133話 聖クリ慰問プロレス開始!
午後1時前。
聖クリの体育館内に設置されたリングへ歩くポロシャツを着た老人がいた。
老人に気づいた伊崎カナエは隣に座る校長の肩を叩いて、老人を指差し、
「校長、アレ?」
老人を見たクリスチーヌは、
「なにあのオジイサン?(; ・`д・´) 認知症の人?(;´∀`) そうなら保護しないと…… カナエも付いて来て(;´∀`)」
校長と伊崎カナエは老人の元へ。
リング下に来た老人は二人に頭を下げて、
(´෴` )≪こんにちは
「こんにちは、あなたは何をしに来たんですか?(;´Д`)」
(´෴` )≪写真を撮りに来たんですよ
「写真?(;´∀`)」
その時、リングに歩いてきたレンタルレフリー(日当3万円)が老人を手の平で指し、
⦿⦿≪校長先生、この人はフリーライターの野村さんだよ
(´෴` )≪申し遅れました、週刊プロレスの元編集長の野村と申します。 神鳥さんとは昔、私が女子プロレスを担当していた時から縁がありまして。 今日は新人二人が初めての試合をするから、記念に二人の写真を撮ってやって欲しいと頼まれたんですよ
老人はバッグからカメラを取り出した。
(´෴` )≪校長先生、ここで写真を撮ってよろしいですか?
「どうぞどうぞ(´▽`)」
クリスチーヌは伊崎カナエを見上げて、
「元の席に戻ろ(´▽`)」
「ああ」
クリスチーヌと伊崎カナエは長テーブルの席に戻る。
クリスチーヌはパテックフィリップ・コンプリケーションの腕時計で時間を確認して、
「カナエ、1時よ、始めましょう(´▽`)」
「ああ」
伊崎カナエはトンカチを振り上げ、テーブル上に固定されたマイクに、
「これより! 慰問プロレスを始める! 第一試合山田カリンVS広田キラ!」
カ――――――――――ン!
伊崎カナエの鳴らしたゴングの音で、壇上横のドアが開き山田カリンと広田キラの二人はリングへ走ってリングイン。
ΩΩ≪どっちがカリンでキラだよ?
ΩΩ≪ポスターじゃ、鼻にバンドエイドの赤いコスチュームが広田キラの方だった気がする
レフリーが、
⦿⦿≪ファイ!
広田キラと山田カリンは睨み合いながら握手をした後に、距離を取り合い……
初動の広田キラのタックルを、山田カリンは広田キラの後頭部を押さえつけながらすばやく避けた後に広田キラのバックに回り込んだ。 その後、グラウンドの攻防が続く……
ΩΩ≪つまんねえな
ΩΩ≪なんで殴らねえんだ?
ΩΩ≪だからプロレスラーって総合格闘技のライジンでもボコボコにされんだよ
(´෴` )≪……
西側二階観客席の最前列では、酒を飲む狂獄軍団が、
青髪⦿⦿≪つまんねえな
白髪⦿⦿≪つまらなすぎて生徒も冷え切ってんな
緑髪⦿⦿≪早くモアイ出てこねえかな
赤銅もつまらなさそうな顔で京極の顔を見て、
「ケンカのプロ京極から見てどうだよ?」
京極は缶ビールを顎を上げて飲み干した後で、缶をグシャっと潰して、
「アイツにイライラする」
「おい~? どうした京極~? やたら厳しいね~」
立ち上がった京極は、
「ちょっと行ってくる」
「トイレか? 行ってらっしゃい」
2分後……
リングサイドの三年生が!
ΩΩ≪きょっ京極だー!!
ΩΩ≪一年は二階だろ!? なんでリングの前を歩いてんだ!?
ΩΩ≪ケイタイのカメラカメラ!
西側二階観客席最前列の狂獄軍団も!
青髪⦿⦿≪京極がリング下に!?
白髪⦿⦿≪おもしれえ事が起きるかも!
緑髪⦿⦿≪何をする気だよ!
赤銅も興奮して!
「京極! トイレじゃなくてリングかよ!」
京極はリングサイドの校長と伊崎カナエの座っている長テーブルの前で立ち止まった。 校長は京極を見上げて、
「あんた? 何してんの?( ・`д・´)」
京極は、伊崎カナエをガンを見下ろし、
「伊崎、試合を終わらせろ? そのゴングを鳴らせば終わるんだろ?」
伊崎カナエはガンで見上げて、
「NHKのど自慢じゃねえんだぞ? このゴングを鳴らしても試合は終わらねえよ、レフリーが試合を決着させるまで終わらねえ」
京極はリングを向き、ロープを掴みリングのエプロンサイドに登ると、レフリーが京極に近づき、人差し指でアッチ行けしながら、
⦿⦿≪こら! 出ていけ!
京極はレフリーにガンを飛ばし、
「赤いプロレスラーに話がある……」
⦿⦿≪試合中だ帰れ! 消えろ!
