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第四十話 明かされた真実

 目を開けると、そこは当たり一面真っ白な空間だった、まるで夢の中のような景色だったが、ここには見覚えがある。


「ここは……」

「お久しぶりですね」


 呼びかけたほうを振り向くと、俺の正面に一人の美しい少女が立っているのが見えた。真っ白な髪に神秘的な雰囲気を纏った美少女で、格好は何かの神官のようであった、彼女は確か……


「リュミルさん?」

「こうなるんじゃないかと思っていましたけど、ここまで速くとは思いませんでした」


 彼女はどこか怒ったような、それでいて俺を慈しむ様な口調だった。


「それって、どういう……」


 彼女から聞かされたのは、俺はオーバードライブの反動で気を失っていること、ドラギルスとガルバーンもエネルギーを使い果たして動けなくなっている事、俺が寝ている間に外では一週間も時が流れていた事だった。


「そっか、あいつを倒した反動で」

「それで私のほうも力を使いすぎて、今まで貴方と同じように強制的に眠っていたんですよ、全く、無茶も程ほどにして下さい」

「す、すみません」


 あれでギガンティスを倒せたのは良かったけど、一週間も眠り込んでしまうなんて、多分皆にも心配掛けちゃってるよな……


「それで、今日俺をここに呼んだのは、そのことを?」

「それもありますが、もっと大事な事を伝えに来たんです」


 どうやら態々俺に説教をするために呼んだ訳ではないらしいが、もっと重要な事とはなんだろう?


「その前に、これを見て貰えますか」

「これは……」


 彼女が手を翳すと、俺たちの周りに幾つもの映像が浮かび上がった、その中には俺が戦ってきた「バアル」や「アーマゲドン」、「ギガンティス」と龍神が激しい戦いを繰り広げている物もあった、地を埋め尽くすほどのアーマゲドンの大軍を蹴散らし、バアルの巨大なビーム砲を片手で受けとめ、ギガンティスと殴りあい……

 だが、映像はそれだけではなかった、その中には、俺の見慣れぬ場所で見慣れぬ機体と戦っているものも多数あった、これは恐らく。


「千年前……だけじゃない?」

「ええ、龍神は過去の時代に何度も出現し、時には魔界側と戦った事もあります」


 龍神は魔界の味方だと思っていたけど、それは違っていた? いや、どちらの味方でもないのか?


「龍神は、世界のバランスを中庸に保つための存在なのです」

「中庸?」


 聴きなれない言葉に首を傾げる俺に、リュミルさんが説明するように話し出す。


「ええ、天界、人間界、魔界、この三つの世界のバランスが崩れれば、世界全体の危機に陥ります」


 そこで言葉を一旦切ると、リュミルさんは俺に向き直って真剣な表情で告げた。


「天界側、魔界側、どちらに傾きすぎてもいけないのです」

「龍神は、傾きすぎた天秤を水平に戻す、その為にこの世界にもたらされた……」


 成程、龍神がこれだけ圧倒的な力を持っているのは、魔界側天界側どちらと戦っても勝てるようにということだったのか、それにしても、世界のバランスを保とうとし、これだけの力を持った龍神を作り出した龍族って一体何者だったんだろう……

というか、そもそもなんで俺がそんな龍神の操縦者に……?


「ええ、その通り、そして今、貴方のお陰でバランスはまた元に戻ろうとしています、しかし」


 俺の言葉にリュミルさんは頷くと、過去の映像は消え、俺の目の前にズラリと並んだ首無しの騎士の姿が映し出された。

 首無し達は一糸乱れぬ様子で何処かへと向かっている、ここは確かこの前戦ったカレキュラス平原、そして首無しは南へと向かっている、ということは……

 映しだされた映像は思索に耽っていた俺を現実に引き戻すのには十分な衝撃を持っていた。


「これは……今の映像ですか!?」

「騎士団は、天界は形振り構っていられなくなったようです、全ての兵力を結集し、龍神が居ない内に一気にけりを付けるつもりなのでしょう」


 そうか、俺をここまで誘き出して古代兵器と戦わせ龍神を破壊、それが失敗してもここに俺達を足止めしている間に王都を陥落させる、そういう作戦だったのか。

 そして俺はその罠にまんまと嵌り、ここで一週間以上も無駄に時を過ごしてしまっていたのか……


「今すぐ王都に帰らないと! でも、ここからじゃどんなに急いでも……」


 慌てる俺に、リュミルさんはあくまで冷静さを崩さずにまた別の映像を映し出した、そこには封印の解かれた旧王都、その中にある何か巨大な建造物の姿が有った。


「旧王都へ向かってください、不本意ながら旧王都の封印は解かれました、あそこなら、今の貴方の助けになる物が有る筈です」

「これは……」


 俺が再び問いかけようとしたそのとき、世界がゆっくりと霞み始め、俺の視界が白に包まれ始めた。


「そろそろ時間のようです、忘れないでください、龍神はあくまでバランスを保つための存在だと、そして……」

「リュミルさ……」


 最後の言葉は良く聞き取れなかった、だけど彼女の優しげな表情と、口の動きでなんとなく分かった、彼女は確かこう言ったのだ。


「そして、忘れないでください、私が貴方を何時も見守っている、ということを」


 俺がその言葉に答えるよりも早く、俺……の意識……は……

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