召集、そして会合
傷も大分癒えてきた頃、召集がかかった。
広い石造りの会議室。
私とわかばは、互いに無言のまま席に着く。特務遊撃隊の席は少し端、だが前列に用意されていた。
そこへ、一際重い足音が響く。
巨大な鉄の塊が石の床を鳴らす。
「ギギギ…」と鈍い音と共に現れたのは、第二部隊隊長、ヴォーグ。
鋼鉄の機械の身体、無表情な顔の中で、赤い瞳だけがじっと私達を見据える。
「…特務遊撃隊、なるほど、今回の会合は少し危険な香りがするな」
次に、木の扉が静かに開く。
「遅れてすまん」
入ってきたのは第四部隊隊長の閏間様、柔らかい表情を浮かべ、私と目が合うと一瞬だけ目元を細める。
「佐介、わかば、ご苦労だったな、フォルテの事は残念だが、任務は成功させた…誇らしい限りだ…」
「…閏間様」
やや遅れて、リュウガ団長とヒュウガ副団長、ハガネ副団長が入室。
確かな緊張感がこの場に走る。
「ーーーでは、作戦の要点を伝える、今回任務の対象は、東方のモリス渓谷にて目撃された妖魔群、中には大型個体も確認されており、幹部級もいる可能性もある」
ヒュウガが地図を掲げ、印を示す。
「現地はこの渓谷地帯、、第二、第四、第五部隊特務遊撃隊の連合大隊を組み、挟撃する形を取る予定だ」
リュウガが続ける。
「特務遊撃隊には、索敵と先制を任せたい、最前に立ち、相手の出方を見てくれ、だが、無理はするな」
ヴォーグが静かに口を開く。
「…生身で我より先行するとは、大した胆力だ」
閏間は苦笑を浮かべる。
「遊撃隊は2人だろう?危なっかしいと思う反面、妙に安心感もある、不思議だな」
リュウガが最後に言った。
「――では、出撃は明朝、各員、準備を整えておけ、無事を祈る、解散!」
号令と共にそれぞれが立ち上がり、その場を後にする。
私もわかばと共に席を立つ。
目の前にまたもや見知った顔の男が1人。
「やはり君は、期待以上だな、今回は俺も参加する、鬼神のような活躍がまた見れるのだな」
第二部隊副隊長、ガラム、私をここへ招き入れた張本人だ。
「…感謝している、あのまま戦い続けていたら私は今頃は骨になっていただろう」
「謙遜する事はない、期待している」
そう言い残しヴォーグに続いた。
どんな大軍が押し寄せようが、必ず斬る、私はその為にここへ来たのだ。