15話 校庭のベンチ
校長は三色団子を見て、
「あなた達は、東京連合からワタクシを守る自信が無いなら、止めときなさい」
青髪⦿⦿{むむむむ…… ビビっては無いけどよ~
白髪⦿⦿{ちっ…… 今回はさすがにだわ……
緑髪⦿⦿{東京連合にはウチら北中の先輩の雷火君もスカウトされて入ってんだろ? やばすぎんよ……
アタシは三色団子に、
「根性ねえなら? 1人10万円は諦めろよ?」
青髪⦿⦿{ふん、やめたわ たかが10万で命懸けができっかよ
白髪⦿⦿{そういや東京連合て昔、たしか……
緑髪⦿⦿{昔、総長だった男は国外に逃げたんだっけ?
その時……
バスンと校長室の扉が閉まると……
ニチャ~
「東京連合初代総長 宮本春彦ですね」
すでに、ビニール袋持った金髪巻き髪の長身の教頭が入っていた。
ワインを一口飲んだだけで、すごく眠たそうな顔の校長は、教頭を見て、
「教頭は宮本春彦に詳しいはずよね…… 昔、宮本春彦が少年院に服役中から更生保護員をしていたんだから…ねむい…(-_-)」
教頭は袋から『松』と書かれた寿司織を一つ出して、校長のテーブルに置き、
「校長の分のお寿司を買っておきました。 二郎寿司の松です」
「ありがとう……ねむい…(-_-)」
アタシより背の高い教頭は、アタシの前に立って見下ろし、
「京極茜さん? 宮本春彦は、あなたと似ています……」
「あ?」
「未成年でヒトを殺しまくったところとか」
「そんな人間、別にアタシだけじゃないだろ?」
「とってもバカなところとか…… 他にもドーグがシンプルな鉄警棒とか……」
アタシは顔を上げて、教頭にガンを飛ばし、
「あ? おまえ、アタシに喧嘩売ってんのか? ぶっ殺すぞ?」
ズボンのポケットから鉄警棒を取り出し伸ばす。
それに対して教頭は、アゴを上げてアタシを見下ろしてきやがった……
ニチャ~
「ここは大衆の前だった入学式と違いますよ? 本来のチカラのワタシを……殺れるものなら殺ってみなさい……」
アタシが、右手に持った鉄警棒を振り上げると、すぐに教頭との間に、赤銅が割って入った、
「京極! 止めろって! さっき言っただろ!? 正当防衛じゃないと人は殺さねえって!!」
「ちっ……そうだったな」
教頭は、校長のテーブルの前にあるソファーに座ると、前にある長テーブルに『竹』と書かれた寿司織を置き、ペットボトルの茶のフタを回しながら、
「殺意を持つことは素晴らしいことですが、ここは校長室ですよ? 今からワタシと校長は昼食です。 あなた達も昼食に行ってきなさい」
「ぐが~ぐが~(*´Д`)zzz」
なんか校長も眠ったし、みんなで校長室を出た。
バスン……
校長室から出ると扉が閉まった。
青髪⦿⦿{私らはバイト辞退したけどさ~
白髪⦿⦿{京極は後で10万貰えんだろ?
緑髪⦿⦿{京極、なんかおごってよ?
アタシは通り道にいる野良猫をどけさせるように、鉄警棒を振り、
「三色団子、どけどけ、じゃまじゃま、しっし」
次に赤銅を見て、
「赤銅、学校の隣のお好み焼き屋に行くぞ」
「え? 結局、隣のお好み焼きか? うん…ああ…わかったよ…」
5分後……
聖クリの隣にある、小さいお好み焼き屋の前に来た。
なぜか三色団子まで付いて来てるし……
店のスライドドア開けた三色団子は、
青髪⦿⦿{京極? 席が空いてねえぞ?
白髪⦿⦿{この店、鉄板テーブル3つしかねえし
緑髪⦿⦿{けっこうなババアが、粉作ってんのかよ
すぐに食い終わった、聖クリの2年の制服(エメラルドグリーン色)の4人が、
「おばちゃん、カネ置いとくな」
「ミノリ、教室でチェリーきめようぜ」
「私はすでにあるけど、カホは持ってんのかよ?」
「売りでカネ稼いだし、購買部から買うわ」
すれ違って聖クリへ行く。
アタシは空いた鉄板テーブルを見て、
「ちょうど、席は空いたみたいだな」
ボウガン手に持った赤銅も、
「うん……」
アタシと赤銅が、空いた鉄板テーブルの丸椅子に座ると、
まだ、こいつら付いて来るのかよ?
同じテーブルに座りやがった……
青髪⦿⦿{みんな? なんにすんよ?
白髪⦿⦿{うどんのモダン焼き喰いてえな
緑髪⦿⦿{私はブタ玉のモチチーズかな
背中曲がったオバちゃんが来て、
『5人だね? 注文は?』
青髪⦿⦿{ミックス
白髪⦿⦿{う~ん… やっぱ焼きそばか? ダイエット中だし
緑髪⦿⦿{ブタ玉のモチチーズ
アタシはオバちゃんに、
「ブタタマDX」
オバちゃんはアタシを見て、
『おねえちゃん? 外人さん? DXは量が多いけど大丈夫?』
「昨日の朝から何も食ってねえから大丈夫、かなり腹減ってる」
赤銅は、
「おばちゃん…… お持ち帰りでブタ玉」
お持ち帰り? あ? ココに来て元気ないのは……そうか?
それを聞いたアタシも、オバちゃんに、
「アタシもDXを、お持ち帰りにしてくれ」
青髪⦿⦿{なんだよ?
白髪⦿⦿{京極に赤銅よ~ つれねえな~?
緑髪⦿⦿{二人とも安心しろって 自分らの分の金はちゃんと払うからよ
「うっせえは三色団子、アタシと赤銅は愛し合ってだよ、二人っきりで邪魔されずに喰いてえんだよ。 な? 赤銅?」
「あ? うん……京極が大好きだ」
ははは、赤銅の顔が赤くなってる。
青髪⦿⦿{そういう関係だったのね?
白髪⦿⦿{レズだったの?
緑髪⦿⦿{京極! 私らは基本的にノーマルだから絶対に襲うなよ! 今は3人とも彼氏いないけど!
10分後……
ちょうど1000円をオバちゃんに払って、
赤銅と、それぞれパックに入ったお好み焼きを持って店を出る。
「赤銅、どこで食べる?」
「だから、遠いところ…… ココイチかサイセリアに行こうって言ったんだよ……」
「まあ、とりあえず聖クリに戻ろうぜ?」
二人で聖クリの校門を抜けて、校庭を散策すると、ちょうどいいベンチ発見。
「おい赤銅? あそこなら、ちょうど良くないか?」
ボウガンと、お好みの輪ゴムに箸刺さったパック持った赤銅は校舎の方を見て、
「そうだな? あそこなら校舎からも離れてるし大丈夫か……」
二人でベンチに座って、輪ゴム外してパックを開ける。
「ブタタマDX~ 良い匂いだな~?」
箸を割ると……
赤銅は鼻から下を隠すバンダナを外した……
その大好きな顔でアタシを見て、
「三色団子に、ワタシの素顔を見られたら舐められるし……」
「大丈夫だって、アタシが守ってやっから」
「えっ…え…?」
・
・
・
「ちょっと京極…… こんなところで急にキスかよ……」
「怒ったか?」
「いや……別にいいけど…」
「どうした? その目?」
「もういっかい……」
校舎の屋上に、ベンチの二人を見下ろす三つ編み眼鏡……
横山直美の後ろ姿があった……