165話 判決、無期懲役
京極茜の死の一週間後、横浜外国人墓地では……
海を見下ろす十字架型の二つの墓石の前で、頭に包帯を巻いたクリスチーヌが両手を合わせて、
「京極にシャーロット、天国では仲良くしてね……まっ無理か(;'∀') 仲良くケンカしてね(^_^)」
後ろに立つ、首に包帯を巻いた伊崎カナエが、
「なんで二人を一緒の場所に埋葬したんだ?」
後ろを振り向いたクリスチーヌは、
「この二人は親子なのよ(^_^)」
「え?」
「ワタクシも知らなかったんだけど、拉致から解放された後にケイタイを見たらシャーロットからそういうメッセージが来てたの。 生前は離れ離れだったからこうして隣り合わせにしてあげたの(^_^)」
「ふ~ん。 我々の信仰団体は土葬なんだな?」
「そうよ、ココの一郭は許可貰ってるの(^_^) ワタクシもカナエも死んだらココ(横浜外国人墓地の一郭)で埋葬されるのよ(^_-)-☆」
「あの世に逝ったら京極とシャーロットが待ってんのかよ……」
後日、裁判所……
ドン!
裁判長「判決。 被告人、横山直美を無期懲役に処す。 被告人は愚連隊ダンテの総長としてダンテ構成員に数多くの暴行・薬物の横行を指示。 被告人から指示された構成員の暴行が数多くの殺人に結び付いた。 本来なら死刑が妥当ですが、被告人が警察の事情徴収に全て包み隠さずに答えている点と、年齢が18歳であり更生の見込みがあるとして無期懲役が妥当と判断しました。 被告人横山直美及び担当弁護士は一審判決に不服なら上告の申し立て手続きをしてください
白のYシャツ、灰色のズボン、三つ編み眼鏡の横山直美は立ち上がり、
「上告、致しません。 刑務所の中で長い年月をかけて反省します」
女弁護士「判事。 被告人は判決を受け入れました。 退室します」
手錠をかけられ警察官二人に連れられて法廷を出た横山直美に弁護士は、
女弁護士「警察の方すみません、少し横山さんとお話よろしいでしょうか?」
≪はい≫
女弁護士「横山さん、長い懲役になります」
横山直美はかけられた手錠を無表情に見つめながら、
「はい」
女弁護士「誰も住まなくなる青山の御自宅はどうされますか? 亡くなった義理の母の車は?」
横山直美は弁護士を見つめ、
「分かりません」
女弁護士「私に、全ての資産売却の手続きを任せて頂いてよろしいですか?」
横山直美は俯いて、
「やっぱり家は売らないとダメですか?」
女弁護士「30年は刑務所から出てこれませんから……」
「仕方ないですね。 お願いします」
女弁護士「全ての資産の売却を済ませ横山さんの口座への入金が終れば、全ての確認のために刑務所に伺いに行きます」
「あの…… その費用は?」
女弁護士「当事務所が手数料として全ての売却金額の3・5パーセントを頂きます」
横山直美は弁護士の顔を弱気な顔で見つめ……
「はい」
女弁護士は無表情に頭を下げて横山直美と警察官二人を越えて歩いて行った。
警察官二人は女弁護士の後姿を見ながら、
≪あの弁護士? 手続きだけで青山の家と高級車を売った金額の3・5パー?≫
≪さあ行くぞ。 横山来い≫
後日…… 横山直美は、兵庫県加個川女子刑務所に送致された。
さらに後日、最高裁判所……
ドン!
最高裁判事「判決。 被告人、風間ヨシトモ(スキンヘッド)を無期懲役と処す」
傍聴席のモアイは、
|⦿ 旦 ⦿|≪やった!
最高裁判事「そちらの女性の方、静粛にお願いします」
| ̄ 旦  ̄|≪はい……
検察が最高裁判事に、
≪判事! どうかもう一度! もう一度だけ開廷をお願いします!≫
最高裁判事「結審です。 検察側が余罪と申し立てたツクシと宮本晴彦の死体遺棄の証拠もありません。 それに検察側が5人目の殺人を立証できなかったうえに、被告人がシャーロットの命令脅迫強制で4名の殺害を実行では死刑は重すぎます。 ですが38歳の風間被告が無期懲役は十分に重い罪です。 これにて閉廷いたします」
スキンヘッドの担当の敏腕弁護士が、
「判事ありがとうございました」
頭を下げた。
手錠をかけられた上下灰色のジャージ姿のスキンヘッドは警察2人に連れられて法廷を出た時に敏腕弁護士が、
「風間さん、長かったですね。 無期懲役おめでとうございます」
「ああ。 ありがとさん」
「また何か要件がありましたら連絡ください」
弁護士は足早に去る。
スキンヘッドは遠のく敏腕弁護士の後ろ姿を見つめ、
「死刑にゃなりたくなかったから、しょうがねえけど…… 今までオレが稼いだカネ……スッカラカンだよ……」
後日…… スキンヘッドは、栃木刑務所に送致された。