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白雪姫が目を覚ますまで。  作者: 柊玲雄
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17*side.姫魚翠

side. 姫魚 翠


気を失った彼女を抱えて、ただひたすら、自分の家へと向かう。


そして、ただひたすら、自分に苛立っていた。


…どうして僕は、いつもつゆきを助けてあげられない?


不甲斐ない…不甲斐なさすぎて、今にも誰かに怒りをぶつけそうになる。


けれど、僕の中で心地よさそうに眠るつゆきを見ていると、そんな怒りは吹っ飛ぶ。


…愛おしくて、たまらない。


「つゆき…君はどうして、目を覚ましてくれないんだろう」


__あの事件のせいで、君の中の記憶は、いつまでも眠ったまま。


無理やり思い出させようだなんて思っていない。

なにかの拍子に、思い出してくれるのを待ってる。

…ただ、この待つという行為が、非常に辛い。


「…き、こえ、て、る…の…」


不意につゆきがしゃべったため、びっくりして立ち止まる。


「…寝言、ね」


…聞こえてる、か。


もしかしたら、つゆきは夢の中で、自分の無くした記憶について探っているのかもしれない。


それに、最近気になることがある。


つゆきがよく、僕の左腕を見るようになった。

多分、僕の左腕の傷を確認したいのだろう。…とは言っても、それを隠したいがために長袖で過ごしているのだが。


別に、隠さなくてもいいとは思う。

この傷をみて、つゆきが記憶を取り戻すかもしれないなら、尚更だ。

だけど、この、つゆきが無くした記憶は、幸せなことばかりではない。


僕は、待っている。

待っているけど、思い出されることがつゆきにとって辛いこととなるなら、その記憶をずっと沈めておきたい。


「つゆきにとって、幸せってなんだろうね」


__僕はひたすらに、彼女の幸せを願っている。


*****


とりあえず僕の部屋へと運び、ベットに寝かせたあと、傷の手当をした。


額、手、足と順番に手当したあと、ふと路地裏の光景を思い出す。


…お腹も殴られていた?


「ごめんね、つゆき。…やましいことはいたしません。」


すやすやと眠るつゆきに手を合わせてから、制服のシャツを捲り上げる。

案の定、脇腹にも擦り傷ができていた。


「すいません…」


そーっと、傷口に消毒液をかけ、拭き取り、大きめの絆創膏を貼り付ける。

そしてふと、擦り傷の隣に佇む二つの傷に目を落とす。


…やっぱり、残ってるか。


おそらく、つゆきはこの傷が何の傷なのか知らないだろう。


「知らなくていい。…いいんだ、きっと」


捲りあげていたシャツを下ろし、タオルケットをかぶせる。


さて…と、立ち上がり、キッチンへ向かおうとすると、何故か服の裾が引っ張られて動けなくなった。


「…白雪さん?」


起きてしまったと思い、名字で呼んでみたが、反応はなく、振り返るとつゆきはすやすや眠ったままだった。


「つゆき」

「…いか、ない、で…」


…幼い子どもが、親にすがりつくように、つゆきは寝言を言う。


なにか怖い夢でもみているのだろうか。


「大丈夫。僕はどこにもいかないよ」


そう言ってあたまを撫ぜると、つゆきは裾をつかむ手を緩めた。

安心したのか、表情もどこか柔らかい。


「…にしても、あの女子高生たちはどうしてつゆきを…」


今更我に返って、女子高生たちの行為を思い出す。

あれは、いじめに相当するものだった。けれど、日常的に、つゆきがいじめを受けていたとは想像し難い。


と、なれば…考えられるのは、女子の妬み、というやつだろうか。


「事の発端はあのチャラ男か」


多分どころか、確実に正解だろう。


眠森はモテるタイプの男子で、校門前に女子の人だかりができるくらいだとつゆきが言っていた。

カフェの前で会ったときも、整った顔立ちだと僕でも思ったほどだ。


眠森がつゆきを本気で好きなのかは、僕にはわからない。

だけど、多分つゆきは、なにか心の変化があって眠森と近くにいるようになった。そうじゃないと、つゆきは眠森を避けるだろうし、眠森が一方的に近づいたとしても鈴木が猛反撃して近づけなくなるだろう。


…一体、何が変わった?


「あー…くそ。…仕事しよう」


答えにたどり着けないことにイライラする。

けれど、ヒントがない以上追求は難しいため、とりあえず残っている仕事を片付けることにした。

さあ、ことが進んでおります!どうも柊です!!


電車の中で更新してるんすけど、まじ寒い。(真顔)


あー…つゆきが姫魚さんによりかかっちゃう電車シーン書きたーーい。


…番外編でも作ろうかな?

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