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最終話 煌く空、一筋の光になって……

 輝く光の粒子となって復活した龍神。

 俺の目の前には、驚くゼオルの姿と、嬉しそうに頷くティタニアルさんの姿があった。 


「何故だ! 貴様は私が……!?」

「よく戻ってきてくれました、ヒロ様」

________________


 龍神の復活、それはゼオルの流していた映像の中で、魔界全土に知れ渡っていた。


「龍神が復活した!」「流石龍神だ!」「我々も続こう! 魔界を取り戻すんだ!」


 その事実は、魔王軍だけでなく、魔界全ての住民に、希望と勇気を与えていた。


 ザフィエルと戦うレンカもまた、龍神復活を知り、その目を輝かせていた。


「それでこそヒロ殿だ……!」


 激闘によって既に右腕を失い、稼働時間も残りわずかしか残されていない状況だったが、レンカはまだ諦めてはいなかった。


「破壊ス……ル!」


 ザフィエル機もレンカ機と同様かそれ以上に損傷を受けていたが、こちらも全く戦意は衰えていない様子だった。


「私も、見習わなければならないな!」


 そして二機の機体は、再び激しく火花を散らしながら戦い始めた。

__________________


 そして俺は、再びゼオルと相対していた。


「ゼオル、お前の野望もここまでだ!」


 双剣と爪が交錯し、何度も空中で切り結ぶ。


「ふざけるな!」


 奴がその巨大な口から熱線を発射するが、それは光の粒子となったドラギルスをすり抜け、空中へ消えていった。


「攻撃が当たらない!?」

「無駄だ! 今の俺は、龍神には、何者も触れる事は出来ない!」


 今のドラギルスは鉄の塊ではなく、言うなればそれぞれは小さな光の粒が、集まって巨大な龍神の形を成しているものだった。

 俺もその光と一体化し、操縦するのではなく、俺自身が龍神となって戦っていたのだ。


「減らず口を!」


 一斉発射されるミサイルやレーザーも、龍神を傷つける事は出来ず。


「アルティメット・ストリーム・バースト!」


 胸部の竜が咆哮し、通常より更に巨大な光の奔流が放たれた。


「その攻撃なら反射して……馬鹿な! 何だこの出力は!?」

「有り得な……がっ!?」


  敵機から火花と共に白煙が上がり、その動きが停止する。


「アルティメット・ブラスト!」


 その鉄器の両腕を、それぞれ両掌から放った光線で消し飛ばした。


「馬鹿な!」

「これで……止めぇ!」


 完全に動きの止まった敵機の首を右に持つ剣で切り落とし、もう片方の剣で崩れ落ちた敵へ切っ先を向けた。


「私の復讐……私の野望……ここまで来て……!」


何事かを叫ぶゼオル、そしてその機体へ向け、周囲から凄まじい勢いで黒いモヤのようなものが集まり始めた。


「なんだ!?」

______________


 チェルシー達と戦っていたレギオンが急に動きを止めたのは、それとほぼ同時であった。

 

「急に動きが止まったにゃあ!」

「隊長が……やってくれた……?」


 その現象は、王都近郊で魔王軍と戦いを繰り広げていたレギオンたちも同様であった。


「魔王様! やりましたぞ!」

「我らが……勝った? いや、この魔力の流れは!」


 歓喜する魔王軍と対象に、魔王は感じ取っていた、レギオンたちから流れ出す、異様な魔力を。

 そしてその膨大な魔力は、全てが天空へと、ゼオルの元へと集まって行ったのだった。

_______________


「フフ……もはや私はどうなっても良い! 貴様達と、この世界も道連れだ!」


 その言葉と共に、倒れこんでいた敵機が瞬時に膨れ上がった黒い霧に包まれ、俺達はその黒い霧に弾き飛ばされる。

 

「ゼオル、お前何を!?」

「いけません! これは……!」


_____________


 ザフィエルと戦っていたレンカは、異常な力の増大と、それと共鳴するように発生した城の激しい揺れから、何事かが起こり始めているのを感じ取っていた。


「城が、崩れる……!?」

「殲……滅ス……ル」


 その揺れも全く気にせずに、ただこちらへと攻撃を仕掛けてくるザフィエル、もう魔力も殆ど残ってはいない、ここで勝負を付けなければ。

 そうレンカは判断し、自身の持つ最大の攻撃で一気に勝負を付けることにしたのだった。


「ザフィエル、貴様との因縁、ここで断ち切らせてもらうぞ!」

「蒼炎鳳翼天覇翔!」


 その言葉と共に、獄炎機が蒼い炎に包まれ、巨大な羽ばたく鳥の姿を取った。


「天駆ける不死鳥の舞! その目に刻め!」


 天空へと飛び上がった蒼い不死鳥が、そのまま猛スピードで突進を繰り出し。


「破……」


 ザフィエルは、機体と共にその炎の中へと消えたのだった。

________________


 黒い霧が収まったかと思ったその時、敵機の姿は消えていた。


「あいつ、他の機体の力を吸収して……!?」


 俺が敵機を逃がしたかと思ったその時、地の底から響くような声が、俺の頭を揺らすように突然響き渡った。


「其れだけでは無い! この城も、既に私の物だ!」


 そして、俺の足元が一瞬で真っ黒に染まると、その表面を不気味に揺らし。

 物凄い勢いで城そのものが崩壊し始めたのだ。


「崩れるのか!?」

 

