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白雪姫が目を覚ますまで。  作者: 柊玲雄
52/53

51*何も知らない子

中学生の女の子たちは、きゃぴきゃぴの女子で青春真っ盛りだ。

あの子がどうだとか、あの子とあの子はできているだとか、たまには性の話にまで発展していた。

毎日お菓子を作ってくるし、色気づいている子はお化粧をしているし、流行りの洋服にすごく詳しいし、流行りの場所にも詳しい。

けれど、私はそのどれも分からないし知らないしで、女の子たちが騒いでいる様子をただ呆然と見ていた。

そんなことをしていたら、いつのまにか、私は世間離れした何にも知らない何にもできない子になっていた。


「ま、中学生なんてそんなもんちゃうの?」

「周りの子は…もっと大人でしたよ」

「ほんなら、それは周りが色気づいとるだけや。あんな?白雪」


先生は歩き出しながら、すごくすごく、優しい声音で話し始める。

こちらを向いていないのに、優しい表情をしていると推測できるくらいに。


「人間、年相応っちゅーのが一番ええんや。わざわざ背伸びせんでも、時間が大体解決しよるんやで」

「…年相応って、何が基準なんですかね」

「なんやろなぁ~、それ言い出すとむずかしいな。限定してまうけど、中学生やったら友達と健全な遊びするんが相応なんちゃうんかな」

「そうですかね…」

「メイクなんかオバハンなってからでええねん。素がかわいいうちは素がええ」

「…恋愛は?」

「人によりけり。俺は何かと手が早かったけど、慎重な奴は育んでから言葉にするし、興味無いやつも仰山おる」

「そうですかね…」

「そういうことにしとけ。考えたところで昔は昔や」


先生は話を打ち切ると、携帯を取り出して地図を見始める。

廃倉庫の場所を確認しているのだろう。


「だいぶ住宅地の方なんやな。白雪、ここどの辺かわかるか?」

「えっと…ここだと、まだ先です。私の実家がこっちなので、それより先ですね」

「実家通んの?やったら、寄ってくか」

「え?!」


全く予想していなかった発言に、私は思わず立ち止まった。


…お正月からそんなに日も経ってないし、なにかあったのかって心配されたらどうしよう。それで実家に連れ戻されたりしたら…


「い、いや、寄らなくていいです!行きましょう、すぐに!」

「いや、寄る。事情直接聞けるかもしれへんやん?」

「でも…!!うちの親、勘違いしやすくて!実家に引き戻されたりしたら…私…」

「白雪」


先生は立ち止まって振り返ると、真剣な表情をした。

先生の真剣な表情は、喉が少しヒュッとなる。


「もう白雪はできひん子ちゃうやろ?」

「…わかりません」

「知ろうとしたやん、ちゃんと。現実見ようとしたんちゃうの?」

「そう、ですけど…」


だからって、それが両親に伝わるわけじゃない。伝わらなくて、勘違いされて、大好きなみんなと離れてしまったら、私はどうすればいいんだろう。


そんな思いで黙り込んでいると、先生は一つ、深いため息をついた。


「はぁ…。そうや、すまん。白雪を責めるんはちゃうな。やっぱご両親に会いに行くわ」

「先生!!!」


やめて!と先生の腕に飛びつけば、先生は微動だにせず、むしろ落ち着いて私の頭に手を置いた。


「白雪。…ご両親のこと、怖いんちゃうか?」

「え…いや…」


…どうしてハッキリと否定できないんだろう。

両親には、感謝している。私を大切に大切に育ててくれたから、あたりまえだ。

でも…私は、両親のことを真剣に考えたためしがない。むしろ考えないようにしていた。


異常なまでに守られてきたから、きっと触れてはいけない「何か」があるのだと。


「ま、直接聞く方がええやろ。心配せんでも、連れ戻されそうになったら俺が迫真の演技で強行突破したるわ」

「迫真の演技なんてできるんですか…」

「まかしときいや、なにわの男は万能やさかい」


そう言いながら、先生は楽しそうに笑ってまた歩き出す。


…これもきっと、向き合わなきゃいけないことなんだよね。


逃げないと決めた以上、もう腹を括るしかない。


私は先生の後ろをただひたすらに歩いて、実家へ向かった。

みなさんおはようございます、柊です。


みなさん少しお気づきかも知れませんが、伊野先生、ナチュラル~な子大好きです。なのでお化粧とかしてない高校生にぐっとくるタイプ。

教師としてどうなんでしょうね、そろそろポリスメン呼びましょうか。


次回は白雪brothersの登場です。

お楽しみに!

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