163話 京極茜、死す (京極茜最終局面終了)
シャーロットの回想25話『シャーロットの女神』
ワタシはマリア様に救われたけど…
まだ誰も救っていない…
できればマリア様を…
せめて… 誰かを…
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怖いって事は・・・
私って・・・ 本当は生きたかったのかな・・・
怖い・・・
≪この手を掴め!!! バカアネキ!!! ≪●≫≪●≫ ≫
え!?
上から近づいて来る!?
バカはそっちじゃない!?
54階の屋上だよ!?
でも・・・
手を掴んだ。
なんで私のために・・・
引っ張られて強く抱きしめられた。
茜は耳元で、
≪アネキが生きてたら、アタシの替わりに、アタシの夢を叶えてくれ≫
「夢?」
≪客とタイマンできる料理人になって、店を持ちてえ≫
「料理人?」
≪味噌汁が「うまい」って言われた時、うれしかったんだ≫
下では……
シャーロットが落ちてくる『卍』のスカジャンを見上げて立っていた。
両手を広げ……
ニチャ~~
「おかえりなさい、二人とも……」
抗争していた東京連合とダンテは、
≪人が落ちたぞ!!≫
≪金髪の女が下敷きになった!!≫
赤銅は無表情で、京極を見下ろしている。
「京極?」
京極茜の瞼がうっすら開いた。
「おい? 血が無茶苦茶、出てるぞ? 大丈夫かよ?」
≪赤銅…… 夢の……単車の後ろ…に…… 乗せてくれ…よ……≫
赤銅は笑って、
「ああ、もちろん二人ともノーヘルだ」
≪ああ……≫
笑顔の京極の瞼が閉じた。
「おい? おい? おいって?」
赤銅は屈み、京極の顔を触る。
「おい京極? あ? こういう場合は揺すったらダメなんだよな?」
ケイタイを取り出し、
「おい救急車! 新宿中央ビルだ!! 即だぞ!! 重症だ早くしろ!!」
ケイタイを投げ捨て、顔を京極に近づけ、
「救急車を呼んだからな? 入院したら毎日、見舞いに行くわ。 くっせえ肉まんも毎日、持って行ってやる。 内緒でよ~ビールも持って行ってやるからな? サッポロだろ?」
赤銅の周りには、抗争を止めて東京連合とダンテの兵が囲んでいた。
≪死んでんだろ?≫
≪しっ…≫
三色団子もモアイも見ている。
青髪〇〇≪京極が……
白髪〇〇≪赤銅……もっと京極に話しかけてやってくれ……
緑髪〇〇≪京極がなんで敵の親玉を助けんだよ……うわああああん!
|☓旦☓|≪大好きな京極が死ぬなんて辛すぎる…… でも赤銅はもっと辛い……
新宿中央ビルから、それぞれが傷だらけの後藤朝子と美園礼子とゴリラクイーンも来て赤銅と京極を見つめる。
ゴリラクイーン「ちっ…… コレじゃ、この抗争は中止だな? 帰るわ」
後藤朝子「あの京極が死んだなんてありえねえ…… あのシャーロットも潰れてんじゃねえか……」
美園礼子「最強の京極にリベンジ…… もうデキナイ……」
「ケガが治ったらみんなで酒盛りしようぜ! もちろんゴチっぞ!」
「カラオケでも良いな? しびれるタマシイレボリューションを聴かせろよ?」
「そういや京極~~ まだワタシ、クリスマスプレゼント貰ってねえぞ? 知ってっぞ? ボロアパートのどっかに隠してんだろ~~? どこに隠してんだ~?」
「夏休みに室戸岬にまた行ってみっか? そんときゃまた京極の味噌汁飲ましてくれよ~」
死んだ京極に喋り続ける赤銅聖羅の横で、仰向けで倒れる横山直美の眼鏡の下から一筋の涙がこぼれた。