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神獣飼いの獣人少女 ~TSして猫耳生えた、猫としか会話出来ない。詰んでね?~  作者: くろぬか
1章

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第12話 ちょっとお触りしますね


 「突然の訪問失礼、私はグラベル・カラドロックという者です。陛下へ過去の友人が来たと伝えてもらえないだろうか?」


 「……はぁ?」


 急に王宮にお邪魔したのだ、門番の訝し気な態度も頷ける。

 ここで門前払いを食らう事も予想していたので、断られるのであればそれでも良いとも思っていた。

 ただただ、今後この国になるべく関わらない様にするだけ。

 でももしも顔を合わせる事が出来るのなら、一言聞いておきたかったのだ。

 お前は何がしたかったんだ? と。


 「どこの田舎者かは知らないが……そんな情報だけで王宮に入れるとでも思っているのか? 特別な許可がないと、敷地に踏み込む事さえ出来ない場所だぞ? 爺さんが住んでいる田舎だったら、領主の家に急に訪れても迎えてくれるのかもしれないが、ココは国なんだ? 分かるか?」


 まぁ、こうなるだろうとは思っていたが。

 昔ならまずは用件を聞くくらいは、下の者にも指示を出していた男だと記憶していたのだが。

 今では身分証の提示さえ求められず追い返される有様だ。

 国が大きくなった影響なのか、それともまた別の何かなのか。

 ふぅ、とため息を溢してから。


 「いや、すまない。久し振りにこの国に立ち寄ったのでね、懐かしい顔を見たくなっただけだよ。仕事の邪魔をして悪かった」


 そう言って大きな門に背を向けて歩き出してみれば。


 「……グラベル様? グラベル・カラドロック様ではありませんか!?」


 庭先から、急にそんな声が聞えて来た。

 随分と慌てた様子で此方に走って来る女性が一人。

 えらく豪華なドレスに、何故か片手にはスコップ。

 彼女は……えぇと?

 ガツンとぶつかる勢いで、鉄格子に張り付いて来た彼女は。


 「まさか、アレクシア……か? アレクシア王女」


 「そう呼ばれたのは随分と懐かしいです」


 クスッと笑う彼女は、緩い笑みを浮かべながら門番に開門の指示を出す。

 先程俺を追い返したばかりだというのに、こんな指示を出されれば気まずい所ではないのだろう。

 門番はキッと表情を引き締めながら、必死に視線を逸らしていた。


 「どうぞグラベル様。ようこそ、我が家へ。本当にお久し振りです……お会いしたのは戦争前ですから、もう二十年程になりますか?」


 俺の記憶では十歳にならないくらいの少女だと記憶していたのが、やはり時の流れは早い。

 今では近くに居るだけで緊張してしまいそうな程、美しい女性に成長しているのだから。


 「あぁ、そうだな。君こそ……この言葉遣いも不味いな、王女殿下もお元気そうで――」


 「その言葉遣いは嫌です。以前の様に気安く喋って下さいませ」


 「……アレクシア王女も元気そうで何よりだ。大きくなったな」


 「はいっ! グラベル様。この歳で子供扱いされるのも変な感じですが」


 満面の笑みを浮かべる彼女は俺の腕に抱き着いて来て、服に顔を押し付けてから何故か深呼吸している。

 何をしているのだろうか? もしかして、臭かったりするのだろうか。

 なんて、少しだけ不安になってしまった頃。


 「相変わらず、グラベル様は良い匂いがします。昔の私は、貴方の近くに居る時が一番安心出来ましたから」


 「匂い? 何か特徴的な体臭でもするだろうか?」


 「いえいえ、お気になさらず、私が好きなだけなので。土とお日様の匂いです」


 良く分からないが、嫌な臭いを放っている訳ではないらしい。

 ひとまず安堵の息を溢してから、改めて彼女と向き合った。


 「急に来てこんな事を言うのも何だが、アイツは今……何をしている? 直接話がしたいんだが、会わせてもらう事は出来ないだろうか?」


 そう言葉を紡いでみれば彼女は気まずそうに視線を逸らし、正面に広がる巨大な城……ではなく、その脇を指差した。

 そこには大きな石碑が建っており、確か歴代の王の名が刻まれていると記憶していたが。


 「戦争が終わって、すぐ後になります。お父様は天に召されましたわ。本人も天罰だと、最期までそう呟いておりました。でも、でも信じて下さい! お父様は決して利益の為に戦争を起こした訳ではないのです! 私達姉弟を守るために、攻め込んで来た獣人族と戦っただけなのです!」


 必死に訴えかける彼女に掌を向け、額に集まって来た皴をグリグリと伸ばす。

 少し待って欲しい。

 アイツが……以前の国王が既に死んでいる?

