140話 同じ花芽の、黒い二つのサクランボ
★黒河内真由美目線
頭部含め全身にワニ皮レザーを装着したワタシは走る!
≪うおおおおお!!≫
無防備な伊崎カナエに!
― 鉄のハイヒールのミドルキック ー
破壊力
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ドン!!
≪ぎっ!! ワタシの方が先に蹴りを出したはず!? ありえねえ……≫
ワタシのミドルキックを伊崎はヒザで迎撃していた……
すぐに距離を取り、伊崎の蹴りが当たった右足の脛を触り、
≪マジか?≫
折れてる…… じゃねえか?
痛みが今になって…… すげえ……
≪いってえええ…… ぐっ……≫
ワタシは足を引きずりながら伊崎の周りを歩きながら、
≪おいおい? 隙だらけと思ったら……カウンター狙ってやがったのかよ?≫
伊崎はワタシを目で追いながら、
「開校式のタイマンでオメエにソレ(鉄のハイヒール)を喰らって歯を何本もインプラントにされちまったからな? だからソレをまともに喰らったら死んじまうって事も知ってる…… だけど来るの知ってて誘い込めば別……」
≪ぎひひひ…… シャーロットが影武者ブラックチェリー役にオメエを本命に選んで、ワタシを捨て駒にしたのも分かるぜ…… 右足が潰れて蹴りが撃てなくなっちまったら…… コレはもういらねえなぁぁ≫
ワタシは両足のハイヒールを脱ぎ、裸足になり……
ぶっ倒れたままのさんごから先端鋭利の鉄のトンファーを一本拾い、伊崎にトンファーの先を突きつけ、
≪さんごのコレを使わせて貰うぜ…… 伊崎……≫
「追い込まれて、他人のドーグを使うようになったら終わりだな? トンファーなんて誰にも使えるドーグじゃねえ」
ワタシは足を引きずりながら!
≪うっせええ! 雑魚!!≫
スッ
伊崎は、ワタシの鉄トンファーの突撃を体を90度回転させて避けた……
直後、
ガチン!!!
でっでええ……
アイスピックで後頭部を……
ガチン!!! ガチン!!!
「硬いレザーで突き通せなくても!! 効くだろうが!!」
うつ伏せで倒れても。
ガチン!!! ガチン!! ガチン!! ガチン!!
ΩΩ≪死ぬぞアレ!!
ΩΩ≪もう見てられねえ!!
ΩΩ≪でも10カウントのKO決着のみだ!! 伊崎が攻撃を止めねえとカウントが始まらねえぞ!!
クリスチーヌ校長の声が、
「カナエ!! これ以上は殺すな!!!('Д')」
クリスチーヌの声で、伊崎はピタっとアイスピックを振り落とすのを止め……
ワタシのレザーのフルマスクをのファスナーを開けてマスクを剥がすと、頭部から血がリングに広がり始める……
伊崎はワタシの後頭部を触り……
「しまった…… 殺りすぎちまったか……」
レンタルレフリーが近づいてきて、
⦿⦿≪これは酷い…… 伊崎? カウント取る?
「まだ間に合うかもしれねえから、さっさとKOを取って救急車を呼んでやりてえ…… 早く数えて決めてくれ」
⦿⦿≪分かった。 1…2…
3……
⦿⦿≪え? 今……黒河内の手が動いた…… 4……
5……
⦿⦿≪黒河内! レフリーの足を掴むな! 離せ! 6!
どうって事ねえよ…… 死んだ振りは得意だからなあ……
7……
ワタシは少年院で、殺す気の京極からも生き延びたんだぜ……
クリスマスに赤銅に後ろからドスで刺されてもな……
ワタシの脳裏に、黒河内の回想が蘇り……
8……
なぜなら…… 直美やシャーロットがなんと思おうと……
9!!
立ち上がったワタシは、未だに巻いている裸足の左足首の黒のミサンガを見つめ!
≪ワタシもブラックチェリーなんだ!!≫
ΩΩ≪黒河内が10カウントぎりぎりで! 折れた足で立ち上がった!!
ブラックチェリーは、どんな手を使ってでも勝たなきゃな!!!
ピ――――――――――!!
指笛を鳴らし、用意していた最終手段を発動する……
ΩΩ≪マスクと帽子とサングラスとスエット服の上下の二人組がリングに走って行くぞ!!
ΩΩ≪誰だ! あの二人!!
援軍の江尻と奥田、来た!
スタンガンを持った江尻と奥田は、リングに上がった途端に、伊崎のアイスピックに一蹴された!
それでいい……
欲しかったのは伊崎の背後だけ!!
すでにワタシは赤リボンを外し!
あの時(開校式タイマン)の様に! 伊崎の首に巻いて締める!
ギュ―――!
「うっ! ぅぅぅ…!」
ワタシは後ろに倒れて、伊崎の胴体も両足で締める。
― 胴締め赤リボンでのチョークスリーパーホールド ー
破壊力
★★★★★
★★★★★
★★★★★
今度は死ぬまで離さねえぜ……
「カナエ!!('Д')」
校長……
伊崎は完全にチェックメイトだよ……
校長もワタシが引きずり落してやるからな……