 俺は機体を飛び上がらせると、原理は分からないが浮かんでいるティタニアルさんに話しかけた。


「ティタニアルさん、ここは危険です」

「ヒロ様……」


 心配そうに見つめるティタニアルさんに、更に言葉を続ける。


「逃げてください、出来れば、俺の仲間を頼みます」


 もしかすると、誰かがこの崩壊に巻き込まれていないとも限らない。


「貴方は?」


 その問いかけに、俺は崩壊する城からゆっくりと空に浮き上がってくる真っ黒な塊を見つめ宣言した。


「あいつを……倒します!」


 真っ黒い塊から完全に形を変えたそれは、先ほどまで戦っていた恐竜のような機体が、とんでもなく大型化したものに見える。

 違いといえば、色が真っ白から夜の闇のようなどす黒い色へと変わっていることと、首が左右にそれぞれ二本増え、三本もの首を有する異形の姿になっていたことだろうか。


「フハハハハハ! 最早誰にも止められん! このまま、魔界も何もかも破壊しつくしてやろう!」


 その機体が三本の首からそれぞれ凶悪な色の光線を乱射、同時に羽からも凄まじい量の光弾が一斉に放たれた。


「そんな事、させるかよ!」


 それを回避しながら、敵機へこちらの全火力を叩き込む。

 しかしその攻撃は、鉄器の周りを包んだ黒い膜のようなものに、全てかき消されてしまった。


「無駄だァ!」


 高らかに叫ぶゼオル、その姿はまさに、世界を滅ぼす破壊神そのものであった。


 その力を前にしても、俺は全く恐怖を感じてはいなかった。

 それどころか、さっきから更に体中に力が溢れているような感覚がしていた、これは恐らく……


「今なら分かる、龍神の、この力の意味が!」


 もはや龍神そのものとなった俺は、この龍神が何故ここまでの力を持っているのか、その力はどうすれば高まるのか、それらが全てわかっていたのだ。


「俺の声が聞こえるか! 聞こえるなら、俺に力を貸してくれ!」


 そして俺は、先程までゼオルが使っていた魔法を逆に利用し、魔界全てに呼びかけた。


________________


 その声は、突如天空に出現した巨大な破壊神に戸惑いと恐怖を感じていた魔界全土へと、一斉に響き渡った。


「この声は……!」「隊長!?」「ヒロ殿!」


 親方が事前に取り付けていた落下傘でゆっくりと降下するドゥーズミーユの中で、艦に戻っていたチェルシーやシルフィ、ティタニアルに助けられたレンカも、その声を聞いていた。


