17話 傷だらけの聖女クリスチーヌ
『宮本春彦』
彼は喧嘩が原因の複数の殺人事件を起こし少年院に服役していた。
当時、彼の更生保護員を務めていたのが我が校の教頭シャーロット。
宮本春彦の起こした殺人事件の全てが正当防衛とみなされたこと、当時の甘かった少年法と更生保護員の尽力も踏まえ、宮本春彦は18歳で出所できた。
だけど、それからの宮本春彦は更生できなかった。
宮本春彦にはとてつもないワルの女がいたの……
横浜中華街の出身の名前はツクシ……
ツクシに、再びワルの道に戻されて半グレしていた時……
大きい暴走族に目の仇にされていた10人程度の中国残留孤児二世が集まった小さな暴走族『修羅』から頭を下げて頼まれ、『修羅』のリーダーになる。
その後、関東、愛知、関西、広島、福岡、宮城の暴走族を制圧。
暴走族『修羅』は全国制覇。
その後、すぐに暴走族『修羅』は解散。
ちなみにだけど、この全国制覇の時、表上は人は殺してない。
宮本春彦と、その女は、全国制覇の栄光だけでは甘んじなかった。
その勢いで、愚連隊『東京連合』を発足する。
宮本晴彦が初代総長の東京連合は…
ドラッグ、殺人、遺棄、詐欺、恐喝、窃盗、暴行、密輸、なんでもござれ。
総長の宮本春彦を裁判、刑務所に送るため、警察は探りまくったけど……
罪状の見つからない宮本春彦を捕える手だてが無かった……
だけど、ある日……
宮本春彦の更生保護員だったシャーロットは警察に告発する。
「ワタシは宮本春彦が子供を殺したことを、黙認していました」
警察に捕まれば最後、多数の罪状も、のしかかる……
ツクシと共に、国外へ逃げたのが15年前……
ワタクシは、お酒で顔が真っ赤の赤銅の目を見つめ、
「赤銅? 分かった~? 教頭はそんな悪い人間じゃないのよ~? 基地外でもないと思うわよ (;´Д`)」
「でもさ~、今朝もバトルロイヤル? させられて~1-Aの生徒が~酷い目にあってんですよ~ 京極が~なんとかしましたけどね~」
「バトルロイヤル? まあ…教頭には教頭なりの教育方針があるんじゃない?(~_~;)」
ワタクシはカシスアップルをキュ~っと飲み干して、
「正直、ワタクシの学校…… 教員みんな逃げてしまった今…… 教頭シャーロット無しじゃ、もう不可能だし。 約1000人のヤバい生徒を、実質は教頭1人で運営してるみたいなもんだしね、イベントとかも段取ってくれるし、学校の掃除は日曜に地元のシルバー人材センター使用も名案だったし(´▽`)」
空になったグラスを置いて、次のカシスアップルの入ったグラスを掴み、
「ぐががが~~ぐがっがが」
ベッドで酒飲んで爆睡する京極を見て、
「なんか似てるんだよね~ 肖像画の姿とか、先祖代々に伝わっている雰囲気とか(*^_^*)」
「だれと~ですか~」
「1858年に死んだ、自由の女神に(*'▽')」
赤銅は、無人のベッドにバタンと倒れこんだ後に、布団をかぶり、
「またカルト宗教への勧誘ですか~? ●●教会みたいなところでしょ~」
「あんなのと一緒にするな(;゜Д゜)」
「かんべ…ん…してっちょ~~~‥‥zzz」
あらま? 所詮は高1だわ? やっぱり酒はまだまだ弱いのぉ……
ワタクシが15の頃なら、その倍は余裕だったっつうのにね……
話し相手いなくなったし、しょうがないし、ワタクシも眠るか……
「え?('Д')」
ワタクシは2つのシングルベッドをそれぞれ見て、
「左のベッドに赤銅…… 右のベッドに京極…… ( ゜Д゜)ゴクリ」
京極の寝顔を見て、
「仕方ないし~ どっちか選ばないといけないんだからね……(*‘∀‘)」
京極のスカジャンのファスナーを下ろして脱がす、
「どうせ、お金なんて持って無いだろうし、これは一張羅なんでしょ? ほら脱ぎなさい? ハンガーにかけてあげるから(;''∀'')」
黒の生地に金の刺繍の『卍』のスカジャンを脱がせて、ハンガーにかける。
京極のナイスバディな裸をワタクシは見て、
「ブラもしてない……(; ・`д・´)ゴクリ それにしても奇麗な体してるのにタトゥーは止めといた方がいいよ…… まあ自由なんだけどぉぉ……(*´Д`)ハアハア」
ワタクシは上着を脱いで、鏡に映る、自分の体を見つめた。
もう傷跡やアザだらけ、火傷の後もたくさんある。
この2年間、東京連合に拉致されてやられてきた傷だよ。
京極オススメのオロナインの蓋を回して開けて、手の届く範囲の傷や火傷に塗る……
≪背中にオロナイン塗ってやろうか?≫
後ろから京極の声が聞こえた……
「おねがい……(◞‸◟)」
「貸して」
塗られる時、目頭が熱くなった。
「はい、これで完璧」
「ありがとう(^o^)」
京極はハンガーにかけてあった『卍』スカジャンを着てファスナーを上げて、
「それじゃあ帰るわ」
「え?京極?交通手段が無いでしょ?時間も遅いし、この部屋で寝ていけば?('Д')」
「ベッド空いてねえし、せっかく校長が用意してくれたアタシに相応しいアパートもあるし歩いて帰るわ」
「待ってよ京極……('Д')」
「あ?」
「今夜は…… ワタクシと一緒に寝てほしいの……おねがい(>_<)」
「校長はネンショ―や留置所から出してくれたしな? 分かったよ。 でもイビキうるせえからな?ネンショ―でよくからかわれた。 たまに寝ながらくっせえオナラもするらしいし……」
「いいから、そんなの気にしないから(´▽`)♡」
スカジャン脱いだ京極と、一緒にシングルベッドに寝る。
あっさり眠った京極を、ぎゅっと優しく抱きしめる。
京極は人殺しだけど… とっても、あたたかい……(*'▽')ぎゅ~✧
でも… イビキが超うるさい……(;´∀`)
プ~~~ プシュッッ
おなら? いまの……おなら? くっっっさぁぁぁ!!! ('Д')