177話 赤銅聖羅② 全国最下位から
★赤銅聖羅目線
9時10分……
カン! カン! カン!!
校長室の鉄の扉を安全靴で蹴る。
「逃げんな!! 校長!!」
上にあるモニターにパッと校長が映り、
「ぶっ殺すはジョークなのよ(;゜Д゜) アンタを退学させないための(;゜Д゜)」
「そんな事知ってる、さっさと開けろ」
「今からカナエを校長室から出すから、その物騒なモノをワタクシのボデイガードのカナエに預けるのが、扉を開ける条件よ('Д')」
「分かったから開けろ」
ス―――――
扉が開き、黒のキャミソールミニとツインテールの伊崎が、
【ボウガンをよこせ】
「ちっ、ほらよ」
ボウガンを伊崎に渡した。
【入れ】
校長室に入る。
伊崎は校長へ通せんぼする様にワタシの前に立ち塞がった。
ボデイガードを得た校長はコーヒーを飲みながら、
「で? 何の用かしら?( ̄ー ̄)」
「笑うなよ?」
「なに( ̄ー ̄)」
校長はコーヒーを飲んだ。
「最難関国立大学に入る」
「ぶっ!(´Д`)」
コーヒーを吹き出しやがった……
「だから勉強を教えてくれ」
「あんたガチで最難関国立大学に入ると言ってんの?('Д')」
「ガチだ」
校長はノートパソコンを操作しながら、
「ガチなら、先ずは赤銅に現実を教える必要があるわね(._.)」
プリンターから紙が何枚も出てくる。
校長は出てきた全ての紙をワタシに手渡した後に、校長机の前のテーブルを指差して、
「このテーブルで、その数学、英語、国語、社会、理科の五科目のテストを全てやりなさい(^_^)」
「なんのテストだコレ?」
「全国各地にある東進塾の今年の7月に高一の出された定期テストよ(^_^) テストを受けた塾生は全国で2568名(^_^) ワタクシが採点して今の赤銅の順位を教えてあげる(´▽`)」
「出来る訳ねえだろ? 全然勉強なんてした事がねえんだから?」
「とりあえず、やってみなさい(*‘∀‘)」
「ちっ……」
やってみる……
因数分解? 二次関数? なんだよコレ?
縄文土器?弥生土器?なんのこっちゃ
Hの元素記号? セックス?
「たんれんが剣道を上達させた」たんれんを漢字で書け?
マイクはルーシーに何をして欲しかったのか? 知るか
・
・
・
・
「赤銅5科目全て0点だよ(´▽`) 当然、順位は最下位(´▽`)」
「分かりきってるだろ? 数学なんて基本も分からねえのに出来る訳ねえだろ?」
「お?( ◠‿◠ ) ワタクシは赤銅に現実を知って諦めて貰うためにテストを受けさせたの(^_^) 大学以前に、中学の基本も出来てないなら諦めなさい、人生は学校の勉強が全てじゃないんだから(´▽`)」
パジャマ姿の赤銅は黙って校長室を出た。
【校長らしくねえな? 夢を踏みにじるような事をするなんて?】
「踏みにじって無い、檄を飛ばしたのよ(*'▽')」
学校を早退し、青山の豪邸に帰って来た赤銅は部屋に入り、収納ケースを両手で持ち逆さまにする。
バタバタと落ちた漫画とバイク雑誌に中に……
「あった……」
中学時代の算数の教科書を広げ、
「落書きばっかだな…… 後は……」
夕方……
ピンポ―――ン
「誰かしら?」
義母が屋敷のドアを開けると、きちんとした身なりの20代の頭の良さそうな女が、
≪失礼します。 指名を頂きました家庭教師の永井です≫
「家庭教師? 頼んだ覚えはありませんが?」
≪赤銅さんのお家ですよね? 中学一年生のお子さんはいらっしゃいませんか?≫
「義理娘は高校一年ですが……」
赤銅が来て、
「先生、上がって」
赤い髪の高一の赤銅を見た家庭教師の永井は、「え?」という顔をした後に、
≪あなたが赤銅聖羅さん?≫
「先生、金は親父が幾らでも出す。 先生と同じ最難関国立大学に入るためにみっちりと基本を叩きこんでくれ」
赤銅の真剣な顔を見た家庭教師の永井は、
≪……では、部屋に上がらせて頂きます≫
それから赤銅聖羅は毎日、聖クリに登校した。
登校するとトイレにカギをかけて籠り、リモートで家庭教師永井の指導を受けた。
家に帰っても自習及び、家庭教師永井からの指導を受けた。
勉強は最難関国立大学に狙いを定め英語、数学、社会、理科、国語のみ。
一日17時間の勉学を毎日、繰り返す。
一か月で中学時代の遅れを取り戻し、二年生になった半年後……
校長室では、東進塾の高校二年生4月の定期テストの答え合わせを終えたクリスチーヌが、
「すごい(;゜Д゜) 3012名中……(;゜Д゜)」
「何番だよ?」
「703位……(;゜Д゜)」
「うっし、だいぶ前に追いついて来たな」
校長室から出ようとする赤銅に、
「赤銅…… あんまり無理しないでね(;´∀`) これから上がるのは大変だからね?(;´∀`)」
「余裕。 帰って勉強しねえと、まだ前を走ってるザコどもをさっさと追い抜かねえとなダメだからな」
自分は誰にも負けるわけねえという、うぬぼれが……
受験戦争では、一番大事だと永井先生は言っていた。
それに、最下位から群を抜いていくのは快感だ。
ワタシはノーヘルで単車に跨り、
「京極、ぶっ飛ばすぞ。 ワタシの後ろから落ちんなよ」