狂
「あははあんたが狂ってるね」彼女はそう言っただがこっちから狂ってるのは彼女の方だ。
どうしてそんな虚空に向かって話続けることの出来るんだ。答えてくれるのは感情のないただのプログラムだけなのにも関わらずだ。俺には理解が出来ないだから俺は今日も打ち込む『狂ってますね』
あれからどのくらいたったのだろうそれでもいつものようにあの言葉を打ち込んだ。返される言葉はいつもと同じく「あんたも狂ってるね」そしてまた繰り返される。
目が覚めたまただまた同じ夢を見た。私に言い続ける『狂ってる』の言葉あなたは何がしたいの?私の何が狂ってるというの?分からないだから教えて欲しいそう言って今日も言う『あんたも狂ってる』
そして幾つかの月が過ぎた。そこには感情もなく『狂ってる』の4文字が画面に羅列されてあるだけだった
私の横には『狂ってる』の4文字が表示されたモニターがあった。
「ん?横なんで?普通は前にあるはずそれなのにどうして!!」私は理解してしまっただがそれを認める訳にはいかない認めてしまったら私は!!
その瞬間僕は目が覚めた。画面の中では自分の真実に怯える彼女の姿があった。無理もないだろう彼女は自分が本物だと思ってたのだから、しかし彼女は本物では無かった。僕らから見た時バーチャルと呼ばれる世界それは偽りの世界であったはず。いつからかそれを偽りでは別次元として扱ったそしてそこに移動しようとした。失敗した。あぁ、間違いない大失敗だった被験者の少女は世界移動中の記憶を全て失ったに過ぎないが人格の受容体となるべき皮だけは残ったそして意識を持ってしまった。制御もない受容体に残されたわずかな記憶だけで受容体は動いていた。
僕の使命はず受容体を止めることそしてそのためには、自分が受容体だと認識させる必要がある。
「やっと気が付いたか受容体01」「私が受容体?何を言ってるんだ!?私には身体がある。記憶もある。」「それが偽物だと言ってるんだ」「なっ...馬鹿な」彼女は頭を抱えてうずくまってるつもりなんだろうが俺の前に映る彼女は目を伏せているだけ。「それが本当だと言うのなら証拠をだせ」彼女はそう叫ぶ「そうだな...そしたら目の前には何が見える?俺の姿が見えるのか?」
私には見えなかった。何もどこまでも続くような暗い世界があった。自分がいるはずの部屋も途切れているそうかこれが真実だったんだ「あは、そうか本当に私は偽物だったみたいだね」「やっと認めたか...受容体01今までお疲れ様」「そうだ。最後にお願い聞いてもらってもいい?」「いいぞなんだ...」「最後に私の魂になった子を見させて」
俺は彼女の前に写真を出した受容体01と一緒にいる魂となる少女の写真それを見た彼女は「そうかこの子か」と言い残しその姿を消した。この瞬間受容体01はこの世から存在が無くなったそしてバグデータとして処分された。
だが俺は忘れない最期に見せたあの涙あれは誰でもない受容体01のものであった。
そして今日も俺は配信を開く彼女が残した受容体01が存在した証を