかないのよ、私は」


 ふん、とケルトは鼻で笑うと、「付いてこい」とだけ言ってすたすた歩き始めた。私もそれに続く。魔物何か見たことないけど、どんなのが出てきても……やるしかない。


次回の更新はリアルの関係上一日遅れます。なるべく早く上げるのでお待ちください。

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