表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
147/189

141話 フェイス・トゥ・フェイス


 コーナーで倒れていた乱入者さんご……

 ぬ~~~っと起き上がる……



 目の前の伊崎を、驚いた顔で見下ろし……


【マジかよコイツ……<◌><◌>】


 リングから下り、テントウムシヘルメットを拾い、


【しょーもないタイマンと言ってすまんかった…… 邪魔して悪かったな……】


 体育館から去る。








 伊崎は赤リボンを締められた己の喉に、アイスピックをアゴの方向へ刺していた!

 そのまま首の皮一枚を引きちぎり赤リボンを前方へ!


 グイ―――!


≪なんだと!!≫


 グイ―――、プチン……


 アイスピックの刃が、赤いリボンを引きちぎった……


 この状況となってしまった今、右足が折れてる黒河内にとって最後の手段は、そのままの態勢から腕で首を絞める事しかなかった。

 赤リボンを切った直後の仰向けの伊崎は前のめりの姿勢に逃げたが、胴締めしたまま黒河内は背に乗り『胴締めチョークスリーパー』をめる。


≪しねえええええ伊崎ぃぃ……≫



 聖クリ生徒達、戦いの終わりを悟り、


ΩΩ≪さすがにコレで決まるか!

ΩΩ≪伊崎は喉も切れてるからな!



 クリスチーヌ校長は、伊崎を見上げ……


「カナエが黒河内を……(;'◌')」



 ゆっくりと伊崎の背が上がり始める……


≪ワタシが…… 引きずり上げられている……≫


ΩΩ≪すげえ…… あの態勢から立ち上がりやがった……

ΩΩ≪まるで伊崎が黒河内をオンブしてるみてえだ……




 黒河内は力が入りにくい態勢ながらも首に巻いた腕を限界の力で締め、


≪さっさと死ねええ……伊崎ぃぃ……!≫


 伊崎はキャミソールミニの両方のポケットからアイスピックを取り出し、


≪ぎゃあああああ!!≫


 黒河内の両足首を刺してこねる。


 たまらず両手を離した黒河内はリングに落ちて……


≪くそおおお……≫


 両足を使えなくなった黒河内は、立ち上がるためにリングを這ってロープに向かう。

 その惨状を見る伊崎は、


「黒河内…… 両足スクラップにされて、後頭部の骨も砕けて脳挫傷もしてるだろうな…… だけどよ、このタイマン…… オメエ一人の力で立ち上がれたら……」


 伊崎はフッと崩れ倒れた。


 レンタルレフリーはロープを掴んだ黒河内と、倒れた伊崎を見て、


⦿⦿≪伊崎、黒河内、ダブルノックダウン! 1! 2! 3!


ΩΩ≪マジか! 首を切った伊崎の方が深手だったのか!?

ΩΩ≪黒河内が10カウント以内にロープを使って立った時点で勝ちだ!!


 4!


 黒河内は必死の形相でロープを握り体を持ち上げる。


≪引きずり上がってやる……≫


 5!


 6!


≪でも……≫


 7!


≪一人で上がって何があるんだ?≫


 8!


 黒河内は倒れた伊崎を振り向き、


≪まだ聖クリで三年もある……≫


 9!


≪コイツとケンカできる時間が……ぁ≫


 力尽きた黒河内は横に崩れて倒れた。



⦿⦿≪10!!! 引き分けドロー!!



 カ―――――――――――――――ン


 ゴングを叩いたクリスチーヌは伊崎を見つめ、


「カナエ、アンタの勝ちよ…… あ?('Д') 救急車を早く呼ばないと!(>_<)」


 後ろのアメコングが、


「クリスチーヌさん? 救急車が来るまで待つより、ワタシの団体のノアで東京医療セントラルまで運んだ方が早いっすよ」


「お願いします(;゜Д゜)」


 戦い終えた二人を、新全日本女子プロレスの神鳥、アメコング、山田カリンの三人が、長テーブルをストレッチャー替わりにして車へ運ぶ。


ΩΩ≪引き分けだったけど……すげえタイマンだったぜ……

ΩΩ≪まさに聖クリ頂上決戦……




 体育館の外……


 車の運転席に乗ったアメコングは窓を開けて、外の神鳥に、


「社長、怪我人を運んできます」


「アメ頼んだ」


「ワタシの分も京極茜と戦う広田を応援してやってください、それとクリスチーヌさんの警備もお願いします」


「ああ…… それにしても聖クリのレベルを舐めていたよ…… なんて所だよ……」


「そうっすね、伊崎の方は首に包帯は巻いたけど急がないとヤバいんで行きます」


 アメコングは、窓を閉めて東京医療セントラルへ走る。






 ワタシは真横で眠る伊崎の顔を見つめる……


≪伊崎? まだ死ぬんじゃねえぞ? ワタシの高校生活がつまらなくなるだろ?≫


 返事がねえ……


 手の平を口に持っていくと息がかかった。

 ワタシは笑って、


≪ちっ、生きてやがるな……≫


 指先で鼻をツンツン触る。


≪フフフ…… 今度はちゃ~んとぶっ殺してやるからよ?≫


 伊崎の目はパっと開き、


「いつでもかかって来いよ」


≪起きてたのか? ……心配すんな? ケガが治ったらタイマン売ってやるよ≫


「おい? 今でもいいんだぞ?」


≪あ? 偉そうだな? さっきのタイマン、本当はワタシが勝ってたんだぜ?≫


「じゃあ、なんで引き分けになってんだよ?」


≪そっ、それは……≫


 ワタシは顔を逸らした……


 赤信号で車を止めたアメコングはタバコを吸いながら、


「喧嘩するほど仲が良いって言うし、オメエら? 本当は仲が良いんじゃねえの?」


 ワタシと伊崎は顔と顔を見合って、


「「そんなわけねえだろ!!」」


 あ?


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