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166話 クリスチーヌの計らい


 京極が横浜外国人墓地に埋葬されてから3日後の夜……


 花やお菓子や缶ビールが供えられている京極の墓にヤンキーが複数名来た。

 それぞれがハンマー、ツルハシを持っている。


≪動画スタート! 今からザコヤンキー京極茜の墓をぶっ壊すぜ!≫


 ガン!ガン!! ガシャ! ガシャ! ガチン!!


≪うっし! 京極の墓をぶっ壊してやったぜ!≫


≪おい? 掘って京極の腐った死体も撮ってやろうぜ。 シャベルも持って来てんだろ?≫


≪京極茜の『卍』のスカジャンがあれば貰ってやろうぜ! ぜってえレアだろ!≫」


 ヤンキー複数人がせっせとツルハシとシャベルで掘った。


≪どんだけ掘っても『卍』スカジャンどころか、死体もねえぞ!≫


≪なに? まさかもうられてる?≫




 翌朝……

 新帝国ホテルのクリスチーヌの部屋のケイタイが鳴る、


「警察?(;'∀') もしもし(;'∀')」


≪もしもし神奈川県警です。 京極茜さんのお墓が掘り起こされて遺体が盗まれました≫


「そう……ですか…(-_-;)」


≪容疑者と思われる京極茜さんの墓を壊した少年グループを逮捕したのですが…… 京極茜さんの遺体が無かったと供述していますが心当たりはありますか?≫


「無いです(-_-;)」


≪分かりました≫


「近くに海があるから海にでも捨ててしまったのかもしれないですね(;'∀')」


≪また何かありましたら連絡します≫


 会話で目覚めた伊崎カナエは、ベッドをイスにして座り、


校長クリスチーヌ? 何があった?】


「京極の遺体が盗まれたらしいの(-_-;) 『卍』のスカジャンごと(-_-;)」


【犯人は見つかったのか?】


「犯人の少年グループは見つかったけど京極の遺体とスカジャンは見つかってないそうよ(-_-;)」


 ガン!!!


 伊崎は、隣のクリスチーヌのベッドを強く蹴った。


【くそヤンキーが!! 京極が、手も足も出ねえ死んだ後に姑息なマネしやがって…… 自分がソイツラ殺してやる!!】


 クリスチーヌはベンツのキーと聖クリのマスターキーを手に取り、


「早く着替えなさいカナエ…… 学校に行くわよ(◞‸◟)」


【あ? まだ登校時間に2時間もあるぞ?】


「生徒が誰も来てない時間じゃないとダメなの(◞‸◟)」


【なんで?】


「いいから来なさい(◞‸◟)」



 30分後……


 聖クリの駐車場に車を止めた、小柄なクリスチーヌは伊崎を連れて体育館に歩く……

 途中、犬小屋を通った時、


≪クウ~ン≫


「シャーロットのワンちゃん達(ドーベルマン10匹)はお腹が空いてるみたいね(*´Д`) カナエ、後でゴハンを頼むわね(*´Д`)」


【ああ、ところで……こんな早く体育館に何の用だよ?】


 校長はマスターキーを体育館の扉の鍵穴に刺して、


「カナエ? ワタクシはね…… 失うモノの無いくそヤンキーによる京極の墓荒らしも想定していたのよ(^_^)」


【え?】

 

 ガチャリ


 扉を開けたクリスチーヌは体育館の中央へ歩きながら、


「日本中のヤンキーの頂点だった京極があんな場所で安らげる訳がない。 横浜外国人墓地はフェイク(^_^) ごめんねカナエまであざむいちゃって(^_-)-☆」


 クリスチーヌは体育館の中央で止まり、足元を見つめながら、


「カナエ、ワタクシは今年の3月から京極が年内に死ぬことを知っていたの(._.)」


【京極が年内に死ぬ事を知っていた?】


「2年半前のクリスマスのケンカが原因で、脳の中心部の血管が切れていたのよ(._.) ワタクシは慰問プロレスの日、京極から余命はすぐ近くに来ていると聞かされた。 京極は7月3日、新宿中央ビルで死ななくても、すぐに死んでいたわ(._.)」


【……校長、なんでずっと足元を見てんだ?】


「京極が死ぬことを知っていたワタクシは、秘密裏にGW中この場所に、あるものを作ってもらってたのよ(´▽`)」


 クリスチーヌが手に持ったリモコンのスイッチ「UP」を押すと、


 ウイ―――


 辺5メートル四角形の床が水平に上がる。


 床の下を見た伊崎は、


【これは……】


 十字架型の墓に、黒の生地に金の『卍』の刺繍のスカジャンがかけられている。


【まさか…… 聖クリの体育館の下に京極が?】


「そうよ(´▽`) 本物の京極の墓はここにある(´▽`)」


【遺体も……?】


「そうよ、シャーロットも同じ墓で隣り合わせで眠ってるわ(^_^) この場所で土葬は違法だけどね。 横浜外国人墓地の墓荒らしのせいで表向きは京極の遺体と『卍』スカジャンの存在は消失した事になるけどね(;'∀')」


 伊崎はクリスチーヌを見下ろして問いかけた、


【どうやって横浜外国人墓地からここまで京極とシャーロットの遺体を運んだんだ? 校長一人じゃ無理だろ?】


「ワタクシの信仰団体の一員の山下さんとよ(´▽`)」


【山下さん?】


「ワタクシの信仰団体が運営しているグループホームの責任者。 カナエ? 本物の京極の墓の事はナイショよ?(*'▽')」


【分かった】


 クリスチーヌは簡易階段を下りて、京極の墓の前に立ち、


「京極? (*'▽') あんた死んでもくそヤンキー達に狙われてたよ(*'▽')」


 クリスチーヌは京極とシャーロットの眠る墓に、セッタ(セブンスター)と生前に京極茜が使っていたガスが切れた100円ライターを供え、


「いつか聖クリが無くなる日までの日本中のワルが集う、この場所に二人とも仲良く居てね(´▽`)」



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