皮肉屋の作品
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
皮肉屋が皮肉を好む理由って、
『ちょっと面白くしよう』
という心理があるそうなんですよ。
ある日の事。涼を取りにとある館を訪れた時の事。玄関口を超えると重厚なパイプオルガンの音が聞こえて来た。それは一つの旋律を紡いだ後、唐突に鳴り止み、また新たな旋律を響かせる。
「この館の何処にいても、自らの存在を証明する様に歌うその様は、やはり良いものだね」
彼女は笑いながら、ピアノの鍵盤を叩き、ニヤッと笑った。
「それは皮肉かい?」
「いやいやいや? これは褒め言葉だよ? 何時までも聞いていたい程。良い夏の昼だ」
どうやら本当に褒めているらしい。本気で皮肉を言ったのならば、この問に肯定を示すから。
彼女は結構な皮肉屋である。相手を詰る時、率直に物を言うことはほぼ少ない。多少捻り、ひねくり、時折皮肉とさえ分からない様な物言いで相手に告げる。
「君は褒めているのか、貶しているのか分からなくなる時があるな。もう少し分かり易く物を言うことは出来ないのか」
「それは私の、皮肉を交えた物言いについて?」
それに頷くと、彼女は僅かに口角を上げた。『土台無理な話だよ』と言うように。
「皮肉屋の心理を見たことがあって、それに深く同意したことがある。私達皮肉屋にとって、話す言葉、特に皮肉というのは一種の作品なんだ。それだけかなり拘って話している。
君、創作をやってる人間が一番気に入らない言葉はなんだか分かるかい?
それは『凡庸』だよ。それは見る価値がないと言われるに等しい。何の変哲もない、有り触れた作品なんて、誰の目にも記憶にも残らない。価値がない。
だから私達が好んで話す『皮肉』というのは、有り触れた言葉から一線を期す為に、言葉に細工を施したものなのさ。
それで君が何かしらの気付きを得たり、考えた上で感情が動いたなら、私達は本望だね」
そう言って、またニヤリと口角を上げた。
大変口の悪いお言葉
「それ、『面白い』と思って言ってるのかな? もしそうなら、君とは仲良く出来ないね」
「君が吐く言葉には、拘りが感じられない。拘りのない、軽薄な言葉は何時聞いても不愉快だね」
「まるで小学生の冷やかしのようだ。うん? それでは小学生に失礼か。 あの子達にはまだ、伸び代があるもの」
皮肉屋が皮肉を言う理由について、
『ちょっと面白くしよう』
という心理があるそうなんですよ。
率直に言っても詰まらないから、少し捻じろう。
といったところかと。
私も書く上でそうした事はかなり意識してるので、気持ちはよく分かります。
ここから下、なんでも許せる方向け。
『どうせ○○って、○○なんでしょ?』
とかって、知るはずもない人がそう言う事言うじゃないですか。
多分、私のように付け焼き刃の知識を披露しているだけだと思うんですが。
そういう時
『○○でもない癖に、勝手な事言うな』
というよりも、
『へぇ、君は○○だったことがあるだねぇ』
という方がぶっちゃけ好きなんですよ。
考える余韻と言いますか、厚みがあると言いますか、それが好きなんです。
ちなみにこの時の心理状態は。
『そんな分かったような口を効けるという事は、それなりの根拠があるんだよね?
実体験もしてるから、そんなでかい口叩けるんだよね?
※でも物理的に無理だから。
知りもしない癖によくそんな事言えるよね?
出直して来なよ』
という意味です。