 年齢で言えば俺と同い年だから、生きていれば六十前半だった筈なのだが。

 若くして天命を終えた上に、戦争そのモノも何か裏がある御様子。

 こればかりはちょっと、いますぐ理解するのは難しいかも知れない。


 「すまない、少々理解が追い付かなくてな……ちなみに今は? 王子が頂点に立っている状態なのか?」


 少しばかり混乱しながら言葉を紡いでみれば、俺の一言により表情に影を落とす王女。

 本当に、どうなってしまったんだこの国は。

 思わず頬を引きつらせながら、彼女の言葉を待ってみれば。

 アレクシアは何かを決意した様子を見せながら、再び俺向かって視線を向けた。

 そして。


 「“今”をお見せします。ですからどうか……もう、この国を救おうとは思わないで下さいませ。神獣狩りの冒険者、グラベル・カラドロック様。貴方に頼る権利も資格も、もう我々にはありませんから」


 今にも泣きそうな顔をしながら、彼女はそんな事を呟くのであった。


 ――――


 「全く……アイツは何をやっているんだ」


 思わず愚痴を溢しながら、宿屋の廊下を歩いていく。

 いつまで経っても帰ってこないグラベル。

 なので一度受付に足を運んだ訳だが、なんと隣の部屋のキャンセルさえ行っていなかった。

 いくら昔稼いだ金があるとは言え、無限ではないのだ。

 どうにか事態を説明し、従業員が部屋を確認後、未使用である事が確認され返金対応はしてもらったが。

 残念な事に少なくないキャンセル料が取られてしまった。

 くそっ、もっと早く伝えていればここまで無駄金が発生しなかったかもしれないのに。

 これで女の匂いの一つでも付けて帰ってくる様なら、一晩中説教を食らわせてやろう。

 状況によっては魔法を行使してでも。

 人族の老体に近づいて来たとは言え、アイツも男なのだ。

 私に隠れて娼婦を買っていてもおかしくはない。

 そんな事を考えると、非常にムカムカしてくる訳だが。

 更に言うなら、この宿屋の従業員の態度だ。

 女児にも使用できる遊具などは無いかと、駄目元で相談してみた結果。

 なんと小動物が遊ぶ様な毛糸玉を渡そうとしてきたのだ。

 我々が連れている女児というのが、獣人のスーである事を知っての対応なのだろう。

 あまりにも頭に来て、その場でカウンターを凍らせてやったくらいだ。

 というか、今この国はこんなにも獣人を軽視しているのか?

