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4.初戦闘

 質問。

 あなたは命を懸けた戦いをした事がありますか。

 答え。

 ある訳ないだろ。


 そう。普通の男子高校生じゃ絶対に経験しないであろう事を今から俺は経験しようとしているのだ。

 生死を分ける戦い。

 命懸けの戦いだ。

 今の平和な時代、普通に生きてれば命を懸けた戦いなんて経験するもんじゃないのだから。

 

 「楽しませろよ、鳴瀬ぇぇぇ!!」

 

 最初に動いたのガルだ。

 大きな声で叫びと共に俺との距離を詰めてくる。何の捻りも無くただ真っ直ぐに突っ込んで来た。

 相当なスピード。

 ガルが蹴った地面はバリバリに砕けていた。


 「オラぁぁぁ!!!」


 相手が迫って来ている、だが俺は冷静だった。自分でも驚くほどに冷静だった。

 身体は熱いのに、脳は冷めていた。


 このスピード、数秒前の俺なら対応出来なかった。

 でも、数秒前の俺と今の俺は違う。ウィンの力を得た今の俺ならきっと対応出来る。何とか出来るって、そんな自信が湧き上がる。

 集中しろ。

 相手から目を離すな。

 相手の動きをよく見ろ。

 視線…、指先の動き一つ見逃すな。


 そう意識すると、ガルの動きが少しスローに見えた。

 これならイケる。

 

 俺はガルの攻撃を躱し、カウンター攻撃決め込む。

 さっきのお返し、ガルの腹に拳をぶち込んだ。

 手応えアリ。


 俺の攻撃をガルは防御出来ずに10m程突き飛ばされる。


 「す、すげぇ…」


 自分でも驚いてしまう威力。

 これがウィンの力。

 元の世界に戻ったら格闘技でも始めようか。

 今の俺なら格闘技の世界一も余裕でなれそうだ。


 「がはは…、いいねぇ…!」


 ガルは嬉しそうに言う。

 俺らの戦いを観戦している金田は信じられないといった表情だ。


 「もう一回行くぞ!」


 ガルは直ぐに態勢を整え再び俺に向かって来る。

 

 激しい攻防戦。

 何度も剣を振り。

 何回も重い拳を受ける。 

 瞬きをすることを、息をするのも忘れてしまう程に、一瞬も気を緩められない互角の戦いが続いた。


 「いいねぇ…最高に面白れぇぞ!」

 「元の世界に帰りたいだけなのによ、命狙われて、こっちは最悪だよ」

 「ハハッ。まぁそう言うなよ。これからもっと面白くするからよぉ!!」


 ガルの身体から蒸気が上がる。魂力も増した気がした。

 手のひらで地を叩き

 さっきよりも数段階スピードを上げてくる。

 目で追うだけでも精一杯。

 ガルの強烈な攻撃が俺を襲う。


 俺は全速力で横に飛び、攻撃を避けることに成功。

 間一髪だ。

 あと少し、少しでも遅かったら死んでたかもしれない。


 「避けてるだけじゃ俺には勝てねーぞ!!」


 ガルの激しい攻撃がコヨミを襲う。

 反撃をする暇もない。

 一方的な時間、ひたすらに避ける時間が続く。


 避ける事に専念していても全ての攻撃を避けれてる訳ではない。10回攻撃が飛んで来たとしたら1発は躱すことが出来ずにコヨミを襲った。


 クソ。ウィンの力を借りてもここまでかよ。

 身体を動かす度にズキッと強い痛みが俺を襲った。

 何処が痛いなんて具体的な箇所は分からない。躱しきれない攻撃でもう身体中傷だらけだ。

 徐々に体力もなくなって、もうダメか。そう思った時だった。


 その時、頭に再びウィンの声が響いた。


 《手こずってるみたいね、コヨミ》

 このヤバい状況で話しかけてくるなよ

 《あら、少しアドバイスしてあげようと思ったのにそんな態度取るの?》

 アドバイス?

 《この状況から脱する方法》

 教えろ!

 《えー。それが教えて貰う人の態度?》

 あー、もう!教えてください!

 《仕方ないわね。じゃあまず剣に魂力を籠めなさい》

 どーやって!

 《握力を測る時みたいな感覚》

 そんなんでいいのか!


