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【完結】人の不幸が大好きな悪役令嬢、ざまぁのために頑張っていたら普通に溺愛されてますわ?  作者: 鬼影スパナ
幼少期編 ~私、詳しいんですのよ!~

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婚約者、第一王子について。



「侯爵様。お嬢様は毒属性に適性をお持ちのようです」

「ふむ、そうか。ご苦労、下がって良いぞ」


 もちろんイモ属性などという戯言が通じるわけもなく、あっさりと父親であるヤルコット・ナイアトホテプ侯爵に毒属性がバレた。

 魔法を使ったその日にすぐ鑑定士が呼ばれ適性検査を受けさせられたのである。


「……あの、お父様……?」

「なんだいコレハ?」


 にこりと優しい笑みを浮かべるヤルコット侯爵。

 その笑顔は乙女ゲー主要キャラの父親として相応しいイケメンである。全ルート悪役令嬢使いまわしでケチっている『かお☆みて』において、ルートはもちろん立ち絵すらもなかったはずだが……うん、DLCで登場した隠し攻略キャラですと言われても違和感はない。


 コレハは意を決して疑問を口にした。


「……毒属性なんて禍々しい、とか、そういうのってありませんの?」

「何を言うんだ、むしろ王侯貴族には垂涎のレア属性だぞ。胸を張りなさい」

「あら、そうでして?」


 もしかしたら毒属性を理由に家を追い出されるかも――なんて心配もしていたが、そういえばゲームのコレハも毒属性なのに普通に、むしろ我儘になるほど甘やかされていた。



 つまり、毒属性は家を追い出される理由たり得ないのである。



「なにせ毒属性魔法があればいくらでも毒を防げるからね。まぁ、平民には印象が悪いから多少ぼかすが……流石にイモ属性はないな」

「ううっ、それは咄嗟に出てしまったのですわ」

「変則型の水属性としておこう。ナイアトホテプ家は水属性が多いからそれで問題ない。……ああ、王には報告しておかないとな」


 というわけで、コレハは今後表向きは水属性を名乗ることになった。

 ……というか、毒を防げるならなんでコレハはゲームでメイドに毒を盛られたんだろうか。信頼していた……いや、きっと道具が反抗するとは考えもしなかったんだろう。ゲームのコレハはそういうキャラだった。

 あるいは、シナリオライターが毒魔法の存在を忘れていたに違いない。



「しかし、芽の出たジャガイモに毒があると良く知っていたね。ちゃんと勉強しているようで少し安心したよ」

「ふぇ!? え、ええ! もちろんですわお父様。淑女の嗜みですの」

「これなら王子の婚約者もちゃんと務められそうだ」



 ――んん? 王子の婚約者……あっ! そういえばゲームでは婚約者でしたわね。



 悪役令嬢のコレハは、当然メイン攻略者ことハークス・ダイード王子の婚約者である。

 ついでに言えばもう顔合わせは済んでいた。前世の記憶が戻る数日前のことである。



 ――先に思い出していれば、王子との婚約を機に心を入れ替えることにしましたの、とエマを簡単に納得させられたかもしれませんでしたわね……まぁ今からでも遅くありませんわ。


「そうです。私、ハークス様との婚約を機にもっとしっかりしなければならないと思い至った次第なのですわ」

「ああ。そうだね、馬鹿王子にコレハは勿体ないが、王子は王子だものね。今からしっかり手綱を握ればまだ矯正も効くか……」


 父ヤルコットの王子に対する評価はひどく辛辣な物であった。

 何故だろうかとコレハが先日の顔合わせを思い出してみると、王子のシルエットはややぽちゃっとしておられたのである。これはこれで可愛らしくもあるが……

 そして、コレハがたどたどしくも淑女の礼をしたにも拘らず、王子は不貞腐れてふんぞり返っていたのだ。

 しかも、自分の態度を棚に上げて「フンッ、未熟だな。そんなことで将来王妃になれるとでも思っているのか?」とまで言い放ったのである。五歳児やぞ。おい。


 ――なるほど、これは俺様系王子ですわね。


 その後も何が気に食わないのか、いちいち「フンッ」とセリフの前につけていた。

 思い返せばあまりにもフンフン言いすぎている。あれはお肉で鼻が詰まっていたのかもしれない。……そのためのぽっちゃりか、とコレハは脳内で納得した。


 我儘な俺様系になるお子様に王の素質があるかどうかと聞かれれば、若干不安なところではある。今は特に戦乱というわけでもないので尚更だ。(とはいえ、ゲームでは魔王の復活等のイベントもある。俺様系くらいで丁度良い王子になるのだろう)


 だが、そのくらいの王子の方がざまぁのし甲斐があるというものだ!


「好きなようになさい、コレハ。お父様はどんなコレハも応援するからね」

「ええ、吠え面かかせてやりますわ!」

「ハハハ、どこで覚えたんだいそんな言葉」

「おーっほっほっほ! 私、お勉強してますのよ!」

「そうかそうか。結構なことだ。しかしはしたないのは程々にしておくれよ?」


 勿論前世の記憶からなのだが、それはそれ。

 微笑ましくも努力家な娘を見つめるヤルコット侯爵の目線はニコニコと優しかった。





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