不測の事態に、プロレスを止めて腰に両手を置く広田キラと山田カリン。
汗だくの山田カリンは不安顔の広田キラの顔を見て、
ーー「どうした広田? なんでドロップキックを撃って来ない?」
(●)¶(●)「ごめんなさい」
ーー「広田に覇気が無いのは会場が冷えてるから? 新人なんだから。そんな事を気にするな」
その時、
☓☓≪うわ!
レンタルレフリー(日当三万円)が京極に胸ぐらを掴まれリング外に投げ飛ばされた。
京極はロープを抜けてリングインして山田カリンと広田キラの前に歩き、セッタ(セブンスター)を咥えて100円ライターでカチカチカチカチと火をつけてタバコを吸った後に広田キラを見て、
「キラだっけ?」
広田キラは、
(●)¶(●)「出て行ってください」
「オメエ…… 学校に貼られていたポスターと全然顔つきが違うな?」
(●)¶(●)「え……」
「プロ名乗ってんならよ? つまらねえケンカをすんじゃねえ……」
(●≫¶≪●)「プロレスはケンカじゃないです」
「なら教えてくれ…… プロレスってなに?<●><●>」
(●≫¶≪●)「この学校のヤンキーなんかに知って貰わなくてもいい……」
観客から声が、
ΩΩ≪神鳥が出てきた!
ΩΩ≪マイク持って歩いてんぞ!
セッタを吸う京極は観客の声を無視して、
「キラ? オメエ、一度もケンカしたことねえんじゃねえか?」
(●≫¶≪●)「それがなんだ…… リング上でタバコを吸うのを止めなさい」
「リングでタバコ吸われるの嫌なら、オメエが止めたらいいじゃねえか?」
京極はキラにガンを飛ばしながら、ズボンのポケットから鉄警棒を取り出し伸ばし、
「これ以上、後ろから近づいたらぶっ殺す…… ≪●≫≪●≫」
京極の背後には、背中にアルティメットと刺繍されたガウンを纏った神鳥……
神鳥はマイクをオンにして、口に近づけ、
【『卍』のスカジャンに金のボサった髪……京極茜だな?】
京極は後ろを振り返り、
「神鳥シノブ」
神鳥はガウンのポケットからタバコ(キャスターマイルド)を取り出し、咥えて火をつけて、
【京極、ハッキリ言ってオマエが正しいよ。 広田にはガッカリだよ】
神鳥、ス――――プハー――――とタバコを吹かし、
【リングでタバコ吸われるの嫌なら吸うヤツをぶん殴れば良い、リングの上じゃ何が起きても犯罪にならないからな? 例え人を殺してもな?】
神鳥は京極に顔を近づけ、
【ケンカ最強の京極茜さん、ワタシとリングの上でケンカしてくんねえかな? ワタシのシングルの試合が終わった後でいいからよ?】
ΩΩΩΩ≪神鳥が京極にケンカ売ったぞ!!
「オメエ…… アタシにタイマン売るのか?」
【もう56歳のポンコツだけどよ? 京極に挑戦させてくれよ? 私が負けたら新全日本女子プロレスは解散する。 だけどオマエが負けたら即で聖クリを辞めて新全日本女子プロレスに入団して貰う】
ΩΩΩΩ≪京極が、こんな条件受けるわけねえだろ!
ΩΩΩΩ≪なんのメリットもねえぞ!
京極はニタ~~~~っと笑み、
「おもしれえ」
ΩΩΩΩ≪え?
「だけどオメエがモアイに負けたら、そのタイマンは無くなっちまうな?」
神鳥は嬉しそうに、京極の青い目を見て、
【モアイ? ワタシのシングルの相手か? 瞬殺で決めてやるから大丈夫。 それにしても京極茜…… オメエにとって何のメリットもねえタイマンを受けてくれるなんて……】
神鳥は、京極から背を向けて、
【絶対に京極をウチに持って帰ってやる】
マイクを捨ててリングを下りた。
京極もリングを下りた。
神鳥は、リングの下でリングの上を見ていたレフリーに、
【この試合、もう無効試合にしてくれ】
⦿⦿≪ノーコンテスト! ゴングお願い!
伊崎「ああ、ほらよ」
カ――ン!
(●)¶(●)「そんな……」
ーー「広田……帰るぞ」
控室である壇上裏へ帰った広田キラと山田カリンの顔に、神鳥はビンタを何発も喰らわせている、
【オメエら!! くだらねえ試合しやがって!!】
「「すみませんでした!!」」
【とくに広田!! オメエもうプロレス辞めろ!! オメエやっぱセンスねえわ!!】
(●)¶(●)「すみません!!」
顔にペイントしたアメコングが来て神鳥と広田キラの間に割って入って、
≪社長、言い過ぎですよ。 広田はまだ若いんですから≫
【ちっ……】
その時、控室に入って来た野村が、
(´෴` )≪神鳥……ちょっと
【野村さん……?】
野村は、神鳥を隅に連れ、
(´෴` )≪悪い癖が出たようだね? それに勝手にノーコンテストなんかにして…… おたくの新人2人が可哀そうじゃないのかね? だから選手がいつも去って行くんじゃないのかね?
「……うっす」
(´෴` )≪神鳥…… プロレスもケンカも一人じゃできないんだよ?