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第三十四話 砂塵の亡霊

 それは、本来なら目覚めるはずの無いものだった、かつての戦いが終わった今、戦闘を行う前に放置され、忘れられていたそれは、もう千年もすれば降り積もる土砂や砂と共に自然の中に消えてしまって、誰にも気付かれずに終わる物だった。

 だが、それは思い出してしまった、かつての主に命じられた使命を、見つけてしまったのだ、かつて倒すべき相手として刻み込まれた"敵"を。

 存在を隠すように降り積もっていた砂をゆっくりと振り払い、それは動き出し始めた、使命を果たす為に、自身の存在を、証明する為に。

___________________


 砂漠に突入してから数日後、今のところは敵襲やトラブルも無く、特に問題の無い航行を続けられていた。

 俺は、今日も食堂で皆と昼食を取っていた。


「レンカ」

「これか?」

「ありがと」


 右隣の席のレンカに、ドレッシングを取ってもらった。


「なんだか塩味が足りない気がするにゃあ」


 焼き魚を食べながら、左隣の席のチェルシーは文句を言っている、確かに最近味付けが薄くなったような。


「これからいつ補給が受けられるか分からないんだし、節約できるところは節約しないと」

「それはそうなんだけどにゃあ……」


 もう騎士団の勢力圏に入っているのだ、限られた物資を有効に活用するためなら、多少の我慢は仕方ない。


「ヒロ殿」

「これ?」

「ああ、助かる」


 さっきのお返しとばかりに、レンカに水差しを取ってあげた。


「なるほどなるほど~」

「ノーグスさん? どうかしましたか?」


 向かいの席のノーグスさんが、何だかニヤニヤしながら俺を見てきた。


「いえいえ~隊長とレンカさんは~夫婦みたいだな~って」

「なっ!?」「ええっ!?」

「なななな何を言っている、私とヒロ殿はたたた只の、只の……」


 レンカが顔を真っ赤にして動揺している、いくら突拍子も無いことを言われたからって、あんなに慌てるのは珍しいな。


「本当に~?」

「変な勘ぐりしないで下さいよ、レンカと俺は只の仲間ってだけですよ、なあレンカ?」

「あ、ああ……」


 勘違いを訂正しただけなのに、レンカは物凄く残念そうだった。


「そうなんですか~とても良く分かりました~」


 ノーグスさんはすぐに納得したようで、あっさりと引き下がってくれた。


「もしかして隊長って……」

「お察しの通りにゃあ」

「チェルシーさんも苦労されてるのですね……」

「?」


 その俺達のやりとりの横では、チェルシーとその向かいの席に座っていたイルミさんが、口に手を当てて何か話していた、俺がどうしたんだろう?


 昼食を終え、そろそろ部屋に戻ろうとしていたその時、シルフィーさんが突然深刻なトーンで叫んだ。


「……何か……来る……!」

「シルフィさん?」

「皆伏せろ!」


 レンカがそう叫んだのと、激しい衝撃が艦を襲ったのは同時だった。


「攻撃!?」「キャアア!」「何が…!?」

「くそっ!」


 揺れが収まった後、俺は格納庫へ向け全速力で走り出していた、間違いない、敵襲だ。


「隊長!?」

「レンカ達は艦を頼む!」


 格納庫に飛び込むと、そこには矢継ぎ早に指示を出す親方と、走り回っている整備員達の姿があった。


「親方!」

「坊主! 無事だったか! どうやら横っ腹に一発食らっちまったみてぇだ、こりゃ暫く動けそうにねぇな」


 こっちに来る途中に見えたが、どうやら動力炉への直撃は避けれたようだったものの、かなりのダメージを負ったようだった。


「直せますか?」

「少し時間は掛かるが、まあ何とかするぜ」

「分かりました」

「坊主は?」

「あの一発で終わりだとは思えません、元を断たないと!」


 そう走りながら答えると、俺はドラギルスに乗り込み、砲撃の来た方向へ飛び出していった。

 物見も気が付かなかったみたいだし、近くに敵がいるっていう報告も受けていない、それなら恐らく遠距離からの狙撃だ。


「一緒に来てくれ、ガルバーン!」


 ガルバーンと共に、攻撃を加えてきた敵機を探す、見渡す限り一面砂だらけの荒野の中で、異様な形の巨大な影が蠢いているのが見えた。

 

「っ! そこか!」


 それは7~80m位の上半身が人型、下半身が戦車の様な無限軌道になっている機動兵器だった、その肩部にはどちらが本体か分からなくなる位長大なキャノン砲が見える、恐らくあれがドゥーズミーユを打ち抜いたのだろう。

 と、ドラギルスのサブモニターに、奴の姿と、「アーマゲドン」という名前が表示されていた、「バアル」の時と同じだ、ということは……


「あれも千年前の兵器ってことか」


 それならば、出し惜しみをしてはいられない。


「創龍合体! アルティメット・ドラギルス!」


 機体を合体させ、敵機に向け接近する、その俺に、奴が火線を一気に集中させる、近づいてみて分かるが、奴はこれ正に全身武器庫と言った風体で、腰部にレールガン、両腕部にはそれぞれガトリング砲四門、両肩側面部には無数のミサイルポッド、右肩にはさっき確認したロングキャノン、左肩には多連装式グレネードランチャーと、ありったけの武器を積み込んだようなその姿は、まるで針鼠の様であった。


「アルティメット・ウォール!」


 バリアでミサイルを防ぎ、ガトリング砲を機体を急旋回させ避け、その隙を狙ったレールガンは宙返りでかわし……

 敵機に接近しようとするが、アルティメット・ドラギルスとほぼ同サイズとは思えないほどの機動力で逃げ回りながら乱射してくる敵機をなかなか捉えられない。 

 こうなれば、多少の損害は無視して突っ込むしかない……そう判断し。


「一気に突っ込む!」


 敢えて火線の中に機体を踊らせた、バリアを前面に集中して展開させ、機体を水平状態で高速回転させながら一直線に敵に突進する。

 

「アルティメット・スパイラル!」


 バリアを抜けた砲撃でこちらも少なからずダメージを負ったが、敵機の中心を体ごと貫く事に成功し、振り向いたときには大穴の開いた敵機か崩れ落ちていた。


「よし!」


 機体の損傷を確認しながら、艦へ戻ろうとしたその時。

 背後の砂丘から重低音と共に先程倒した敵機とまったく同一の機体がその姿を現し、俺が驚く暇も無くこちらを攻撃してきた。


「もう一機いたのか……?」


 放たれる射撃をなんとか避けながら、今現れた敵機への対処を考えていると。


「いや……これは……!?」

 

 俺の目に飛び込んできたのは、四方の砂漠から地響きと共に這い出てくる合計三機の「アーマゲドン」の姿だった。



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