埋没少女、歯車狂いその1
他サイトで癖のあるお話をかいていて、気分転換に書き始めました。
初心者です、ビバ王道です、皆様の暇つぶしにでもなれれば幸いです。
その日だって別になんてことのない1日だった筈なのだ。
朝起きて、顔を洗ってご飯を食べて歯を磨き。
ご贔屓にしているニュース番組の占いでおひつじ座一位に朝から幸先がいいと喜んだ後起きてきた母に朝ご飯を出して家を出て。
学校についたら授業一時間目の数学の小テストについて友達とグチってなんとか午前の授業を消化する。
そんななんてことのない一日だったのだ。
絵に書いたような平凡に誰が文句を言おうか、少なくとも私には全く不満などなかった。
それなのに、なのに!
どこで歯車が狂ったのか、たまたま毎日お弁当はつらいからと自分で決めた週二日、お弁当ではなく学食を食べる日だったからなのか。
はたまたいつもより少し奮発して焼き鮭セット(味噌汁、海藻サラダ付)を頼んだのが悪かったのか。
至福の時である筈の昼食のまさにその時に、事件は起きたのである。
――――――――‐‐
四時間目終了の鐘が高らかに鳴り響き、財布片手にうきうきと校舎に併設されている学食棟の普通コース学食に向かう。
彼氏持ちの友達は早々に彼氏のクラスへ行ってしまったので、お一人様だが気にしない。
あのラブラブ花飛びまくりの雰囲気の中ご飯を食べるくらいなら一人の方が万倍ましなのである。
学食は今日もにぎわっていたが、神様の気まぐれか、ちょうど人の往来の激しい注文コーナーから死角の二人がけテーブルが空いていた。
四人がけテーブルとかだと他の人と相席になったりしてちょっと気まずかったりするけれど、今日はなんの気兼ねもなく昼食を堪能できそうだ。
さすがおひつじ座効果は素晴らしい。
席取りにジャケットを椅子にかけて注文に向かう。
今日は気分も良いし、お財布もなかなかふくよかなので焼き鮭セットを頼み、先程とった席に舞い戻る。
ツヤツヤとしたお米と新鮮な野菜サラダ、そして脂の程よく乗り橙色と香ばしい焦げの茶色のコントラストが美しい鮭に顔を綻ばせ、まず手始めに熱々のお味噌汁に手を伸ばしたその時に、事件は起きたのだ。
かたん、と目の前の席が動いた。
…動いた?
お味噌汁に一直線に向けていた視線を前に向けるのと、一瞬目の前がかげるのはほぼ同時だった。
「今日はお弁当じゃないんだね」
「…」
ずずっ、と小気味よく口の中に流れる筈のお味噌汁がず、で止まる。
何がどうしてこんな人がこんな場所にいるのか。
今自分の眉間に少し皺がよっている気がする。
ああ、せめて目の前の人物が幻覚、または白昼夢でありますように!
「…あのう…」
「ん?」
とけるような微笑みを浮かべる目の前のお人にいよいよ本格的に顔をしかめた。
幻覚は受け答えをしない=現実。
何がおひつじ座一位だ、ラッキーカラーは赤色だ、神様のイケズこのやろう!
いやいや、今日の私は何をやってもうまくいく超ラッキーガール、もしかしたら何かの手違いかもしれない。
むしろそうであって欲しいと、恐る恐る目の前の直視したくない現実に話しかけた。
「ここ、普通コースの学食です、よ?」
「うん、分かっているよ?」
うっかり場所を間違えたの線は速攻消える。
いや、しかしまだ他の手はある!諦めるな、自分!
「えー、と…では誰かとお約束でも…」
「君に用があってきたんだ」
「…人違いで」
「朝見ゆなさん、君に用事があってきたんだ」
…せめてすまで言わせて欲しい。
誤字などがありましたら指摘お願いいたします!