11*桜が踊る屋上にて
「白雪さん」
「ん?」
「一緒に昼飯食べない?」
「あ、ごめんなさい。私アリスと食べるから」
「そっか…それじゃあ俺は寄せてもらえないか」
お昼休憩。
授業が終わり、アリスが購買に全力で走っていたあと。
眠森くんからお昼ご飯のお誘いがきた。
「えっと、アリスも一緒でいいなら大丈夫だよ」
「ほんと?あ、でも…鈴木さんがゆるし、」
「あ?あたしがなんだって?あ??」
「あ、アリス!目!目が怖い!!」
ちょうど購買から帰ってきたアリスが、眠森くんにガン飛ばす。
おそらく話が聞こえていたんだろう。
「俺も一緒に昼飯いい?」
「だめ。つゆきは私のものだからダメ。渡さない」
「アリス!んな人をモノみたいに!」
「だーってつゆきがコイツにとって食われるんじゃないかと思うと半径1ミリも近寄せたくないのよ…!!」
…束縛強めの彼氏みたいになってるよ、アリス…。
「とって食ったりしないってば。至って大人しい子だから」
「どうだかぁ?」
アリスよりはるか高い眠森くんを、アリスは下から全力で睨みあげている。
眠森くんは何も動じていないが。
「ま、まぁ、お昼ご飯くらいいいんじゃないかな?同じクラスなんだし、仲良くしなくちゃね」
それに。
眠森くんは、きっと悪い人じゃない。至って真面目な人なんだと思う。
「よし!残念だったな、金髪」
「はぁ!?アリス様と呼びなさい!!」
…なんやかんや言って、一番意気投合してるのはこのふたりな気がするなぁ。
アリスといがみ合いながらも、机にパンと飲み物を広げだす眠森くん。
私はと言うと、なんとなしに外へ目を向け、ひらめく。
「ね、屋上で食べよう?今日は暖かいし」
「いいわね!」
「屋上かぁ、青春だな」
私の提案で、屋上でお昼をとることにした。
この季節の屋上は、とっても素敵なのだ。
「あ。あんたつゆきのおかず盗ったら殺すわよ」
「あ〜バレたか」
「未遂なのね!?半殺だわ…」
「金髪口悪すぎだろ」
「つゆきを守るためよ。それ以外は教養のある上品な帰国子女だから」
「帰国子女ねぇ…。海外の人にドン引きされたろ」
「はぁ?むしろ逆よ、モテモテだわ。全く失礼な男ね」
「へーへー」
「…ふふっ」
テンポのいい会話に、思わずぷっと吹き出す。
と、眠森くんとアリスが目をぱちくりさせた。
「どこがツボ?」
「そうよつゆき。少しも面白くないわ」
「いや、すごく会話弾んでるから。楽しいなって」
『弾んでないわ!!』
「息ぴったりだよ!」
『はぁ?!』
「…仲いいね」
そんな茶番を繰り広げていると、屋上につながる階段にたどり着いた。
扉を開けると、ぶわぁっと、桜が廊下にまで舞う。
「なにこれ…!」
「ふふふ、キレイでしょ?これ毎年なんだよ」
「へぇ…!すごいなぁ!」
眠森くんは、屋上の向こうに咲き誇っている桜を眺める。
その瞳は、キラキラと輝いていた。
「チャラ男、つゆき。ご飯食べるわよ」
「あ、あぁ。今行く」
「はーい」
先に柵に持たれて座るアリスが私たちを手招きする。
「ああ、つゆき」
「ん?」
アリスに呼ばれて駆け寄り、その場に屈む。
すると、アリスが私の耳元に唇を寄せた。
「よかったわね、つゆき。楽しいじゃない」
アリスの顔を見て、私はニッと笑う。
「うん!アリスのおかげだよ!」
「いやぁ〜ん!!つゆきってば
なんてカワイイの〜〜!!!」
「おぶっっ…あ、アリ、おぶぶっ…」
アリスと私を見て、眠森くんはお腹を抱えて笑っている。
…私といえば、アリスの大きな胸に押しつぶされ、話す事は許されなかった。




