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白雪姫が目を覚ますまで。  作者: 柊玲雄
32/53

32*緊急事態発生

裏口からばたばたとバックヤードに入り、制服をひっつかんで素早く着替える。

髪をハーフアップにし、速攻でタイムカードをきると、その音で私が来たことに気づいた店長がバックヤードに顔を覗かせた。


「あ、おはようございます!」

「おはよう、珍しくぎりぎりだね」

「すみません…ちょっと色々ありまして」

「…そっか。うん、でも顔色いいから、大丈夫そうだ」

「そ、そうですか?」


店長は満足そうに笑って、またホールへ戻っていく。


…スーパー優しい店長の笑顔はスーパー癒されるなぁ。


「よしっ、頑張ろう」


自分の頬をぺちんっと叩いてから、ホールへ出ていく。

今日も微妙な時間帯だけあって、お客さんはまばらだった。


「白雪さん、テーブル拭いてきてもらえる?」

「はーい」


布巾をもって、通りに面している側の机を拭いていく。

不意に外のとおりに目を向けると、ちょうど姫魚さんがお店に向かって歩いてきていた。


つい手を振りそうになった私に気づき、姫魚さんが胸元でバツ印を作ったのを見て慌ててテーブル拭きに戻る。


少しすると、カランコロンとお店の扉が開く音がして、私は扉の方を振り向いた。


「いらっしゃいませ」

「こんにちは」


姫魚さんは、いつも通りの微笑みを浮かべる。

けれど、それと同時に私の笑顔は一瞬にして凍りついていた。


数秒の間があってから、私は姫魚さんに駆け寄った。


「どうしたんですか?!その傷?!」

「あぁ、少し擦っちゃって」


そう言う姫魚さんの口元は、殴られたあとのような傷があり、その傷はまだ真新しいらしい。


「すこっ…す、少しでそんな傷はつきませんよ?!」

「あはは…」

「手、手当っ!手当を…」


「白雪さん、声が大きいよ」


私は動揺を隠せず、気付かず大きな声で騒ぎ立ててしまう。

そんな中に、一つ、冷静で落ちついた声が降ってきた。


「店長…」

「お騒がせいたしました。紅茶を持ってまいります、引き続きおくつろぎくださいませ。さあ、姫魚様、手当いたしますのでこちらへ」

「すみません、ご迷惑おかけします」

「いえいえ、お気になさらないでください。白雪さん、ほかのお客様にお好みの紅茶を聞いてきてください」

「は、はい!」


店長の落ち着いた対応に助けられ、姫魚さんはバックヤードへ、私は店内にいるお客様さんの対応へまわった。


「ご迷惑おかけいたしました。お嬢様方、お好みの紅茶はございますか?」

「いいのよー、気にしないで!それじゃあ…」


優しいお客さんのおかげで早く対応が済み、キッチンで紅茶を入れている最中。

私は、姫魚さんの口元の傷の原因が自分のような気がして、意識がバックヤードに向いたままだった。


…あんな傷、殴られたとしか思えない。

でも、そうだとして…誰がそんなことを?

もしかして、昨日の女子たち…?

いやでも、男性が女子高生相手に軽々と殴られてしまうとは思えない。


…誰?姫魚さんを傷つけたのは、一体___


「いっっっ……っっ!!」


そう自分に問いかけた瞬間、私は頭に激痛を覚え、その場にしゃがみこんだ。


「白雪さ…白雪さん?白雪さん!」

「痛い…!痛い…!!!」

「白雪さん!しっかり!!白雪さん!!」


激しい頭痛に意識が朦朧とし、しゃがみこんだまま私は何も考えられなくなっていた。

痛い痛いと叫ぶ私の周りに、おそらくお客さんも集まってきている。…姫魚さんも、きっと。


そんな中、朦朧とした頭に一瞬だけフラッシュバックした景色が、色濃く私の意識に傷を残していった。



***

誰かが私を取り囲んでいる。

空からは、無数の手が降ってきている。

あたりは真っ暗で、月明かりだけが私を照らしている。


痛い、怖い、苦しい。


誰か、誰か助けて。


誰か…。

***

今日は雪が降って激寒ですね、皆さんこんばんは柊です。


インフルエンザが流行っていますね、徹底的な予防をするべし。


あー、つゆきと姫魚さんの看病話も書きたいなぁ。番外編で書こうかしら。


次回もお楽しみに!

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