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〈ぼくは幽霊なんかじゃない……ぼくは、現実には存在しないんだよ〉
その言葉に、私は思わず子を胸元から引き離した。
「何……? 何だって……?」
子を見つめて聞き返す、私の声が掠れた。
私に似たその細い目には、憐れみの色が浮かんでいた。
子は宥めるような声で続けた。
〈ぱぱが自分の子供だと思い込んでたから、ぼくに見えてただけだよ。
他のみんなには、初めからずっと、ちゃんと『あっち』が見えてたんだ……〉
〈ぱぱは木箱にふしぎな力があると思ってたでしょ?
だから木箱を開けて『理想の子』が出てきた時、『木箱の力のおかげだ』って……〉
〈そう思うことでやっと、『本当の姿』を受け入れることができたんだ……〉
「おい、何を言って……ああっ!」
子は謎めいた言葉を残すと、棺桶の中から立ち上がり、暗闇の奥へと消えてしまった。
私も子を追おうと身体を起こし掛けたが、棺桶の壁にぶつかり、阻まれた。
「な、何なのだ。子の言っている事は、一体――」
そこで、ブツ、と電気が落ちたかのように、私の意識は途切れた。