 コヨミは思いっ切り短剣を握りしめる。

 すると、体の中に感じていたエネルギーが短剣へと流れていくのが分かった。

 短剣に力が溜まると変化が起きる。

 短剣が日本刀のような形へと変化したのだ。


 「形が変わった…」

 《それが本来の姿》

 「形が変わっただけであいつに対抗出来るのか?」

 《形だけじゃないわ》


 その瞬間。

 鳴瀬コヨミの主導権が入れ替わる。


 「成功ね!」

 《え?》

 

 「魂力が増しただと…」


 ガルは違和感に気づき攻撃を中断。

 コヨミと距離を取る。

 

 《おい、ウィン!どうなってんだ!》

 「疲れたでしょ?コヨミはそこで黙ってみてなさい」


 鳴瀬コヨミの主導権交代。

 鳴瀬コヨミの身体にウィン

 ウィンが抜けたことで空っぽになった剣に俺が入った。


 「おいおい。本当にこいつは人間なのか」

 「僕たちは総帥に嘘でも聞かされたのか?」 


 金田とガルは信じられなかった。

 人間が容姿を変えただけではなく、魂力を持ち、剣を変形させた。

 そしたら今度は魂力の量がオープナーでも上位クラスの量まで膨れ上がった。

 あり得ない。

 トリックや偶然なんて言葉じゃ説明出来ない現象が目の前で起きていた。

 金田とガルは目の前で起こる現象が信じられなかった。

 総帥を疑いたくなる程に。 


 「反撃の時間ね」


 それは刹那。

 ウィンはガルの背後を取った。


 「何?!」

 「この子は私の大切な器。死なせる訳にはいかないの」


 ウィンが剣でガルに攻撃。

 瞬時にガルは背中に魂力を集中せて、何とかウィンの攻撃を防ぐ。

 しかし、ノーダメージという訳ではない。

 ダメージは確実に入っていた。

 その証拠にガルは少し顔をしかめる。


 《お、おい。俺の目的は元の世界に帰ることだからな》

 「分かってるわよ。私も今全力を出せる状態じゃない。

  この状態を保てるのは30分が限界。タイミングを見計らってこの場から脱出するわ」


 ガルは態勢を整える。

 

 「いいねぇ…こんなに楽しいのは久しぶりだ」


 不敵な笑みを浮かべる。

 自分が死ぬかもしれない戦い。

 生死をかけたこの状況をガルは純粋に楽しんでいた。


 「ぶっ潰してやる!!」


 ガルは距離を詰め、自分の得意な間合いまで自分とウィンとの距離を縮めた。

 ガルの猛攻がウィンを襲う。

 しかし、ウィンは表情一つ変えず攻撃を避け続ける。

 右へ。左へ。ゆらゆらと。宙を舞う葉のように体を揺らし避ける。


 当たらない攻撃。

 ガルの体力だけが削られていく。


 「君じゃ私には勝てないよ」

 

 疲れからかガルの猛攻に一瞬の隙が出来る。

 ウィンはそれを見逃さない。

 剣(俺)を振り下ろし、ガルに大きな傷を付けた。

 

 傷からは大量の血が流れる。


 そこからはウィンのターンだ。

 猛攻。

 この一言だ。

 避けようと思っても避けれない。防ごうと思っても防げない。

 圧倒的実力差。

 ガルが反応出来ない程のスピードでウィンは攻め続ける。

 

 「ガル!」


 流石に見ているだけでは居られなくなったか、金田が助けに入ろうとする。


 「来るんじゃねぇよ」


 しかし、ガルは金田を止めた。


 「鳴瀬コヨミ…。お前は最高だ。

  俺は今最高にいい気分だ…」


 そう言うと、ガルの魂力が徐々に高まっていくの感じた。

 何か嫌な予感がする。

 

 《何かヤバくないか?》

 「そーね。逃げましょうか」

 

 倉庫の出入口付近には金田がいる。

 ウィンは天井に斬撃を飛ばし穴を開け、そこからの脱出を試みる。

 しかし、この二人が黙ってそれを見逃す訳はない。

 

 「金田ぁぁ!」

 「言われなくてもやるよ」


 金田が魂力を練り二丁の銃を生成。

 その銃でウィンを狙う。

 五発の発砲音が響く。

 四発は回避成功。しかし最後の一発がウィンに命中した。


 「うっ…!」


 肩からは血が流れる。

 だが、反撃はしない。振り返りはしない。

 これ以上の戦闘は無意味、デメリットの方が多いと判断したウィンは脱出することを一番に考える。

 その結果、傷は負ったが俺達は倉庫からの脱出に成功した。


 「クソ。逃げやがったか」

 「まぁいいんじゃない。

  これ以上やってても勝てるか分からなかったし」

 「あ?俺が負けるってか?」

 「それはガルが一番分かってるんじゃないの?」

 「金田」

 「ん?何?」

 「殺すぞ」

 「え?何で?」


 


 

:::::::::::::::::::::::::::::::::::::


 キャラ紹介


 ガル=フォード(オープナー)

 No.450~500の世界 担当。

 ・気が短く、戦闘狂。

 ・強い奴と戦うことが生きがい。

 ・生まれ変わるなら筋肉


 金田 ライト(オープナー)

 No.450~500の世界 担当。

 ・女好き、お調子者、ナルシスト。

 ・ガルのバディ。

 ・戦うことは出来る限りしたくない。

 ・女の子はみーんな、絶対一回は僕のこと好きになってるでしょ。







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