144話 ドロップキック
ゴングが鳴った時、伊崎と黒河内を病院へ送った神鳥が校長の後ろに来た。
リング上では、広田キラが握手するために京極に右手を差し出していた……
それに対し、京極はズボンのポケットから鉄警棒を右手で取り出し伸ばし、握手拒否。
ΩΩ≪握手無視されてんじゃねえか!
ΩΩ≪タイマンの前に握手なんていらねえんだよ! キラちゃん!
広田キラは握手を拒否された事で、ジリジリと鉄警棒を持つ京極に低い姿勢で近づく……
リング下の野村、
(´෴` ).。o○今だ! いけ!!
野村の思いと同調するように! 広田キラは京極の足を取りダウンを奪うために低空高速タックルを!
その一瞬!
京極は広田キラの首の後ろを左手で押さえ込み! 回り込んで広田キラのバックポジションを取る!
(●)¶(●)「なっっ?」
京極の動きを見た神鳥は驚いた顔で、
「マジかよ、あの動き? なんでだよ? 京極茜はレスリングの経験者なのか?」
野村も、
(´෴` ).。o○動きはアマレスでは無いが、広田と山田の第一試合で同じ流れがあった。 おそらく見て覚えた…… まさか、それを実戦でやって見せるとは……
次の動きで試合は決す。
ガチン!!!
広田キラの頭に、京極は鉄警棒を振り落とした。
(〇)¶(〇)「ぎっ! ワタシのプロレスが……こんな形で? ありえない」
ガチン!! ガチン!! ガチン!! ガチン!!
(〇)¶(〇)「ぎぎぎぎぎぎぎ」
うつ伏せに倒れた広田キラの頭に何度も鉄警棒を振り落とす。
ΩΩ≪やっぱり……
ΩΩ≪プロレスラーじゃ全く相手にならねえ……
レンタルレフリーが京極を強引に引き離させ、
⦿⦿≪ストップ! 勝者京極! 校長ゴングを!
「はいはい(^_-)-☆」
カ~ン
ΩΩ≪そらそうよ……
ΩΩ≪実質5秒くらいか? あっけねえなあ
ΩΩ≪もう帰ろうぜ
ΩΩ≪ああ、それにしても慰問プロレス面白かったな
ΩΩ≪聖クリがプロレスに完勝だったしな
全試合が終わり、生徒達は体育館からぞろぞろ去り始める。
赤銅は迷彩のバンダナの上の目を垂らして、
【キラちゃんだっけ? 相手が悪すぎただけだな? なんてったって京極だからなあああ、さあてワタシもリングに上がって勝利のキスをしてやるかああ】
リングに向かう。
瞬殺を目の当たりにした神鳥はタバコ(キャスターマイルド)に火をつけて、
「もう新全日本女子プロレスは終わりだよ。 いやプロレスの時代は終わりだよ」
うつ伏せに倒れる広田キラの頭からリングに血が広がる。
レンタルレフリーは近寄り、
⦿⦿≪広田? 大丈夫? 意識は?
(〇)¶(〇)「大丈夫…… 問題無いです……」
広田キラは誰かに操られる糸操り人形の様にゆっくりと立ち上がった。
広田キラを介抱するためにリングサイドに上がった山田カリンに『拒否のサイン』右の手の平を出す。
ーー「広田?」
広田キラはゾンビの様に、リングの下へ来た赤銅へ歩く京極の後姿の『卍』に近づき中腰姿勢になる…… シューズの周りには頭から滴り落ちる血が……
(〇)¶(〇)「ドロップキック……」
【京極!! 後ろ!!】
「え?」
振り向いた瞬間……
≪●≫≪●≫
広田キラの高い打点の強烈なドロップキックが京極の顔面を貫くように刺さった!
カシャ
ドロップキックの当たった瞬間の写真を撮った野村と、驚く神鳥、
神鳥「広田のドロップキックがモロに当たりやがった? 京極は避けれたんじゃねえのか?」
(´෴` )≪ワザと受けたね……
京極の手から離れた鉄警棒を拾った広田は!
(●≫¶≪●)「うおおおおおおおおお!!!!」
ガチン!! ガチン!! ガチン!!
京極は頭部をガードするが!! 広田キラの追撃が止まらない!!
ガチン!! ガチン!! ガチン!!
「広田キラ? なんだそれ? オメエの夢はこの程度か?」
(●≫¶≪●)「京極!! ぶっ殺してやる!!!」
ガチン!! ガチン!! ガチン!! ガチン!! ガチン!!
鉄警棒でフルボッコにして手を止めた広田キラに対し……
京極はガードを解き、見上げてガンを飛ばし、
「オメエ…… ヤンキーを舐めてんじゃねえぞ…… 殺す気で来い」