始まり
「…なんか懐かしい夢見たな」
「ようやく起きたか。」
「誰だおまえ!?ってここはどこだ、俺はなぜ砂浜で寝ている!?」
「落ち着け、それよりもお前は気を失う前のことを覚えてるか?」
「は?気を失うって…あれ?俺はどうして此処に…。」
「ちっやっぱりか、これで手掛かりは絶望的になったって訳だ」
「待てよ!何が起きてんだよ、此処どこだよ!?」
「落ち着け今からまとめて全員に説明する。」
「皆、聞いてくれ!ここが何処だとか何故こんな状況にいるんだとか色々な疑問はあると思う!だが一旦話を聞いて欲しい、混乱を避けるためにも暫定的に俺が議長を務める。発言したい時は手を上げてくれ!…そこのショートボブの子。」
「ここは何処なの?何が起こってるの?どうやって帰るの!?」
「本当だよ!明日彼女とのデートを楽しみにしてんだよ早く帰してくれよ!」
「勝手に喋らないでくれ!まず質問に答えたいと思う。ここが何処かは分からない、俺が一番初めに起きたから周りの全員に状況を聴いて回ったがそれらしき情報は何もなかった。それどころか此処に来る前の記憶が全員無いらしい、もし俺と喋ってないなくて何か知ってる人はいないか!?……………」
さっき俺を起こしてくれた奴が皆の前で状況を説明しているが皆戸惑いを隠せないでいる、俺もさっき起きたばっかで何が何だか分からないが、おかしいことが起きているということだけはわかる。
…周りをざっと見回して見るが皆年齢は同じ位だろうか?土地的には此処から見える範囲には海しか無く後ろには、どこかジャングルを連想させる木が鬱蒼と繁っている、まだ6月だと言うのに蒸し暑い、もしかしたら日本ではないのかもしれない。
「やっぱり手掛かりはないか。まずはどうやって過ごすかを考えなくては…」
「おい、お前さっきの奴だよな。結局何か分かったか?」
「…何も分からない。唯一、植物学を学んだ奴らが言うには日本に近い植生らしいのと俺らは全員日本の大学生だってことぐらいだ」
俺はその言葉に驚きを隠せなかった、俺は正確には大学生では無いからだ。しかし真実を言ったら間違いなく疑われる。さらに言えばここでどれだけ過ごすかもわからないのに周りのグループに入れなかったら最悪死ぬかもしれない。それを避けるためにも真実は隠さなければいけない。
「…此処には何人いるんだ?他に何か共通点なんかはあるのか?」
「此処には15人居る。男は俺らを含めて9人だ、ここからでは確認できないがもしかしたらこの島のどこか違う場所にも誰かいるかも知れない。他に共通点らしき共通点は今の所何もない。っと自己紹介がまだだったな、俺は鈴木涼太京都大学4年だ。」
「…俺は小林龍也、東京大学4年。」
まあ正確に言うのであればだったと言うしかないのだが周りに知ってる奴は居なかったのでばれることはないから良いだろう。
「同い年か、それに東大なら知識もあるだろ?手伝ってもらうぞ。」
「一体何をするんだこんな所で。」
「決まってるだろ、サバイバルだよサバイバル。ここが何処かも分からない、いつ助けが来るかも分からない、生き抜くためにもサバイバルしなければいけないんだよ。」
確かに正論ではある、しかし幾ら大学生とは言えサバイバルの知識なんて持ち合わせてる奴は少ないだろう…俺はある事情で知識が必要だったからある程度はあるが
「さて小林君、知識としてどうすればいいとかわかるかい?俺は前に立つのは得意だが生憎サバイバルの知識なんて持ち合わせていないからね。」
「龍也で良い、それとどうすべきかだが、まずは水源を探すべきだな鍋などがない状態では不安だが海水よりはマシだからな、それに拠点となる洞窟か何かを探すべきだな、でないと雨や日光さらに長期的に見れば今は6月だから良いが雪なんかも考えられる。拠点はつくるべきだ。」
結局使うことのなかった知識がこんなところで役に立つとはな、本当に人生は何が起きるかわからないもんだ。
「分かったこれからよろしくな龍也俺のことも涼太って呼んでくれ。それにしてもさすが東大生だなサバイバルの知識も有るとは。」
「たまたまだ、昔にそんな感じの本を読んだだけだ。」
「そっか、まあ知識があるには変わらない。他にも植物学に詳しい奴がいるからなんとかいけそうだな、
あとは洞窟とかを見つけられれば良いが…よし!
皆聞いてくれ!生き残るためにもサバイバルをしていかなければいけなくなるだろう。最低限は此処にいる龍也が知っているが知識は多いほうがいいだろう、そのためにもみんなの知識を貸して欲しい!サバイバルに役に立ちそうな知識を持ってる人はいないか?」
「わたしのポケットにナイフが入ってたわ。これ使えないかしら?」
「俺は何も無かったんだがな、龍也は何かあったか?」
「見て分かるだろ?何も無いよ、何も無いよりは全然マシだな、サバイバルし易くなったなナイフが有るならそこにあるヤシを利用できるな」
「うん?あんなちっちゃい実じゃ水分取るのもきつくないか?」
「そうだが「邪魔すんな!!」」「なんだ一体、おい!どうしたんだ?」
「うるせぇ!俺らは俺らで行動するこんな所に何時までも居てられるか!」
「まっまってよ、皆で行動したほうがいいよ。ジャングルに何がいるかだってわからないんだから。」
「さっきからうるせぇんだよ、それにさっきここは日本だって言ったのはお前だろうが?」
「ちっ違うよ、確かに植生は日本に近いものがあるけど日本とは違うところもあるよ!日本って決まったわけじゃない。もし毒ヘビなんか居たら5人じゃ大変なことになるよ。止めようよ!」
「んだよ、折角人が誘ってやってんだぞ来いよ!お前の知識は俺らといた方が有効活用できるって言ってんだろ。」
「おい!落ち着け、一回冷静になるんだ、なんの騒ぎだ?」
「うっせーな勝手にしきんじゃねぇよ、俺らは俺らで行動するって言ってんだよ。大体女と一緒に行動したら足手まといになるだけだろうが!…そうだ、お前らも一緒に俺らと行動しようぜ二人とも知識有るんだろ?生き残るんだったら男だけの方が効率は良いに決まってる!」
「悪いね、俺はサバイバルの知識はこれっぽっちもないしフェミニストだからね。女の子を置いてなんて行けないよ」
「悪いが俺も行かない、この状況なら人数は多い方が良いからな。」
「ちっんだよ、腰抜けどもお前らみたいなのを見てるとイライラすんだよ。俺らは俺らで行動する4人も居れば十分だ!」
そう言ってあいつらはジャングルの中に消えていったがそれを止めることはできなかった。
「…行ったか。少人数での行動は得策じゃないんだけどな、そうださっき殴られたみたいだけと大丈夫?えっと…」
「ゆ勇気です蒲田勇気って言います。こんな怪我ならツバつけとけば治りますよ、あは、あはははは…」
早くも仲間割れが始まってしまったか、まぁ植物学の人もいるし、リーダー向きの涼太も居るなんとかなるだろう…