138話 パンデモニウム
★伊崎カナエ目線
カ―――――――――――――――ン!
自分(伊崎カナエ)が黒河内に一歩近づいた、その時!!
体育館の全ての照明が落ちた!
「なんだ?」
すぐに、二階観客席の窓のカーテンが無数の誰かに全て閉ざされた事により!
体育館は漆黒になる!
自分は身を低くして黒河内がいた方へアイスピックを構え!
「黒河内! オメエの仕業か!? 何のマネだ!!」
≪違う! ワタシは知らねえぞ!≫
音楽が大音量で流れ始める……
ドゥルルルールルー
ダ―――ン! ダダダ――――ン! ダダダダ~!
ΩΩ≪この曲は!? どっかで聞いた事があるぜ!
ΩΩ≪超つよプロレスラー! スタンハンセンの入場曲だ!!
スタンハンセンとやらの入場曲が鳴り響く中……
照明が再び点くと……
自分と黒河内は、突如姿を現したコーナーポストの上に立つ白の特攻服にテントウムシのヘルメットの、自分と黒河内を見下ろしてニヤケてる誰かを見上げ……
「誰だオメエ……?」
≪オメエ? ワタシと伊崎のタイマンに乱入か? 良い度胸してんな……≫
ΩΩ≪コーナーポストの上のテントウムシヘルメットの乱入者は何者だ!?
ΩΩ≪特攻服に天上天下唯我独尊!?
テントウムシヘルメットの女が人差し指を天井に掲げると音楽は止まり……
右手にはマイクと左手には紙切れを持ってる。
テントウムシヘルメットの女はマイクを口に持って来て、
【オレはさんご、ダンテ親衛隊長のオレが聖クリに入学して聖クリを仕切る】
さんごは校長を見下ろし、
【オメエが校長だな! これがオレの入学願書や! 受け取れや!】
さんごの投げた紙切れがヒラヒラと校長の前に落ちた。
校長は願書を手に取り見て、
「なんじゃこりゃ?(●)(●) この願書……名前が大きく「さんご」だけかい……?(`ヘ´) あのテントウムシ……幾らウチでも、こんなんで入学できるわけなかろう(`ヘ´)」
リングのマットに下りたさんごはタバコに火をつけて、
【オメエらのしょーもないタイマンを利用して、ド派手に登場させて貰ったから待たせたな? さあかかってこい…… もちろん二人一緒でどうぞ】
自分はさんごにガンを飛ばし、
「ダンテ親衛隊長さんごか? オメエは東京連合との抗争で大活躍したらしいな? そんなオメエがなんで自分と黒河内のタイマンを邪魔すんだよ?」
【有名な聖クリを完全に仕切るためにオレは来たんや…… ダンテは関係ねえ、オレの独断や】
黒河内はさんごを向いて、
≪直美はワタシの事をなんか言ってないか?≫
【黒河内の「く」の文字で出てないわ…… それと、まあぶっちゃけ……オレは聖クリのオメエら二人なんて眼中にねえんだよね……】
さんごは体育倉庫の開いたドアからリングを見ている京極とモアイを笑いながら見て、
【オレが聖クリで戦いたい女は、あそこにおる京極のみ……】
さんごはタバコを捨てて、戦闘の構え、
【さあ、さっさと始めっぞ】
直後!!
自分はアイスピックで、さんごの腹を突きに行く!!
同時に!
黒河内も鉄のハイヒールで、さんごにローキック!!
「な!?」
≪え!?≫
読み切っていた様に! さんごは前転するように二つの攻撃を避け!
直後! 自分に振り向いて!
ガチン!!
「ぶっ!!」
さんごの攻撃で、自分の顎の骨が砕けた!
裏拳!? いや違う! 鉄のトンファーの裏拳!?
たまらず場外へ逃げる!
リング上を見ると、すでにさんごが頭部まで全身レザースーツの黒河内にスタンディングでスリーパーホールドしてる……
鉄のトンファーで首絞められてちゃ……
レザーの防御なんて関係ねえ……
このままじゃ黒河内、すぐ逝っちまう……
ダンテ親衛隊長さんご…… なんて強さだ……
クリスチーヌの後ろに立つ神鳥シノブ……
さんごの一連の動きを見て……
「前転するように飛んでそのまま着地して裏拳から、もう1人にスリーパー…… あのボデイバランス……正直、プロ以上の動きだよ…… 素人のあの二人(黒河内・伊崎)じゃ到底、勝ち目なんてねえぞ……」
体育倉庫……
リングを見ている京極は冷や汗を一筋流し、
「あそこまで強くなってやがるとは……」
横のモアイは京極を見下ろし、
| ̄ 旦  ̄|≪あのテントウムシヘルメットの女を知ってるのか?
「GWの室戸で少しな」
京極はリングへ歩み始める。
|⦿ 旦 ⦿|≪行くのか京極?
「黒河内は死んでいいけど、校長を守る伊崎は死なすわけにはいかねえ…… さんごはアタシがぶっ殺す……」
ΩΩ≪きたあああああ!! 京極だああ!!
ΩΩ≪さんごに続いて京極が乱入だああ!!
ΩΩ≪たぶん京極が勝つっしょ!
観客の声で、さんごは黒河内にスリーパーホールドを決めながら向かってくる京極を嬉しそうに見つめ……
【聖クリのラスボス登場ぉぉ……】
≪ふざけんな……このケンカは……≫
【なんやオマエ? はよ死ねや……】
≪うっ……≫
きつく首を締めた。
自分は、近づいて来る京極に右手を突き出し、
「京極、来るんじゃねえ…… これ以上、自分と黒河内のタイマンは誰にも邪魔させねえ……」
「伊崎…… 勝てんのか? さんごに?」
「バカ…… タイマン邪魔されてんだぞ? 勝てる勝てねえんじゃねえんだよ…… 消えろ京極……」
自分はリングに上がる……
【伊崎~なんなんだよぉぉ…… 京極を止めやがってぇぇ……】
クソテントウムシ女は、歯をむき出しでキレてやがる……
黒河内の頭が力なく項垂れた……
死んだのか? 落ちたのか?
さんご! 黒河内の首から腕を離した瞬間!!
自分にタックルしてくる!!
が!
さんごの足首を、死んだふりしてた黒河内が掴み倒れる!
自分はアイスピックを! うつ伏せに倒れたさんごの背中の天上天下唯我独尊にブッサス!!
【ぎゃああああああ!!】
さんごは素早くローリングして場外へ逃げた、すぐにテントウムシヘルメットの頭部が現れ…… すげえガンを黒河内に飛ばしている。
【黒河内、死んだふりとかああ…… きったねえマネしやがってぇ≪❍≫≪❍≫】
自分はさんごを見下ろ、
「おい? ダンテの親衛隊長……」
【あ?】
「聖クリ知りたきゃ、上がってこい天上天下唯我独尊……聖クリを舐めんじゃねえ」