表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/51

15

 さて、どう攻めようか……私が考えあぐねていると、向こうから先手を打ってきた。


 ギブソンは、遥か高くジャンプした。恐らく風の力で自分の体を持ち上げているのだろう。そこから。


 「スラッシュ!」


 先ほどの風の刃より大きな烈風が私を襲ってきた。しかも、一個や二個じゃない!上空からかなりの数連射してくる!どうする?受けるか?躱すか?つっても受けようがないか。


 「リバースグラヴィティ!」


 私も上空に重力場を発生させ、高く飛び上がる。大きな風の刃が幾重にも連なって地面を切り刻む。私があそこにいたら、バラバラ死体の出来上がりだ。殺す気で来てんのか?


 ……いや違うな。この試合は私を殺す目的のものではない。この位の攻撃躱せて当然と思っているということか。信頼されてるなー、私。


 しかし、私は空中戦は経験がない。ここは攪乱戦法で行くか。私は一旦地面に降りる。


 「ドーム!」


 私は相手の周囲に闇を発生させ、相手の視覚を奪う。これで、飛び道具は打ちづらくなったはずだ。私はギブソンの真下に走り出した。このままグラヴィティで叩き落してやる!……だが、あと一歩のところで、私の本能的な感覚が危険を察知した。私は、咄嗟に軌道を変える。


 刹那、風の刃が私の横をすさまじいスピードですり抜けていった。冷や汗がにじむ。何で私のいる方向が分かった?すると、闇の中から声が聞こえる。


 「私から視覚を奪っても無駄だ。私は空気を操る。音や声も空気の振動だ。それらを頼りに相手の位置を把握することなど容易い」


 ……わざわざ解説どーも。くそっ、地面で移動したり、技名を叫んだりすればどうしても音が発生する。それでギブソンは私の位置を知れるってことか。どうすっか……私には飛び道具がない。いや使いようによってはあるんだけど、練習してない。でもそんなこと言ってらんないな。実戦で試してみるか!


 私は、少し落ち着いて自分の昔を振り返る。辛かった過去。嫌だ思い出したくない。その感情を闇に変える。私は右手を差し出すと、ドームの中心にいるギブソンに直接重力場を発生させる。「クラッシュ」とでも名付けようか。重力場の中心となったギブソンは恐らく自分の体の中に発生した重力場に押しつぶされていく……はず。


 何度も言うが私は2つの魔法を同時には使えない。これも練習しておかなかったことが悔やまれるが、今はそんなことを考えている余裕はない。私のクラッシュによって、ドームが解除されギブソンの体が眼前に現れる。ギブソンは苦悶の表情と、うめき声をあげていた!いけるか?


 「ぬうううううう!」


 ドスの利いた声で、重力に押しつぶされまいと、必死に耐えるギブソン。私はさらに重力を上げる!


 「はあああああああ!」


 これで決まってくれ!だがそう願う私の気持ちもむなしくかき消される。


 「ぬううう!……はああっ!」


 なんとギブソンは私の重力場を吹き飛ばした!とんでもねー奴だ!しかし、ノーダメージではないようだ。肩で息をしている。チャンス!


 「リバースグラヴィティ!」


 こうなりゃ特攻だ!私はギブソンの方向に重力場を置くと、勢いよくそちらに向かって飛ぶ!


 ギブソンも反応しようとするが、わずかに遅い!私の飛び膝蹴りがギブソンのあごに命中する!


 「ぐっ!」


 よし、利いてる!そのままギブソンから距離を取り、もう一度特攻!


 しかし!


 「なめるなぁ!」


 とんでもない風量の風が私の上空から襲ってくる!


 「くはっ」 


 たまらず、私は地面に叩きつけられる。重力場が上にあるお蔭で、ダメージはそんなにないが……立ち上がれない!


 まずい!ここでリバースグラヴィティを解除したら、一気に上空からの風に押しつぶされてしまう。しかしこのままなら風の刃に切り刻まれてしまう!どーする私!?



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