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第五十一話 覚醒する憎悪

突如セイントクロスに響き渡った轟音、その音は都市中央部の王城にて時を待っていたゼオル達の耳にも届いていた


「ゼオル様!」

「フッ、やはり来たか」


 慌てるハニエルに対し、こうなる事が分かっていたかのような冷静さでゼオルは指示をを告げる。


「ハニエル、レギオンと奴を出せ」

「はっ」


 レギオンとは、突如魔界全土を襲ったあの白い機体の名である。

 デュラハンの技術を元に発展させた量産機で、旧王都の防衛装置を解析して得られたデータも加わっており、高い攻撃力と機動力を両立した機体であった。


「ゼオル様は……?」

「奴が来るのならば、出迎えねばならんだろう?」


 そう言うと、ゼオルは王座から立ち上がり、城の奥へ悠然と歩き出したのだった。

______________


 凄まじいスピードで空へ飛び出した俺達は、物凄い振動と耳を劈くような爆音と共に、天空に浮かぶ城塞都市へと到達していた。

 幸いな事に都市の入り口付近の平地へ着地出来た様で、艦には特に損傷は無いようだ。


「つ、着いたにゃあ……」

「みんな、大丈夫か!?」


 衝撃でふらつく頭をどうにか持ち直して、皆の安全を確認する。


「なんとか大丈夫です~」

「……かろうじて……無事」


 どうやら怪我などは特に無かったようだ、親方にも確認したところ、機体等も無事らしい。

 と、一息付いたのもつかの間。


「この気配……来るぞ!」


 レンカが敵の気配を察知した、どうやら敵に気付かれたらしい。

 まあ、これだけ派手に突入すれば当然だが。


「もう敵襲にゃあ!?」

「皆、出撃するぞ!」


 急いで格納庫へ向かい、そのまま出撃すると、そこにはあの白い機体が空を覆い尽くすほどの数で蠢いていた。


「凄い……数……」

「流石に敵の本拠地だな」


 全機で陣形を組んで攻撃し敵機を撃破していくが、あまりに数が多い上に、次々と増援が出現してくる。


「ちぃっ、切りが無い……!」


 もう何十機目かの敵機を撃破した所で、チェルシーが俺に機体を寄せ。


「ここはにゃあに任せて、隊長は先に進むにゃあ!」


 そう提案してきた、確かにこのままでは埒が明かないのは確かだが……


「この者達からは生気を感じません、この機体達を制御している者を倒せば……」


 ティタニアルさんの声が俺の頭に響く、それなら一気に突破して敵のボスをどうにかすれば何とかなるかもしれない。


「……分かった、チェルシーとシルフィさんはここで艦を守ってくれ! 俺はレンカと、中心地区へ突入する!」

「承知した!」「了解……」


 チェルシーたちを残す事に不安が無い訳ではなかったが、迷っている内にも魔界全土へあの機体がまた進攻するかもしれない。

 そう考え、迷いを振り切るように一気に機体を中心地区へと突撃させた。


 大通りと思われる場所をレンカの案内で中心地区へと進んでいく、襲ってくる敵機は無視してただ機体を進ませていると、突然開けた場所に出た。

 公園のようなそこは、大きな噴水や時計塔等があり、咲き乱れる花が場違いなほど美しかった。


「敵機確認」


 と、突如として俺達に向け上空から竜巻が放たれた。


「上から!?」

「この機体……ザフィエルか!」


 上空から猛スピードで肩部の刃を展開し接近してきたのは、十騎士ザフィエルの駆る旋昂機トラファスフィアだった。

 レンカに聞いたとおり、その姿は俺が見たものとはまるで違っていたが。


「敵ヲ殲滅滅……」

「速い!?」


 その突風のような体当たりをなんとか避け、俺達の進路を塞ぐ様に立ちはだかった敵機と相対する。


「ヒロ殿、ここは私に任せてくれ!」


 隣に居たレンカが俺に叫ぶ、確かにレンカは強いが、敵機のただならぬ雰囲気も俺は感じ取っていた。

 どうするべきか迷っていると。


「ここで手間取っていては、艦も危うくなる!」


 そうレンカに続けられ、俺はやむなく決断した。


「分かった……!」

「互いに、無事で帰ろう」

「ああ!」


 俺がこのまま進もうとしているのを察したのか。


「逃ガサン!」

「貴様の相手はこの私だ!」


 槍を振りかぶり襲い掛かってきた敵機を、レンカが長剣で受け止め、その隙に敵機の脇をすり抜けた。

 片手を振るレンカを一瞥し、俺は再び大通りを進み始める。


 大通りを抜け、豪華な城が鎮座する場所までやってきた、レンカの話によれば、ここが中心部らしいが……

 

「ここが……か?」


 まるで人の気配のしないことに戸惑いながら、周囲を探索しようとしたその時。


「何だ!?」


 地面ごと城が真っ二つに割れ、その下から巨大な何かがせり出して来た。


「わざわざそちらから出向いてくれるとは、こちらの手間が省けた」

「この声、ラツィオンか!」


 地下から響いてきたのは、十騎士ラツィオンの声だった。

 ラツィオンとは何度か相対した事はあったが、その度に逃げられており、実力などは未知数だった。


「その名は捨てたよ、今の私はゼオル、この世界を統べる新たな王だ」


 ということは、こいつがこの事態を引き起こした張本人ってことなのか?


「この機体は……!」


 せり上がって来た機体は、大きな爪やがっしりとした下半身、凶悪な牙を持つ肉食恐竜を模したような形をしていた。

 それでいて純白のカラーリングと、ゴツゴツした直角の無機質なフォルムを併せ持ち、全身には武装が装備されているように見える。

 その異様だがどこか神秘的な姿は、形こそ違えど龍神を想起させる物だった。


「遂に我が悲願が叶う時が来た! さあ龍神よ、この私の前にひれ伏すがいい!」


 ゼオルの声と共に、その機体が巨大な咆哮を上げた。

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