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176話 赤銅聖羅① スタートラインの校門


 毎日、いつもポッカ―ンとしてる。

 京極が死んでから学校には一回も行ってない。

 死んだら京極に会えるかもな、と思う事が多い。

 

 どうでもいい人生だから、義母の事もどうでも良くなっちまって……


義母「あら? 聖羅ちゃんお腹空いたの? ごはん? 何食べたい?」


「なんでもいい、腹減った」


義母「なら寿司でも取りましょう」


「なんでもいい」


 どうでも良くて味は分かっちまう。

 この寿司屋、やたら辛い……

「プッ!」

 吐き捨てた。


 義母の財布から金をくすねてパチスロに来た。


客「バンダナを口に巻いてる女が座ってるあのエヴァ、すげえ出てっぞ……」

客「設定6だろ? ぜったい?」


 なにが楽しいんだコレ?

 画面が眩しくて音がうるせえだけじゃねえか?


 その夜……


 単車は、東京連合とダンテの抗争の夜に壊れたままだから彷徨うように京極の住んでた『ロイヤルプリンセスマンション』に歩いて来た。


 京極の部屋のドアノブを回す……


 ガチャガチャ


 回せねえ……

 カギがかかってるよ……


「ふふふ……はははは……この部屋にカギなんてあったのかよ?」


 ドン! ドン! ガン!!!


 板のドアを安全靴で思い切り蹴ってやった。



 京極が死んだ現実が余りに重い……




| ̄ 旦  ̄|≪なんの音かと思ったら赤銅……? なにやってんのよ?


「モアイ?」


| ̄ 旦  ̄|≪ワタシの部屋、京極の部屋の真上だから上がりなよ?


「彼氏がいるんだろ?」


| ̄ 旦  ̄|≪警察に捕まっちゃったから……もういないよ……


「そうなんだ」


 錆びて崩れそうな階段を上がりモアイの部屋に入りテーブルの前でアグラで座る。


| ̄ 旦  ̄|≪なにか飲む?


「酒」


| ̄ 旦  ̄|≪缶チューハイでいい?


「うん」


 プシュ、プシュ


| ̄ 旦  ̄|≪ゴクゴク、夏休み終わったけど学校に来てないね? 学校に来なよ? 


「行ってどうすんの?」


| ̄ 旦  ̄|≪行かなくてなにするの?


「ずっとニートで良いよ」


| ̄ 旦  ̄|≪たぶん京極が今の赤銅を見たら怒るよ


「ならなんで死んだんだよ京極は…… 横山先輩なんかほっときゃいいのによ…… あんなの助けても無期懲役じゃねえか…… バカは京極だ……」


| ̄ 旦  ̄|≪ワタシも思う…… あんなの助けるために京極が死んだなんて…… 本当にバカとしか……


「もう帰るわ、横山を思い出して来てむかついてきたし」






 2ヵ月後の11月の夕方……


 聖クリの校長室では伊崎カナエがカプチーノを飲む校長に、


「校長、赤銅聖羅は今日も来てねえな? これでウチ(聖クリ)の最低限の校則『出席日数』にリーチだぞ? 明日の9時までに聖クリの校門を抜けなけりゃ……てか三学期終わるまで後1日休んだら退学だな……」


「うん(◞‸◟) 今日ワタクシが赤銅の母親に電話して、その事は伝えてる(◞‸◟)」


「どうする? 今から自分と校長が赤銅の家に行ってみるか?」


 校長はカプチーノを飲みながら、


「カナエ…… 過去にたくさんの生徒が出席日数で退学になってきたわ(・‸・) でもワタクシは「後1日でも休んだら退学になりますよ」の通告をするだけで、直接生徒に会って説得に行った事は無いの(*´Д`).。o○正直、不良生徒とサシで会うのが怖かっただけだけど」


「つまり?」


「この件に関しては、赤銅聖羅でも特別扱いはしない(~_~;)」


「ちっ…… まあ筋は通ってるな…… 赤銅、明日、絶対に来い」


「赤銅は自分自身の意思で学校に来るべき……(◞‸◟)





 青山の赤銅の豪邸では、


 トントン


 赤銅は叩かれたドアに歩み、


「なんだ?」


 継母の声が、

≪聖羅ちゃん? 明日学校に来ないと退学と校長先生から電話がありました≫


「あっそ」


≪行きたくなかったら、行かなくていいですからね≫


 赤銅はベッドに横たわり、赤い髪をグシャグシャとして、


「あああああぁぁぁ……メンドくさ」




 翌朝、8時半……


 赤銅の部屋のドアの向こうから継母の声が、


≪聖羅ちゃん! もう8時半だよ! バイク直ったと言っても、そろそろ登校の準備しないと9時に間に合わないですよ!


