2話 キザムモノ
2話 キザムモノ
私が転生してからしばらくがたった。異世界も少しずつ慣れてきたような感じだ。私はまだソリットくんしか呼んだことなかったけれど、前言ってたルナって人も呼んでみようかな。
「ムノタヲノ クリョジ二 レワヨノモ ムザキ!」
そうすると目の前が眩しくなった。そして出てきたのは女性だった。銀髪、黒い瞳159cmくらいだろうか。
「...あれソリットじゃない?ああ、なるほどソリットが言っていた新しいパラレルワールドの人か」
「え?」
「え?」
「なんで知ってるんですか?」
「ソリットが教えてくれたからさ」
「そんなことまでできるんだ…」
「まあ一旦自己紹介からかな。私はルナ、17歳。あっちの世界では炎日最強の兵士と言われているよ。あなたは?」
結構しゃべるのが好きなのかも知れない。ただどことなくこう、母親のような安心感のある人だな。
「私はあまみすいせいと言います。一回前世で死んじゃって、転生した人です。ただ実はソリットくんと同じ故郷でした」
「へえ、ソリットと同じ故郷で生まれたんだ」
「あ!あの、聞きたいことがあるんですけど良いですか?」
「いいよ!なんでも聞いちゃって」
「ソリットくんが来たときに私世界最弱っていわれたんですけど本当ですか?」
そう聞くとルナさんは少しの間黙って、
「まあそうだね、一応数字に出してみる?」
と言ってきた
「はい、お願いします!」
はたしてどんなステータスなんだろうと思った。
「ハ!」
ルナさんがそういうと私のステータス画面的なのが出てきた。
あまみすいせい(15)
レベル:1
体力:8
攻撃力:6
スピード:7
防御力:3
知力:13
比較するものがなくてもわかる。マジで弱いな私のステータス...
「知力はまあ呪文とか、戦略をどれだけ知ってるかなんだけど...召喚呪文しか使えないならまああんまり変わらないかもしれない。ただまあ見えないけど魔力はいっぱいあるし、鍛練すればスピード、とか攻撃力は上がるから...」
「うんごめんなさい、何もフォローになってない」
「ああ、あとそこまで固い言葉使わなくていいよ」
「うーん...じゃあルナお姉ちゃんだね!」
その後、国王の許可をもらって炎日から少し離れた森に入った。理由は何となくお散歩したかったからそこでは歩きながら少し話をした。もっと言うとルナお姉ちゃんの生活や、私の現状なんかだ。
「へえ、ルナお姉ちゃんに妹が」
「そうなの、だからすいせいちゃんがルナお姉ちゃんって言った時少し驚いたよ。あとね最近は1人で他の人を守りながら敵と戦うってこともあって大変だったんだよね」
「それ、今回私守られる側にならないと良いな...」
そんな会話をしているときだった。周りの草影からモンスターが現れた。数は4匹、虎みたいなモンスターだった。フラグ回収が速すぎる!
「すいせいちゃん、絶対に私の近くから離れないでね」
「はい!」
これは私が出たら速攻返り討ちになるパターンだな。
「これだから1人じゃきつくない?私こういうの多いな...」
「でも私は出れない...」
「大丈夫だよすいせいちゃん!お姉ちゃんが守ってあげるからね!」
やっぱり安心感がすごい。ソリットくんとはまた違うなにかがある。
「よしきた!」
そう言ったときだった。
ブオオォォン グサ!!
私の体が引っ張られモンスターの後ろに行っていた。そして神速と言える突きで1匹目を倒した。それに怯えた他のモンスターが、少し引き気味にルナお姉ちゃんを見ている。けどそれを気にせず瞬間移動からの攻撃を繰り返して結局4匹すべて倒していた。
「ふう、前の反省を生かして1人でも誰かを守りながら倒せる方法を研究しておいてよかった...」
「か、かっこいい...」
ぶっちゃけルナお姉ちゃんに一目惚れしてしまった。
これ私ソリットくんとルナお姉ちゃんの間に入って良いのかな...?
4匹の虎のモンスターはイガータというらしい。名前に捻りがない。が、モンスターの中ではだいたい中堅ぐらいの強さらしく、4匹以上いると上位種にも対抗出来るほどの強さがあるらしい。それをルナお姉ちゃんは速攻で倒した。やっぱり私の周りは最強系主人公しかいないのではないのだろうか。そして今はルナお姉ちゃんを私の部屋に呼んだ。
「それで、私と2人きりになりたいってどうしたの?」
ここで私は本音を言う。
「私、転生者って事は知ってる…ていうかさっき言ったと思うんだけど、お母さんとかこの世界には親がいないからあんまり甘えられなくて...その膝枕とかして欲しいなーって...」
そう私が恥ずかしそうに言うと、ルナお姉ちゃんは少し笑った。
「はいはい、2人目のかわいい妹の頼みなら断れないね!」
私はその時ちょっと嬉しくなった。なんか私を家族とかそういう感じで受け入れてくれた気がした。それからしばらくはルナお姉ちゃんに膝枕をしてもらった。たまにはこうやって甘えても良いよね。
しばらくした後改めて私たちでお茶をした。お茶を交わすと何か絆を深めあえるかもという謎理論である。
そして1拍置いてルナお姉ちゃんが言ってきた。
「で、ソリットとはどうなの?」
「え?何が…」
ルナお姉ちゃんは何を感じ取ったのだろう。なんか心の奥の芯に問いかけられたような気がした。
「図星かな?」
ルナお姉ちゃんは少し微笑んで言う。
「いや…そんなんじゃ…」
そう言い切ろうとしたけど何か嘘をついてる感じがした嫌な気がした。
私は観念した。
「まあ…うん」
「やっぱり?」
「うん。どうしてもこの不思議な感覚が忘れられなくて」
「意外とすいせいちゃんってすんなりなびくもんなんだね」
「別に…軽い女ってわけじゃないけど…」
「そんなこと言ってないよ、ただもしかしたらって思うんなら一応未来や過去のことも頭に入れておいてね。自分もソリットも」
「うん、ありがと」
なんか私はスッキリした感覚で終われた。
しばらくその後も話した後にルナお姉ちゃんは帰った。正直私が将来どうなるかなんて想像がつかないな…
だめだ、一旦忘れよう。ソリットくんのこと考えるだけで1日飛びそう。
2話 終了