180話 横山直美と赤銅聖羅
大晦日の夕方5時5分。
割烹料理屋『京極』の店内では、カウンターに座るクリスチーヌ(66歳)が、『最初で最後の京極同窓会』の開始時刻より1時間早く来た近間純、谷口サトル、雪子に、
「あなた達は近間さんに谷口サトルに雪子ね? 今回の同窓会は座る席が決まってるから3人は座敷に座ってね(*‘∀‘)」
先に座敷に上がった谷口サトルと雪子は、座布団を高く重ねて足腰の悪い近間のイスになるようにして座らせた。
近間「奇麗な店だな?」
谷口「そりゃ新築ですからね」
雪子「テーブルの上の料理おいしそうですね」
ガララ―――
横山直美とビニール袋を両手に持ったモアイが入って来た。
横山直美の姿を見た谷口は、
「え? まさか、あんたが割烹京極を作ったのか?」
「そうです。 ……谷口ひさしぶりですね?」
横山直美の顔を見た谷口、
「大丈夫か? 顔色悪いぞ?」
「大丈夫です。 睡眠不足なだけです。 モアちゃん三人にビールを出してあげて、心配させたらアレだから、少しだけ化粧をしときます」
モアイは冷蔵庫の瓶ビールの栓を開けて置く、
| ̄ 旦  ̄|≪谷口さんですね? 今日の料理の半分は女将が作ったのよ。 女将は大丈夫ですよ
ガララ―――
一葉とヨミが入って来た。
一葉「うわ? マジで『卍』のスカジャンがあるっちゃ」
ヨミ「うわあ…… ワタシら二人には恐怖しかないき……」
「あなたたちは高知の一葉とヨミね?(*‘∀‘)」
一葉・ヨミ「はい」
「ワタクシは主催者のクリスチーヌよ(^_^) 一葉とヨミは座敷に座って(*‘∀‘)」
ヨミ「あの、本当に総理大臣になった赤銅さんが来るんですか?」
「来る。 そして、今回の同窓会は、これからの日本を未来を大きく左右する場所になるでしょう( ◠‿◠ )」
ヨミ「そんな席に室戸のビワ農園のワタシと一葉が呼ばれるなんて」
一葉「しかも40年前のワタシは赤銅に酷い事してるし……」
一葉とヨミは、近間と谷口と雪子の向かいに座り京極との思い出を話し始める。
ガラ、ガラ――
広田キラが入って来た。
⦅●⦆⦅●⦆「失礼します」
「ようこそ広田キラさん(*‘∀‘) あなたはワタクシの二つ隣のカウンターの席よ(*‘∀‘)」
座った広田キラは、目の前で掲げられてる『卍』のスカジャンを見上げた後にクリスチーヌを見つめ、
⦅●⦆⦅●⦆「クリスチーヌさんとワタシの間には誰が座るんですか?」
「赤銅聖羅よ(´▽`)」
⦅●⦆⦅●⦆「え?」
ガララ―――
着物の後藤朝子と、同じく着物の美園礼子が入って来た。
「ワタクシの隣に赤銅が座るから、反社の後藤朝子と美園礼子は離れた所に座ってくれないかな?(;´∀`)」
後藤朝子「ちっ、てことは谷口の隣かよ?」
美園礼子「朝子、谷口を飲ませて潰してやろうぜ」
ガラララ――
聖女の伊崎カナエと、黒河内真由美が入って来た。
黒河内真由美「うわあ……平均年齢何歳やねん」
伊崎カナエ 「黒河内、自分と座敷に座るぞ」
二人は後藤朝子と美園礼子と向かい合う。
後藤朝子「伊崎? もう6時だけど、まだ来てねえのは三色団子と赤銅だけか?」
伊崎カナエ「クリスチーヌさんの話だと赤銅は少し遅れるらしい。 三色団子は知らない」
外では……
青髪、白髪、緑髪の太ったオバサンが麻布十番を並んで歩いている。
青髪⦿⦿゛)≪聖クリの時以来に、思い切って髪を染めたね?
白髪⦿⦿゛)≪さすがに一夜限りだけどね?
緑髪⦿⦿゛)≪でも総理大臣の赤銅は赤に染めれないでしょうね?
青髪⦿⦿゛)は横の、緑髪⦿⦿゛)を見て、
青髪⦿⦿゛)≪ちゃんと持って来たよね? 礼のヤツ?
緑髪⦿⦿゛)はバッグから40年前の激安ケイタイを出して、
緑髪⦿⦿゛)≪はいコレ、あああ!?
\\
ガチン★
手を滑らせてケイタイをアスファルトに落とした。
青髪⦿⦿゛)≪なにしてんの!? 壊れたら昔のケイタイだし、もう復元不可能だよ?
白髪はケイタイを拾うと、画面にヒビが入っていた。
緑髪⦿⦿゛)≪たのむ… 録音が壊れてませんように……
≪ジャジャン! ジャジャン! タララララララ~♪≫
ケイタイから京極の歌い声が聞こえる。
三色団子は涙を流しながら、
青髪××゛)≪京極関連のYouTubeすべて動画削除されちまってるから京極の声はコレでしか聞こえねえんだよな
白髪××゛)≪この歌は確か… GWに高知から帰った夕方の渋谷のカラオケボックスだったよな?
緑髪××゛)≪そうだ。 京極これしか歌えなかったんだよ… くっそ上手かったんだよ…
ガララララ――
(*‘∀‘)
「三色団子おそかったわね(*‘∀‘) あなた達はカウンターよ(*‘∀‘) 赤銅はまだ来ないけど先にみんなで始めましょう!(´▽`)」
「「「「乾杯!!」」」」
三色団子の持ってきた昔のケイタイから京極の歌が鳴り響く!
≪ジャジャン! ジャジャン! タララララララ~♪≫
「ここの料理うめえ!」
「京極に髪の毛を引きちぎられてさ!」
「モアイ! 日本酒おかわり!」
「また触った? 近間さんって歳のわりにエロすぎやん! こんな人やったっけ!」
「キラさんのドロップキックすごかったですよね⦿⦿」
「真由美の方は孫が出来たのか?」
「伊崎の子と違って、娘二人とも結婚する兆しもねえよ」
「谷口? 仕事に困ったらいつでもウチに来い」
「もう堅気一筋じゃ」
「女将! ワインおかわり!(´▽`)」
私はカウンター越しにクリスチーヌさんにワインを注いで、
「どうぞ」
「ここは料理も酒も美味しいわね(´▽`) 女将も座ったら?(´▽`)」
「大丈夫です。 ありがとうございます」
「後は赤銅が、京極のタマシイを引き継いで、自由のために中国と戦う決意をしてくれれば……(^_^) これまでも自由は、尊い者たちの血と涙と犠牲で築いてきたんだから(._.)」
クリスチーヌさんは嬉しそうに……
「やっぱり京極が自由の女神」
ボソッと言った。
茜の歌が流れっぱなしの中、集まった元ヤンキー達を見る……
「京極茜を知る人たち」
振り返り『卍』のスカジャンを見上げた。
「みんな幸せそうだね」
前を向き直した時、車のライトが店の出入り口に当たった。
「赤銅聖羅……」
外ではプレジデントが止まる。
SPの1人が後部ドアを開ける。
降りた黒スーツ姿の赤銅聖羅はSP5人に、
「ワタシ一人で良い」
「はい」
赤銅聖羅は、割烹『京極』の看板を見上げた後に、正面の店のドアにガンを向け、
「横山直美……」
歩む。