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【怪談・短編】箱  作者: Dostoicski
<2>
2/10

<2>(1)【※前話必読/ネタバレを含みます】

(1)


「な…、何故……! 中の子が、二人に……?!」


 私は震えた。私が木箱に入れたのは息子一人だった。

 なのに、(ふた)を開けてみるともう一人、別の男の子が増えていたのだ……!

 てっきり以前と同じ様に、息子が利口になるだけだと思っていたが……!


 二人の男の子は、共に箱の中で(ひざ)を抱えるようにうずくまり、すやすやと寝息を立てていた。

 私は恐怖に(おのの)きながらも木箱を覗き込み、まじまじと二人の顔を見た。


 ……一人は確かに私の子……

 凡庸(ぼんよう)だが私に似ている、かわいらしい、私の……


 そしてもう一人は、息子と同じ年頃だが、全く知らない男の子だった。

 しかし、利発そうで、容姿の整った美しい男の子だった。

 こんな息子がいたならば、大いに自慢であろうという、……


 ……


 私は木箱の中から、容姿の整った利発そうな男の子を抱き上げた。

 もう一人の子は、そのまま木箱の中へ残すことにした。

 中の子を起こさぬように静かに木蓋を閉めて錠を掛け、物置を出る。

 すやすやと眠る美しい男の子を胸に抱き、ひたひたと廊下を戻っていった。


 ……私は何をしているのか。

 子を入れ替えたところで……妻になんと説明するつもりなのか……


 言い訳の思いつかぬまま、妻が食事の用意をしている台所へと向かった。

 台所の入口まで来た所で妻が気付き、こちらを見た。


「……」

 妻は無言でじっと、私の抱いた男の子を見た。

 私もじっと妻の目を見た。(ひたい)からタラリ、と汗が落ちる。

 しかし数秒間の沈黙の後――妻は微笑みながら私達に近付くと、男の子の頬を撫でた。


「ふふ、この子ったら寝ちゃったの? もう晩ごはんよ、起きて」


 妻は何も……言わなかった。

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