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白雪姫が目を覚ますまで。  作者: 柊玲雄
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箸休めのお話。

〜もしも、姫魚と白雪が同級生なら〜

side.姫魚翠


ある日の帰り道。素敵な女子生徒に、目を奪われた。


セミロングの艶やかな黒髪に、色白の肌、優しげな瞳。


学校から眼下の街に伸びる緩やかな坂の途中で、道の脇に立ち並ぶ桜を見上げていた彼女は、僕のシャッター音に、驚いて振り返った。


「あ…すみません」

「い、いえ…。あ、えと、桜を撮ってたんですよね?ごめんなさい、邪魔をしてしまって」

「…すみません、あなたを撮りました」

「…。…え?!わ、わた、わたし?!」


彼女はあわあわと両手を顔の間で振ってから、恥ずかしそうに俯く。

その仕草がことさら可愛くて、僕は思わず小さく笑った。


「桜を見上げるあなたが綺麗で、つい。僕、写真を撮るのが趣味で、綺麗なものや風景を見ると無意識にシャッターをきってしまうんです。だから、ごめんなさい、驚かせてしまって」

「いえ…。まさか自分が撮られてたとは思わなくって、びっくりしちゃいました。…でもなんだか、嬉しいものですね。桜のおかげにしても、綺麗だと思ってもらえるなんて」


そう言って、彼女は、お日様のような温かい笑みを浮かべた。


…桜のおかげなんかじゃない。多分、絶対、彼女自身が美しいのだ。

桜の下じゃなくても、暗い教室の中で彼女を写したとしても、変わらず素敵なんだと思う。




…いやまて。ちょっとまて。

なぜ僕は初対面の女子生徒にこんなことを思っているんだ?

やばいだろうこれは。

ネクタイの色を見る限り同学年だけど、そんなことより変態くさすぎるだろう。とりあえず彼女がすんなりと僕の言葉を受け入れてくれてよかった、本当に。


「あの…?」

「ああ、すみません。写真、流石に消しますね。綺麗だけど、さすがに知らない男が持ってたら気持ち悪いですよね」

「いや!あ…えと、その…よか、よかったら、その写真のデータ、私にもいただけませんか?!残しててもらって大丈夫なので!あ、あ、えと、残さなくても大丈夫ですが!」


何故か必死に引き止めてくれる彼女に、また僕はぐっときてしまった。


…だめだ、可愛すぎる。なんでちょっと頬が赤いんだ。

なんというか、整った顔立ちがというよりか、彼女から溢れ出る内面の美しさみたいなものが僕の心を刺激しているのだろう。


「じゃあ、これ送りますね。連絡先を…あ、そういえば、まだ名乗ってもいませんでしたね」


完全に順番を間違えていた僕は、慌てて彼女の元に寄って行った。


「2年の姫魚翠です。見ての通り、って言いたいところなんだけど、うちの学校写真部ないから帰宅部です。よろしくね」


左手を差し出すと、彼女は少し戸惑いながらも僕と握手を交わした。

彼女ははにかみながら、僕を目を見つめる。


「2年の、白雪つゆきです。よろしくお願いします」


そう言って、彼女は、はにかみから柔らかい素敵な笑みに変えて見せた。


…変態おじさんでもなんでもいいから、めちゃめちゃ可愛いし抱きしめたい。


「男子の友達なんて、はじめてできました。なんだか照れちゃいますね」


白雪さんはまたはにかむ。


…んんん、可愛くて仕方ない。写真撮りたい。完全に変態おじさん化してるけどそんなことより可愛くて仕方ない。


「姫魚くん?」

「あ、あぁ、そうだね。僕もちょっと気恥しいな」


何も返事せず白雪さんを見つめていたせいで、白雪さんはきょとんとしながら首をかしげていた。


…小動物にまで見えてきた。どうすればいいんだ。


「ああ…同い年だし、タメ口でも大丈夫?」


気を紛らわせようとそう問いかけると、白雪さんはパッと目を輝かせて大きく頷いた。


「はい!あっ、うん!大丈夫で、あ、大丈夫!」


…だめだ可愛すぎる!!!!


僕は心中で頭を抱える。

こんなに純粋な子と出会ったのはいつぶりだろうか。いや、初めてかもしれない。


自分で言うと気持ち悪く聞こえてしまうけど、僕はどちらかと言うと女の子には好かれるタイプだと思う。

現に、毎日女の子に囲まれているわけだけど、正直どの子にも特に興味が無い。可愛いなと思う子もたまに見つけたりするけど、みんな目が綺麗じゃない。

1個上に姉がいる分、女子社会の恐ろしさもそれなりにはわかっているつもりだ。だからこそ、誰も綺麗だと思えない。


だけどこの子は、多分、きっと、とても純粋で綺麗な子だ。


実際、僕が今まで見てきた女の子の中に、桜を慈しむ子なんていたことがない。

言葉が雑かもしれないけど、いわゆる天然記念物的なところもあるんじゃないかと思う。


「ひめ…ぁ、…翠、くん?」

「…ごめんごめん。連絡先、交換しないとね」


…このタイミングで下の名前呼びはぐっとくる…胸が痛い。


僕は心臓を抑えそうになりながらも、連絡先を交換した。

僕のが彼女のケータイに入ると、彼女はものすごく嬉しそうに、気恥しそうに微笑んだ。


…これはもう、誰にも取られたくないなぁ。


「ねぇ、白雪さん」

「ん?」

「…これからも、末永くよろしくお願いします」


…時間はかかるかもしれないけど。彼女を、白雪つゆきという美しい女性を、手に入れてみたい。


僕が唯一、美しいと思えた彼女を。


「えっと…?もちろん、よろしくお願いします?」


そう言って、またちょこんと首を傾げる彼女は、最後まで愛らしくて美しかった。

どこまでいっても、姫魚さんは白雪大好きなマンですねぇ。


次からはまた主ストーリーに戻ります!


次回もお楽しみに\(^^)/

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