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白雪姫が目を覚ますまで。  作者: 柊玲雄
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48*証言との一致

眠森くんと別れて、先生といつものところに座り込んだ。

姫魚さんとの話はやめて、とにかく先生が集めてくれた情報に耳を傾けることにした。


「結果から言うたら、やけど。…ええか?」

「はい」

「あの事件、白雪が関与してるんは明確やった」

「私…ですか」

「そうや。色々話聞いてまわってたら、まず白雪のこと言いかけて口噤むやつが多かったわけや。ここで大体の予想はつくな?なんや知らんけどなんかは隠しとる証拠やな。…ほんで、もう1個気になること言うてるやつがおってん」

「気になること?」

「そう。新聞記事に、助けた男性も刃物で刺されたってあったやろ。あれちょっと語弊があるらしくて、刺されたって言うより深く引っかかれたらしいんやわ。やから、その助けた男性の二の腕に引っかかれた跡が残ってるっちゅー話や」

「二の腕…」


夢に出てくる男の子の左腕にも、2本の傷があった。

もし…あの男の子の正体が姫魚さんで間違いないなら、その女児を助けた男性は姫魚さんということになる。

それに、私の脇腹にある2本の傷__これも新聞の記事と重なっている。


「俺、姫魚さんなる人見たことないから分からんねんけど、そういう傷見たことないんか?」

「…姫魚さんは、いつも長袖なので見えません。…もしかしたら、その傷を隠しているのかもしれないですけど」

「その可能性は否定できんな。年がら年中長袖なんやったら尚更怪しい話や」


やっぱりあの袖の向こうに答えがあるらしい。

けれど、今は姫魚さんに近づくことさえ許されない。なら、頭の奥底に置き去りにした記憶を呼び起こすしかない。


「あの、先生。私…脇腹に、傷があるんです、2本の。…見ますか」

「ちょっとまて、ここでそれしたら俺犯罪者やから。嘘ついてるとか思わんから。でも、脇腹なんやったら、記事の内容と合致するな」

「はい。…もう…なんで忘れちゃうんですかね。10年も昔ならまだしも4、5年前なんて最近なのに。…なんでなの」


私の記憶は、私を苦しめないために眠ったのかもしれないけれど、そんなの大間違いだ。

知って苦しむより、知らずに苦しむ方がよっぽど辛い。


「…まぁ、喪失するほどきっつい出来事やったんやろ。…あ、そうや」


先生はぽんっと手を打ってから、携帯で何かを調べ始めた。

それからスルスルと指をスライドさせて、「ここか」とボソリとつぶやく。


「え?」

「強姦事件の現場見つけた。…白雪が大丈夫なら、行かへんか?」

「現場…」


確か、暗い路地と書いてあった。

そして、仮に私が被害者だとするなら、実家のある街の路地。


「…現場は、どこだったんですか」

「白雪が住んどった地域の廃倉庫が並んどる路地や。相当陰鬱な場所みたいやけど、犯罪かますにはもってこいやな」

「廃倉庫…?」


そんな所、あっただろうか。

とは言っても、あの地域は割と広いし私が知らないところももちろんある。

行ってみる価値は、あると思う。


「…行きます」

「ほんまに大丈夫やな?」

「はい。怖いですけど…でも、少しでも思い出せるかもしれないなら」

「じゃあ、明日行こか。丁度土曜やし」

「はい。引き続きお世話になります」

「気にすんな。乗り掛かった船や」


明日の11時にアパートを待ち合わせにして、今日はもう2人とも部屋に戻ることにした。


部屋に入り、ベットに座って、また私は携帯の待ち受けを眺めた。



…そういえば、姫魚さんの家に行った時、姫魚さんはこの待受を見て少し動揺したような表情をしていた。

それに「誰が撮ったの」なんて、普通聞かないだろうし、だとすればもしかしたらこの写真を撮ったのは姫魚さんなのかもしれない。


「…全部予想だけど」



予想でしか過去を見ることができない。

…いつになったら、このもどかしい状況から解放されるんだろう。


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