 魔王城で祈りを捧げていたリーゼやエリィも、その声を聞き、天空の龍神へと、力を与え始める。


「ヒロ様……!」「ご主人様、私の力も……!」

_____________________


「何だこの光は……! 神霊気……? まさか貴様、神にでも成ったというのか!?」


 レンカから聞いたことがある、確か騎士団は、神を信仰し、力を与えることでその見返りに神から魔力を得ていたと。

 それならば、こうやって魔界の皆から力を集めている俺は、その神のやっていることを再現しているのかもしれない。

 魔界全土から集まってくる光の粒子、それらを全て吸収し、龍神は次第にその輝きを増す。


「龍神の力は、この世界の、すべての世界の調和を保つ為の物、そしてそれは、人々の希望、平和を望む心から生まれている!」


 龍神の中で俺は叫ぶ、それは、何故ここまで龍神が圧倒的な力を持っているのか、その力が何故途切れないのかの、答えでもあった。


「なんだそれは……! そんなあやふやな、意味の分からない物に私が……! 私の怨念が!」


 次第に力を増す俺に、怯えるように後ずさるゼオル。 


「ここまでだ、ゼオル! お前を……倒す!」


 そのゼオルへ俺は、双剣を抜き、一気に攻撃を掛けた。


「何故だ! 何故ここまで戦える! 貴様には、何の関わりも無い世界だろう!」


 双剣に両腕の爪を切り落とされ、光線を乱射しながら後退するゼオルが叫ぶ。


「そうじゃない! 時間は短かったけど、俺には沢山の仲間が出来た! 掛け替えの無い、思い出も!」


 この世界に来てまだ半年も経っていなかったが、リーゼやレンカなどと出会うことが出来、その彼女たちと過ごした日々が、俺の宝物になっていたのだ。


「それに……!」


 三つの首の内二つを切り落とし、反撃を繰り出す敵機に回し蹴りを繰り出し、そのままさらに上空へ弾き飛ばす。


「世界を滅ぼそうとする真のラスボスと、ロボットに乗って戦うなんて、燃えるじゃないか!」


 結局のところ、俺はロボットが好きなだけだった、最後までドラギルスに乗ることが、乗って戦うことが楽しい。

 その思いが、最も強く俺を突き動かしていたのだ。


「な……に……!?」


 あまりに予想外の言葉だったのか、敵機の動きが一瞬止まる。


「これで最後だ!」

 

 その隙に、俺は機体を停止させ、全身を包む光を収束させていく。


「させん! 滅終煉極亡絶撃!」


 敵機がその最後の力を振り絞り、俺に繰り出す黒い嵐。

 俺はその嵐に、真っ向から突撃した。


「ファイナル・アルティメット……!」


 黒い嵐を突き抜け、一本の光の矢となった龍神が、そのまま敵機へと向かっていく。


「シャイニング・ソード・ブレイカー!」

「馬鹿なぁぁぁ!」


 龍神が敵機の中央部を貫き、爆炎と共に龍神の形を取っていた光の粒子は、次第にその輝きを失っていき……

__________


 それから五年後……

 あの戦いの後、すぐに人間界と魔界との間に停戦協定が結ばれ、現在に至るまで魔界は平穏を保つ事が出来ていた。

 そして、成人と認められるまで歳を重ねたリーゼは、次期魔王として、公務へ積極的に係るようになっていた。 


「……そして、再び魔界に、平和が戻ったのです」

「魔界はこの平和を守り、次の世代へと繋いでいかなければなりません、それが……」

「それが、龍神によって救われた、私の……私達の使命です!」


 魔王城のエントランスホールで、集まった魔王軍へ向け演説していたリーゼは、無事に演説を終えたことにほっと胸をなでおろしていた。


「ご立派でしたリーゼ姫、いえ……魔王様」


 そんなリーゼに、現在はリーゼの補佐を務めるエリィが話しかけた。


「そんな……私など、まだまだです」


 自信無さげに答えるリーゼだったが、周囲からの評判は上々で、このまま順調に行けば問題なく魔王に就任出来るだろうと思われていた。

 しかし、その評判を聞いてもリーゼの表情から憂いが消える事は無く、周囲をやきもきさせていたのだった。

 自室に戻りベッドに腰掛けたリーゼは、もう何度目かも分からない深い溜息を付き、一人呟く。


「ヒロ様……」


 その時、彼女の目の前が突如眩しく光り輝き、光の粒子が次第に何かの形を取っていく。 


「この、光は……!」

「ヒロ様!」


 集まり終わったそこに現れたのは、五年前のあの戦いから忽然と姿を消していた、ヒロ・シラカゼであった。


「いやー大変だっ……へぶっ!?」


 疲れきった様子で現れたヒロに。


「ヒロ様!ヒロ様!ヒロ様!」


 リーゼは全速力で飛びつくと、しがみつきながらその名前を連呼する。


「ちょ、ちょっとリーゼ!?」

「もう、もう絶対離しませんからね!」

 

 そう泣きながら叫ぶリーゼ、その彼女の態度に、ヒロは少し顔を赤らめると、言いにくそうにリーゼに告げた。


「ちょ、ちょっと落ち着いて……」

「も、申し訳ありません」


 その言葉で我に返り、距離を置いて立ち尽くす両者。

 しばらくそのままの体制を崩さなかった二人だったが、空気に耐え切れなかったのか、ヒロが照れくさそうに話を始めた。


「えっと……その」

「ただいま、リーゼ」


 そう言ってはにかんだように笑うヒロに。


「はい!」


 リーゼも満面の笑みで、返事を返したのだった。


(龍神機ドラギルス 完結)

 龍神機ドラギルス、なんとか最終話を迎えることが出来ました、まずは読んで頂いた方に感謝を。

 筆者のやりたいことだけ詰め込んだような作品でしたが、楽しんで頂けたでしょうか?

 読んでくださった方が、少しでも面白いと思ってくださればこちらも嬉しいです。

 そしてもし面白かったのであれば、評価や感想、お気に入り登録をして頂ければもっと嬉しいです、というか滅茶苦茶嬉しいです。

 レヴューなんて頂いた日には嬉しさが頂点を越します、具体的には筆者が小躍りします。

 さて、ここで長々と語るのもあれなのでこのへんで。

 くどいかもしれませんが再び感謝を、読者の皆様、本当にありがとうございました。

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