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149話 「シャーロット・・・・・・」


 コンビニLawsomの中ではアルコール飲料コーナーでサッポロ黒ラベル500m6本をカゴに入れた赤銅は、


「京極はコレが好きだからな…… ワタシはやっぱ梅酒だな…… それから京極の大好物の肉まんも買って帰ってやるか」





 同刻。


 ガチャ


 ロイヤルプリンセスマンションの京極の部屋のドアが開いた。


 京極はテレビを向いたまま、


「赤銅? 早かったな?」


 返事が無い違和感で、京極はドアの方を振り向くと……


 ニチャ~~


「シャーロット!? ⦅●⦆ ⦅●⦆」


 白のエルメスのワンピースを着て立っていた長身の金髪巻き髪のシャーロット!

 眠気がぶっ飛んだ京極は瞬時に立ち上がり、鉄警棒を伸ばし臨戦態勢になる!


「テメエ…… アタシの家に殴り込みかよ……<●><●>」


「ニチャ~フフフ…… ワタシと、あなたが戦えばどちらが勝つでしょうかね?」


「上等…… ぶっ殺してやる……≪●≫≪●≫」



 シャーロットは両手を京極へ伸ばした……

 「待て」のサイン。


「あ? タイマンしにきたんじゃねえのか?」


「京極茜…… ワタシがココに来たのは、あなたに急いで伝えなければならない事があるからです」


「なんだ?」


 シャーロットはポケットからケイタイを取り出し、画面を見せる。


――――――――――――――――――――――――

「ぎゃあああああ (;゜Д゜)」


鬼頭妹「おいおい? まだ始まったばかりだぜ」


「もうううやめててええええ('Д')」


 屋上に100人を超える兵隊が全裸のクリスチーヌを取り囲みガスバーナーで体を焼いている。


「きょうごく―――!! 助けてえええええ!!('Д')」

――――――――――――――――――――――――

 

 動画を見た京極は目をかっ開き!


「校長……!」


 シャーロットはケイタイを仕舞い。


「ワタシのラインに送られて来た動画です。 クリスチーヌの命を助けたいなら0時にダンテの待つ新宿中央ビルに来いと書かれていました」


「0時に新宿?」


「ダンテは総動員で待っているでしょう…… その数はおおよそ300人」


「校長にひでえマネしたヤツラ……全部ぶっ殺してやる……」


 シャーロットは、優しい目で、


「茜…… 1人でダンテに挑むなんて無謀ですよ……」


「あ?」


「ワタシもクリスチーヌを助けるために戦います」


「シャーロットが? アタシと一緒に戦う?」


「新宿に向かう前に聖クリに寄りますよ。 ダンテと戦う協力者がいます」


「協力者?」


「協力者を見たら、茜がビックリするかもしれませんね」


 京極はシャーロットにガンを飛ばし、


「なんで急にアタシを下の名前で呼ぶんだ?」


「茜…… あなたはワタシの……」


「なんだよ? 早く言えよ?」


「おかあさ」


 ヅドン!ヅドン!ヅドン!ヅドン!ヅドン!ヅドン!


 

