145話 タマシイの鉄警棒
京極の言葉に、広田キラは!
グシャ!!
京極の顔面に膝蹴り!
コーナーポストに倒れこんだ京極の後頭部へ、広田キラはトップロープを両手で掴み、何度もカカトで踏み付け(ストンピング)る!
京極の危機に赤銅は、
【京極!!】
リングに上がろうとするが!
後頭部をガードする京極は、
「赤銅! 来るんじゃねえ! コレはタイマンだ!」
赤銅は不安な目で、
【こんな状況で勝てんのかよ……】
この戦況に神鳥シノブ、
「勝てる…… 広田勝て…… 京極を倒せ……」
拳を握りしめる。
聖クリの生徒達は、
ΩΩ≪おい! 試合終わったのに! まだ終わってねえのかよ!?
ぞろぞろ戻って来る。
ΩΩ≪あのカカト蹴りえぐいぞ!!
ΩΩ≪キレたキラが、京極に勝てんじゃないねえか!?
ΩΩ≪マジかよ!!
広田は、幾度も的確に京極の後頭部をカカトで強く踏み蹴る。
(⦿≫¶≪⦿)「ワタシが命を懸けてる夢をバカにするな!! くそヤンキーが!!」
ΩΩ≪キラ…… こええ……
ΩΩ≪完全に殺す気だぞ……
戦況を見つめるクリスチーヌ校長は、
「京極は…… 広田の後ろに何を感じている?(・・)」
そう……
それでいいんだ広田キラ……
ヤンキーを殺す気になってくれて、ありがとうよ……
廊下に貼られていたプロレスのポスターのオメエの目はキラキラしてた。
その輝いた目はネンショ―の中で自殺した歌手目指していた財前と重なった。
だからオメエが財前の夢の分も背負ってタイマンしてると、アタシは思ってる……
強えな…… 夢ってのは……
ガシッ
アタシの後頭部の上に乗ったキラの足首を掴む。
(⦿≫¶≪⦿)「ちっ、くそヤンキー、まだ生きていたのか?」
生きてるよ。
オメエの右足首を握り潰してやる。
アタシはゆっくりと右足首を握りながら立ち上がった。
ぎゅううぅぅぅ…… ピキピキ……
京極はマックスの力で右足首を握り潰しにかかる……
#(⦿≫¶≪⦿)「足の一本くれてやる…… 京極……自分自身でワタシに殺す気で来いと言ったんなら……」
広田キラは鉄警棒を捨て!
両手で京極の顔を掴んだ!
掴んだ両手の親指は京極の両目に真下に置かれていた!
神鳥「おい! アイツまさか!?」
(⦿෴⦿)≪サミング(目潰し)だけはやめろ!! 京極の眼球が飛び出てしまう!!
パン!
京極は右足首を離し、カチ上げて広田キラのサミングを狙う両手を払いのける。
しかし、直後の広田キラは寸分も狂いもなく、瞬時に京極の右腋の下に頭を入り込め、左手で背中を抱き、右手で京極の左足を抱え込む。
(●≫¶≪●)「キャプチュード……」
広田キラはそのまま高速で京極の体を持ち上げ!
ブリッジ態勢のスープレックスで京極の体を脳天から落とした!!
ー 神鳥直伝キャプチュード(垂直落下式) ー
破壊力
★★★★★
★★★★★
★★★★★
ガン
<◌><◌>
ΩΩ≪なんだ……あの投げ技は?
ΩΩ≪速い…… しかも脳天から落ちたぞ……
神鳥「完璧だった……」
(´෴` )≪これで決まりだね……
(⦿≫¶≪⦿)「まだ終わってない…… 京極は殺す気で来いと言ったんだ」
広田キラは無理やり京極を引きずり上げると……
もう一度、右足をロックしキャプチュードで投げる!
ガン
<◌><◌>
もう一度、
ガン
もう一度、
ガン
4発目のキャプチュードの直後に、たまらず神鳥はリングに上がっていた。
広田キラと、倒れた京極の間に入り、
「もう終わりだ! オメエの勝ちだ!」
ΩΩ≪京極がケンカで負けた……
ΩΩ≪キラ恐ろしいほど強いな…… 中卒でプロレスラー目指してるだけの覚悟あるわ……
(●≫¶≪●)「どいてください社長」
「何言ってんだよ? もうケンカは終わりだよ? 広田の勝ちだ」
(●≫¶≪●)「社長のせいで京極に鉄警棒を取られました……うしろを見て」
神鳥が振り返ると、
「え?」
カチカチカチカチカチカチカチ シュポ
ガス切れかけの100円ライターで咥えたセッタに火をつけた京極茜。
「ス―――ハ―――― もう再開していいか? それにしても十中八九オメエの勝ちだったが、仲間に勝ちを奪われちまうとは? やっぱり夢を叶えるってのはそんなに甘くねえんだな」
右手には鉄警棒が握られている。
神鳥が京極に歩み、
「もうやめろって! これ以上は本当に死ぬぞ!」
ガチン!
神鳥が、京極の鉄警棒の横一線を側頭部に喰らい崩れ落ちる時……
(⦿≫¶≪⦿)「……(今だ!!)」
広田キラは、すでに飛ぶために屈伸していた、
(このドロップキックは、妹とワタシの二人で一体のドロップキック!!!)
神鳥の下がった頭の向こうからドロップキックが飛んでくる!
ー キラの閃光ドロップキック ー
破壊力
★★★★★
★★★★★
★★★★★
★
避けようの無かった強烈無比のドロップキックは的確に京極の顎を貫通するように突き刺さる。
グイ―――――
京極の薄汚れたボロボロのシューズは踏みとどまった!
京極は倒れなかった!
そのまま回転して!
ドロップキックから落ちゆく広田キラの顔面へ!
「うおおおおおおおおおお!!!! ≪≪◎≫≪◎≫≫」
ー タマシイの鉄警棒 ー
破壊力
★★★★★
★★★★★
★★★★★
★★★★★(MAX値)
(〇)☆(〇)「ぎっ」
グシャ―――ン!
全身全霊の鉄警棒の破壊力によりリングのマットは貫かれていた。
広田キラの上半身は埋もれ、リングには真っすぐな両足だけ見える。
京極はまだ左手に持っていたセッタを吸い煙を吐いた時……
目の前に、広田キラの絆創膏がヒラヒラと……
「冥途の土産に貰っとくぜ」
スッと絆創膏を左手で取り『卍』のスカジャンのポケットに入れた後に、広田キラの真っすぐな両足にガンを飛ばし、
「キラ、がんばれよ…… オメエはこんだけやれたんだ…… もう見失わねえだろ……」
背を向ける。
ファイナルマッチ決着。