<2>(1)【※前話必読/ネタバレを含みます】
(1)
「な…、何故……! 中の子が、二人に……?!」
私は震えた。私が木箱に入れたのは息子一人だった。
なのに、蓋を開けてみるともう一人、別の男の子が増えていたのだ……!
てっきり以前と同じ様に、息子が利口になるだけだと思っていたが……!
二人の男の子は、共に箱の中で膝を抱えるようにうずくまり、すやすやと寝息を立てていた。
私は恐怖に慄きながらも木箱を覗き込み、まじまじと二人の顔を見た。
……一人は確かに私の子……
凡庸だが私に似ている、かわいらしい、私の……
そしてもう一人は、息子と同じ年頃だが、全く知らない男の子だった。
しかし、利発そうで、容姿の整った美しい男の子だった。
こんな息子がいたならば、大いに自慢であろうという、……
……
私は木箱の中から、容姿の整った利発そうな男の子を抱き上げた。
もう一人の子は、そのまま木箱の中へ残すことにした。
中の子を起こさぬように静かに木蓋を閉めて錠を掛け、物置を出る。
すやすやと眠る美しい男の子を胸に抱き、ひたひたと廊下を戻っていった。
……私は何をしているのか。
子を入れ替えたところで……妻になんと説明するつもりなのか……
言い訳の思いつかぬまま、妻が食事の用意をしている台所へと向かった。
台所の入口まで来た所で妻が気付き、こちらを見た。
「……」
妻は無言でじっと、私の抱いた男の子を見た。
私もじっと妻の目を見た。額からタラリ、と汗が落ちる。
しかし数秒間の沈黙の後――妻は微笑みながら私達に近付くと、男の子の頬を撫でた。
「ふふ、この子ったら寝ちゃったの? もう晩ごはんよ、起きて」
妻は何も……言わなかった。




