ギルドカード
まさか職業の欄に魔王とでるとは思わなかった。
だってまだ俺魔王じゃないし。
メガネっ娘が戸惑っているうちになんとか誤解をとかなくては。
誤解ではないが。
この娘だけなら丸め込める。
そんな事を考えているとメガネっ娘の後ろから猫目の青年が顔を出した。
「メロさん、何やってるの」
「あ!あわわ、マスター!
ど、どうしてここに?!」
マスター?
店長みたいなもんか?
「メロさんがまたてこずってるって聞いたから。
メロさん、身分証やるの初めてだっけ?
……って、魔王って、どんな設定ミスしたらこんな失敗するの、メロさん」
青年は俺のギルドカードを見て、呆れたように言う。
「す、すみません!」
「まあいいよ。僕が直しとくから。
お客様、失礼いたしました。
お客様の職業は何ですか?
今から直接カードに入力させていただきます」
直接入力もできるのか。
しかし上手く事が運んだようで良かった。
これもメガネっ娘改め、メロさんがドジなおかげだ。
使えないとか思ってごめん。
キミは俺の恩人だよ。
「俺の職業は…、冒険者?です」
多分。
「冒険者ですか。ざっくりしてますね。
もっとこう、魔法使いとか剣士とかないですか?」
「うーん、ちょっとまだ分かんないです」
俺は魔法とか使えるのだろうか。
ちょっと楽しみ。
「ではとりあえず一番ポピュラーな剣士として登録しておきますので変更があればお伝え下さい」
俺は出来上がったギルドカードを受け取り、宿屋を探す事にした。
お金も装備もあるからそんなに積極的にクエストを受ける気にもならない。
とりあえずお昼でも食べようかな