「シャーロット!!≪○≫≪○≫」



★京極茜目線



 アタシの前のシャーロットは崩れ落ちた。


 倒れたシャーロットの向こうのドアの所に……

 見た事ねえスキンヘッドの男が銃を持って立っている。

 スキンヘッドは倒れたシャーロットを見つめ、


≪やっと現れたなシャーロットさん…… さすがのシャーロットさんでも6発喰らったらお陀仏……≫


 スキンヘッドはアタシの顔を見て、


≪昔売ったペンダントの白黒写真と同じ顔……?≫


 サッと逃げた……


 アタシはすぐにシャーロットを抱いて、


「おい! 大丈夫か!!」


「ワタシなら大丈夫…… 聖クリへ行きなさい。 後で必ずワタシも新宿に行きますから……」


「アンタ…… アタシに流れ弾が当たらないように全部の銃弾を受けたな?」


 シャーロットはアタシの手を振りほどき、力強く立ち上がり……

 アタシの肩を強く掴んで、

「ニチャ~ ワタシはこれくらいで死にません…… 茜は先に行きなさい。 クリスチーヌを助けなさい」


 この女、あんなに撃たれたのに強く笑ってやがる……

 アンタの事は最後までよく分からなかったけど……

 こんな優しい顔だったんだな……


 アタシはランニングシャツを脱ぎ、裸になり、壁のハンガーにかけてた黒の生地に背中に金の『卍』の刺繍のスカジャンを着て、


 ジ―――――――――――


 ファスナーを上げる。

 玄関で昔からのシューズを履いて、前を向いたまま、


「先に新宿中央ビルに行ってるからな…… 必ず来いよ」


「ええ……」


 アタシは唇を噛みしめて、聖クリへ……






★シャーロット目線

 

 部屋に残ったワタシは、ケイタイを取り出し、やたらとプルプル震える指で、DNA鑑定を頼んだ若い警官に電話する。


≪trrrr trrrrr≫


「スキンヘッド……長い付き合いで悪事をしてきましたが、ワタシと卒業ですね……」


≪シャーロットさん? どうしました?≫


「あなたと、お別れの電話です」


≪え? 僕はシャーロットさんの事が好きです!≫


「ワタシも、優しいあなたの事が本当に好きでした……」


≪なら! なんで別れるんですか!≫


「ワタシは銃で撃たれ…… もう死ぬからです」


≪誰に撃たれたんですか!! 今どこにいますか!!≫


「今からワタシの言う事を録音してください。 こんなワタシを好きになってくれたあなたに…… 最後に手柄をプレゼントしたいんです……」


≪そんな……≫


「録音しましたか? 早く……録音しなさい……」


≪はい……グス≫


「今ワタシを撃った犯人は風間ヨシトモ、東京都の亀戸の出身、身長182センチ、髪型はスキンヘッド。 この男は22年前、中国残留孤児二世達が集った暴走族『修羅』の初代総長で、少し前までは東京連合の幹部でした…… この男は過去にたくさんの事件にワタシと共に関与しています」


≪シャーロットさんと……?≫


「先ずは16年前、ワタシの告発により宮本晴彦と横山ツクシの二人は娘「横山直美」への殺人容疑をかけられ国外逃亡している事になっていますが…… すでに二人は16年前に死んでいます。 ワタシと風間の偽証によって国外逃亡に仕立て上げました…… 晴彦とツクシの二人を殺害したのはワタシです。 ワタシと風間で、二人の死体を山梨の山奥まで運び燃やして灰にして、銚子漁港の夫婦ヶ鼻堤防で海に捨てました。 凶器の包丁も夫婦ヶ鼻堤防に海に捨てています。 次は……」


 それから……

 ワタシと風間スキンヘッドが東京連合のトップと補佐として起こした悪事の全て詳細に話せばとても時間がかかるので…… 思い出せる範囲の一部を詳細に話した。


 これで風間スキンヘッドは最低でも無期懲役にはなるでしょう。


「嫌いになったでしょう? 怖いワタシの事を? あなたは警官ですから?」


≪グス…… シャーロットさん…… あなたは全て反省してるから僕に言ってくれたんですよね。 あなたが死ぬのは僕にとっては…… あなたがどんな事件を過去に起こしていても…… 僕はあなたのことがっ≫


 ワタシは話を遮り、


「言ってはダメです!! 録音してるんですから!! 絶対に言ってはダメです!!」


≪グス…… シャーロットさん……≫


「でも最後に…… シャーロットと呼び捨ててから…… 心で言って……」


≪グス… はい……≫


 ワタシは目を瞑った。


≪シャーロット…………≫


 最後の沈黙は、ワタシの心に伝わってきた…… 


「ありがとう」


 ケイタイを切った。



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