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【完結】人の不幸が大好きな悪役令嬢、ざまぁのために頑張っていたら普通に溺愛されてますわ?  作者: 鬼影スパナ
幼少期編 ~私、詳しいんですのよ!~

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魔法の講師がきたのですわ!


 庭師ベックの協力により薬草が畑に広がりつつあるのをホクホク顔で眺めていると、ヤルコット侯爵が声をかけてきた。

 その後ろには白衣を着た優しそうなおじいさんが同行している。


「やあコレハ。これが欲しがっていた畑かい?」

「お父様! ええ、畑とは、(カネ)の生なる木のようなものですわねぇ」

「ははは。木には金は生らないんじゃないかな」

「比喩というものですわ。風情を理解してくださいまし」


 言っている内容にそもそも風情がないのでは? と思いつつもヤルコット侯爵はそれを流す。所詮は五歳児の戯言でもあったので。


「そうそう。今日はコレハに魔法の先生を紹介しようと思ってね」

「あら。家庭教師の先生が見つかりまして? ということは、そちらの方が?」

「うん、王家に頼んで毒に詳しい魔法使いを雇うことができたんだ」


 それはつまり暗部とかそっち系の危ない人なのでは? とコレハは考えたが、どうせ毒魔法自体が危なそうなのでその考えは捨て置くことにした。

 改めて、ヤルコット侯爵の連れてきた家庭教師のおじいさんに向かい合うコレハ。


「お初にお目にかかりますわ。ナイアトホテプ侯爵家が長女、コレハ・ナイアトホテプですわ」

「おお、よくできたお嬢さんだ。儂はロボロフスキー・ハスター。医者で、水と土の二重属性(ダブル)じゃよ。よろしく頼むよ、コレハ嬢」

「お医者様でしたか!」


 なるほどそれなら毒にも詳しいはずだ。と、コレハは納得した。

 しかも二属性(ダブル)ときた。流石は王家の紹介といえよう。


 そして、医者となると増々丁度いい。目の前に広がる薬草、その価値を良く分かってくれるはずだ。なんなら高く買ってくれるかもしれない。

 コレハの目がまた(カネ)になった。


「コレハ嬢は毒魔法が使えるようになったとか。であれば、もし政敵から食事に毒を仕込まれても、それを無効化すらできるようになるじゃろう」

「うふふ。よろしくお願いしますね、ロボロフスキー先生」

「ほう、早速先生と呼んでくださるか。心を入れ替えた、とは噂で聞いておったが……」

「? 家庭教師の先生ではないのですか?」

「いやはや、まさにその通りじゃ」


 感心して頷くロボロフスキー。

 ……よほど以前のコレハの評判が悪かったのだろうか、と空を見上げざるを得ない。


「ところでコレハ。この畑では何を育てているんだい? ホウレン草かな?」

「違いますわお父様。ここにあるのは薬草ですの」

「何じゃと!? 薬草とな!?」


 横から医者であるロボロフスキーが食らいついた。


「……ふむ、ふむふむ! 言われてみれば確かにこれは野良薬草のキヤス。野良薬草など畑で育てるほどのモノではないと思っておったが……これは凄い!」


 じぃっと畑に均等に並んでいる野良薬草(コレハちゃん強化バージョン)を見つめるロボロフスキー。


「この品質であれば立派にポーションの材料として成立するじゃろうな。これほど良質な野良薬草があったとは……!」

「……あー、その。ロボロフスキー先生。浅学な身で申し訳ない。お聞きしたいのだが、確か薬草とは畑では育てられないのではなかったか?」

「ああ。侯爵殿の言う通りじゃ。通常ポーションに使う薬草、ナオリ草は森の良質な土と豊富な魔力が必須でのう……しかし、キヤスは違う! キヤスはその辺でも育つほどの強い草じゃ! 畑なら間違いなく育つじゃろう」


 じぃ、と畑を見回すロボロフスキー。そこには青々ととしたホウレン草のように立派なキヤス達が規則正しく並んでいる。


「あ。ウチの庭師のベックが言うには、葉っぱ全体に普通の薬草の半分くらいの薬効がありそう、とのことでしたわ」

「侯爵家の庭師、確か植物魔法の使い手じゃな!? であれば鑑定結果に間違いはなかろう!……おお、おお、素晴らしい! これは革命じゃああああああ!」


 急に立ち上がり、両手を天に掲げるロボロフスキー先生。


「……ねぇコレハ? コレハはどこでこの薬草を見つけたんだい?」

「そこらへんに生えてたのを私の魔法で強化してみたんですのよ、お父様」


 コレハは「うふふん」と得意げに胸を張った。


「毒魔法とはそういうこともできるのか……!?」

「なんと!?……これほど優秀なお嬢様に、儂、教える事ありますかのう?」

「(お、いいしょぼくれ顔ですわ!)」


 ショボンとやるせなさを浮かべるロボロフスキー。不意打ちのプチ不幸な表情にコレハは少しホッコリした。

 とはいえ、毒魔法の強化のためにも教わることは色々ある。


「普通に魔法の基本とか毒の対処とかできるように、教えてくださいましね?」

「お! そうですな! お任せくださいコレハ嬢」


 プチ不幸でホッコリしたコレハは、未来の悪役令嬢としての美麗な顔とあいまって、ふんわりと優しく微笑む形となっていた。

 その微笑みに、ロボロフスキーもやる気を出した。



 その後、薬草を売る時は是非任せて欲しい、とロボロフスキーと契約書を交わすことになる。

 あと、なんやかんやちゃんと魔法も教わることができた。




ロボ爺「数をこなすのは確かに訓練効果がありますじゃ。あと、重ね掛けでもう1段キヤスの品質を上げられそうですじゃ」

コレハ「うぉ、マジで上がりましたわー!?」


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