13*どうなっているのか分からない。
春の屋上は心地よく、お昼休みギリギリまで私たちは滞在した。
…相変わらず、アリスと眠森くんはケンカしてたけど。
「あ、ねえ白雪さん!」
「ん?」
「つゆき、って呼んでもいい?」
屋上をあとにして教室に向かう道中。
突然の申し出に、呆然と眠森くんを眺める。
なにせ、男性に下の名前で呼ばれたことなんてない。
「ちょっと?!つゆきを名前で呼んでいいのは私だけよ?!」
「俺のことも針葉でいいから」
無視されてガチギレしているアリスをまた無視して、眠森くんは私に笑いかける。
「その…男の人に名前で呼ばれたことなくって。だから、ちゃんと反応できないかも…」
「少しずつ慣れればいいと思うけどなぁ〜。逆に、そういうことに耐性をつけるのも大事だしな!」
「眠森ぃ…」
「やだなぁ、あんたも名前で呼んであげるよ」
「死んでちょうだい」
…どうしても罵詈雑言になるんだね…。
名前の話をしている間に、教室へと到着。
教室にはいると、何故か教室中の話し声がぴたっと静まった。
「な、なに?」
「さあ…?」
私とアリスは、不思議に思いながらも、事情を聞く事はせず、自分の席に着席した。
そして、次の教科の準備をしようと、机の中から古典の教科書を引っ張り出し、私は目を見張った。
「え…?」
…教科書には、埋め尽くすほどの落書き。ノートには、「ヤリマン」と、でかでかと書き施されていた。
「どーしたの?つゆき」
「あっ、いや、古典忘れちゃった。隣に借りてくるね」
「あらあら、いってらっしゃい」
急いで教科書とノートをカバンにしまい、隣のクラスに借りに走る。
「ごめん梅子ちゃん、古典の教科書貸して欲しいの」
扉のすぐ近くにいた、去年同じクラスだった女子生徒に声をかける。
…けれど、なぜか女子生徒は目をそらし、気まずそうに視線を落とした。
「…今日、こっちは古典ないか。ごめんね」
ないはずはなかった。
4時間目の授業が古典だったことくらい、隣のクラスだからわかる。
だけど、貸してくれない。話してもくれない。
…なにがどうなってるのか、まるで意味がわからなかった。
お久しぶりです、柊です。
すみません、更新が滞っておりました。
理由は簡単。
…忘れてました。