 シ―――――ン


≪聖羅ちゃん…… やっぱり学校に行った方が良いと思うよ……≫


 ベッドで横になる赤銅は、


「なんで?」


≪どんなに辛くても、どこかで踏ん切りをつけないとダメだと思う≫


「うっせええクソババア!!」


 パン!


 ボウガンの矢がドアを貫いた!


≪ひっ!≫


「死ね!! 消えろ!!」


≪分かりました!!≫



 20分後……


 寝ながらボーっとケイタイをいじる赤銅、


「もう8時50分か…… もう聖クリには間に合わねえ、ワタシの高校生活オワタ」


 携帯が鳴る。


≪trrr trrr≫


「あ? 誰だ? モアイでも三色団子でもねえ番号?」


 赤銅はケイタイに出た。


「だれ?」


≪アンタって…… とことん人生を舐めとるクソ芋虫ね≫


「……校長か?」


≪ワタクシは家の前におる(`ヘ´) アンタをぶっ殺してやるから家から出て来きなさい(`ヘ´)≫


「あ? 文句無し最強ザコのオメエがワタシをぶっ殺すだと? ……どうせ伊崎が近くにいんだろ?」


≪カナエいないよ~ バカヘタレ~~ ワタクシ1人だよ~(^O^)≫


「初めて人を殺すのを決めた……」


≪え?(^O^)≫


「外で待ってろ、殺しにいく」


≪マジで切れてんの!?(;゜Д゜) ちょうい!(;゜Д゜)≫


 ケイタイを投げ捨てた赤銅はパジャマ姿でボウガンを右手にドアを開けて階段を飛び下りる!


 出口へ走る赤銅を見た義母は!


「聖羅ちゃん!? 学校に行くのね!?」



 赤銅は表に出ると校長のベンツが、


 ブ―!!!


 ぶっ飛ばして逃げる!


「待ちやがれドチビ!!」


 ノーヘルで単車に跨りキックしてエンジンをかけて、


≪赤銅ぶっとばせ≫


 アクセルをギューと回す!


 ブン!!!! ブ―――――――!!!



 信号無視してベンツは逃げる!

 赤銅の運転する単車も信号無視して追いかける!



 分かってんだよ……

 校長がワザと、あんなマネしてくれてんのは……


 京極…… ワタシはな……


 聖クリに入ってから、いや室戸岬に行ったぐらいからか…… 京極がワタシの子供の頃の夢をジョークじゃねえような眼で見るようになっていた……

 民宿たんぽぽで京極の無茶ぶりで、総理大臣スピーチさせられている時の京極の眼は嬉しそうだったんだ。


 思い出すと涙が出る……

 

 ワタシの夢へ突っ走る単車の後ろの席に乗りてえだと?

 無茶ぶりだろ? 総理大臣になるなんて?


 だから中途半端な覚悟で学校なんて行きたくねえ、夢なんてさ……


 叶わねえのが普通なんだよ。



 だけど……







 聖クリの校門では伊崎カナエが腕時計を見て、


「後15秒……」



四Ω≪おう!あれは!?

天Ω≪ベンツが突っ込んでくるですことよ!!

王Ω≪猛スピードだ避けろ!!


「校長……やっぱりな……」

 伊崎カナエは笑った。


 ベンツは校門を通過した!

 校長はすぐに腕時計を見て、


「後10秒……(._.)」


 後ろを振り向き、


「赤銅のバイクのエンジンから煙が出てる……(;゜Д゜)」




 赤銅のフルスロットル!! エンジンはオーバーヒート!!


「うおおおおおおお!! ワタシは負けねえええぇ!!!」


 ピュ―― 





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