 私が以前グラベルと共に滞在した時は、もう少しマシだった気がするのだが……なんて、考えるだけ無駄なのだろう。

 時代とは流れていくモノだ。

 森に長く引きこもっている間に、こちらの常識が変わった。

 そんなもの、よくある事だ。

 だからこそいちいち気を荒立てても仕方ない、それは分かっているのだが。


 「はぁぁ……駄目だな。こんなにもイライラしながらスーの前に立てば勘づかれる。子供は大人の感情に敏感だと何処かで読んだ」


 扉の前で何度か深呼吸を繰り返し、両方の頬をムニムニと引っ張った後。

 ニコッと微笑みを作りながら扉を押し開いた。


 「スー、喉は乾いていないか? 受付で菓子の類と共に色々貰って来た。サービスだそうだ。夕飯まではもう少し時間があるから、遠慮せず――」


 笑みを浮かべて、受付の従業員から頂いて来た(むしり取って来た)バスケット掲げてみたが。

 そこには、非常に奇妙な光景が広がっていた。


 「待て、お前達。何をしている」


 丸テーブルの両脇に腰かけたスーとシャームが、難しい顔を浮かべながらテーブルを睨んでいた。

 そして、そこに置かれているのは。


 「チェスだ。エルフはチェスを指さないのか?」


 シャームの言う通り、テーブルにはチェス盤が置かれていた。

 しかし待て、相手はスーなのだ。

 言葉さえも理解出来ず、獣狩りの囮に使われていたであろう少女。

 だとすればチェスの指し方を知らない処か、戦略など考えられる筈も無い。

 あれは非常に頭を使うゲームだ。

 ならばスーにそんな事が出来るはずもない、なんて思っていたのだが。


 「むぅ……どうにも逃げだせないな、私の負けの様だ。凄いな、スー。お前は頭が良い」


 そう言ってシャームが負けを認めたでは無いか。

 駒の動きさえ理解すれば、ゲーム自体は出来る。

 しかしながらその動きを完全に記憶するのが前提の上、全体の流れを支配するのがこのゲームだ。

 だからこそシャームが手を抜いたとか、スーに勝たせて機嫌を良くしようとしているのかと思っていたのだが……盤面を見る限り、そんな事は無さそうだ。

 間違いなく、理解した上で戦術的にシャームの駒を獲りに来ている。


 「スー、今度は私と勝負をしようか」


 狼娘を押しのけ、椅子に腰を下ろしてみれば。


 「リリシア、――!」


 なんとなくだが、おかえりと言っているのだろう。

 ニパッと明るい笑みを浮かべる彼女に対して、思わず頬を緩めて頭を撫でまわしてしまった。


 「ただいま、スー。私とも遊んでくれるかい?」


 微笑みながらそう言っていれば、彼女は自分の駒を定位置に戻し始める。

 やはり賢い子だ。

 言葉は通じなくとも、雰囲気と表情で読み取っている様だ。

 そんな事を思いながら今しがた貰って来た菓子とお茶を準備して、改めて盤面と向かい合う。


 「さて、スー。見せてくれ、君の実力を」


 この時ばかりは、少々悪い笑みを浮かべてしまうのであった。


 ――――


 「か、勝てねぇ……」


 『お前ら、まだやるのか?』


 暇そうなビルの声を聞きながら、チェスを勤しんでいた俺達。

 シャームには勝てたのだ。

 だからこそ「これは俺の異世界チートの予感!」とか思ってしまったのだが、リリシアに全く勝てない。

 え、何手先まで読んでる? ってくらいに、完全に遊ばれていた。

 これでも中学では将棋部だったのだ。

 全然活躍しなかったけど、ボードゲームのいろはには詳しい筈だった。

 でも勝てない。

 “こっち側”にもチェスがあった事にテンションが上がって始めた勝負だったが、こうも連敗が続くと流石に疲れて来る。

 リリシアの何度目かの完全勝利を目の当たりにして、思わずぶへぇぇと情けない声を出しながら両手を上げた。

 駄目だコレ、全然勝てる気がしない。

 集中して疲れた目元を揉みほぐしながら、ビルを抱いてベッドに飛びこめばムムもすぐさまやって来て首元に纏わりつく。

 だぁぁくそう、全然勝てなかった。

 グスンと涙を呑みながらビルをムニムニしていれば。


 「スー、――」


 ちょっと困った顔をしたリリシアが、隣に寝そべって来た。

 そして反対側にはシャームが、何やら不満げな顔で言葉を紡ぎながら寝そべって来る。

 これだけで情報量の暴力だ。

 もはやチェスとかどうでも良いとか思っちゃうほどの美女が、両サイドで挟んでくれているのだから。

 しかも二人共薄着なのだ。

 ホテルや旅館の貸し出しバスローブ的な物だろうか?

 なんか薄手のキャミソールみたいな代物を着て、その上からガウンを羽織っている。

 何故日本はバスローブや浴衣だったのだろうか、絶対こっちの方が色っぽいのに。

 いやでもこの二人ならバスローブ姿とか、浴衣姿も見てみたいな。

 などと下衆な考えを抱きながら、二人からいじくり回された。

 頭をポンポンされたり、腰に手を回されてギュッとされたりと。

 非常に保護的な触られ方だったが。

 ふむ、これはあれか。

 美女に触れられるのを待つのではなく、俺が触りに行けば良いのか?

 幸い今の俺は女児だ、女の子なのだ。

 だったら、触っても怒られないのでは?

 何て事を思ったが、流石に直接おっぱいをガシッと行く訳にもいかず。


 「よしっ! マッサージをしよう!」


 『……なんて?』


 ビルにはこれまた呆れた顔を向けられてしまう訳だが、良いじゃないのマッサージ。

 我ながら天才的な発想だよ。

 合法的かつ、合理的に女体に触る事が出来るのだ。

 本職の方に聞かれたら、こんな思考回路を持っている時点でぶっ殺されそうだが。

 しかしこれ以上の戦略は無いだろう。

 という訳で、まずはリリシアから。

 相手の背中に乗っかり、掌を当ててみれば。


 「スー?」


 ちょっと驚いた様な、困惑した様な目を向けられてしまったが。

 どうにか背中を此方に向けてもらい、腰を揉み始める。


 「これはまた……ちょっと癖になりそうな」


 凄い、なんかこう指にしっとりと弾力が返って来るというか。

 ウチの母親や父親にやった時に比べれば、天と地ほどの差がある。

 指先が幸せ。

 後なんか発音が違うせいか違和感があるが、リリシアから普段聞こえない様な声が聞えて来る。

 実に効いている様だ、耳も幸せになって来た。

 お? ここちょっと凝ってますねぇ、揉んどきますわ。

 などとやっていれば、やがて揉まれる事に慣れて来たらしいリリシアがベッドの上で脱力していく。

 今では気の抜けた声を上げながら、大人しく揉まれている程だ。

 良きかな良きかな、俺の指先も幸せです。

 とっても柔らかくて暖かいです。

 なんて思ってみたが、もう一人居るじゃないか。


 「シャーム、そこに寝て」


 何故だかちょっと警戒した様子の狼さんが、身体を固くしている訳だが。

 これはいけませんねぇ、揉みほぐしてあげなければ。

 指先をワシャワシャしながら、狼さんにも襲い掛かるのであった。


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