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132話 アルティメットレスラー 神鳥シノブ


 4階の通路では、体育館の出入り口に落書きポスターを貼って帰ってきた一年生2人に黒河内が歩み寄り、


≪貼ってきたか?≫


「「はい」」


≪オメエらの名前は?≫


「江尻です」

「奥田です」


 黒河内はワニ皮レザースーツの腰のポケットからタバコ(アメリカンスピリット)の箱を取り出して上下に振ってタバコを二本出して、


≪吸うか?≫


江尻「あざっす」

奥田「いただきます」


 江尻と奥田はタバコを取り口に咥えると、黒河内はダンヒルのライターの火を差し出した。 江尻と奥田は火に顔を近づけてタバコを吸った。


江尻「ス―― 赤リボンさんってヤバい人と思ってたけど優しいっすね」

奥田「プハー ワタシら二人、赤リボンさんと同じ1-Cのクラスですけど、よろしくお願いします」


≪よろしく♪ オメエらのケイタイの番号を教えてくれよ?≫


江尻「え?」

奥田「番号すか?」


 黒河内は笑顔で二人の頭を両手の平でポンポンと優しく叩き、


≪イヤなら無理やり番号を知ることになるけどね?(^^)≫


江尻「全然嫌じゃないっす」

奥田「言いますね」


 江尻・奥田は番号を教えた。


≪そんじゃ早速、クラスメートの江尻と奥田に頼み事があるんだけどよ? 聞いてくれるか?≫


江尻・奥田「なんすか?」


 ニヤけた黒河内は手でコイコイっとして、


≪耳を貸せ≫


 耳を近づけた二人に、何かを伝えた。


江尻「ワタシ達二人が? マジで言ってんすか?」

奥田「ヤバくないっすか?」


≪はははは、拒否ったらオメエら二人をリンチで殺すだけだ≫


「「そんな……」」


≪てかよ? ヤバいも何も反則無しルールなら問題ねえだろ? 身バレするのが怖いならよ…… オメエら2人は二限目ふけて、マスクと帽子とサングラスとスエット服の上下でも買って来いよ? 金なら出してやるからよ≫


 黒河内は腰のポケットから財布を取り出し、財布から2万を取り出して江尻と奥田に差し出した。


≪釣りはやる≫


「「はい」」


≪ほらダッシュ≫


 一年生2人はダッシュした。






 12時40分。


 教頭代理の伊崎カナエのアナウスが……


≪ガガッガ‥‥‥ 全校生徒、体育館に集まれ。 三年はリングの周りに座れ。 二階の東側観客席に二年。 西側観客席に一年だ≫


 聖クリの体育館内にゾロゾロと聖クリ生徒が集まりだす。

 三年生達はリングの近くの長テーブルに伊崎カナエの隣に座るクリスチーヌ校長を見て、


ΩΩ≪お? 校長じゃん? 超久しぶりに見たわ

ΩΩ≪校長って、むちゃくちゃ金持ってんだろ? 校長が伊崎と離れたらカツアゲしようぜ


 三年生達のオオカミの様な視線を感じる小柄なクリスチーヌ校長は、


「カナエ~、ワタクシのボディーガード頼むわね(;゜Д゜)」


「ああ。 自分の試合レクリエーションの時は新全日本女子プロレスの奴らが校長をボディーガードしてくれるから心配すんな」


「うん……(゜Д゜;)」



 二階の西側観客席では、狂獄軍団が、


青髪⦿⦿≪どけどけ狂獄軍団のお通りだ!

白髪⦿⦿≪最前列の席5つ開けろ!

緑髪⦿⦿≪開けねえと京極がキレんぞ! 


ΩΩΩ≪京極さん達、どうぞ座ってください!


 二階の最前列の席に赤銅、京極、三色団子の並びで座った。


赤銅「京極、モアイを応援しなきゃな?」

京極「そうだな」


 青髪⦿⦿が足元の大きなビニール袋からサッポロの缶ビール500mmを取り出して、


青髪⦿⦿≪京極? ビール飲む?


 京極はビールを取り、

「アタシの好きなサッポロか? 気が利くな?」

 プシュと開けてゴクゴクゴクと飲んで、

「ぷっは~、昼からキンキンに冷えたビールうめえ!」


 赤銅は青髪⦿⦿を見つめて、


「カクテルある?」


 青髪⦿⦿は梅サワーの缶を赤銅に渡し、


青髪⦿⦿≪赤銅、ほらよ


「おお♪ 冷えとる冷えとる♪」

 プシュっと開けてゴクっと飲んで、

「ウメッシュ? やっぱコレうめえな?」

 

 赤銅は、青髪⦿⦿の足元の大きなビニール袋を物欲しそうな顔で見つめて、


「そん中に、菓子はねえのか?」


青髪⦿⦿≪たっぷりあるけどよ……


 青髪⦿⦿はビニール袋からイカ串お菓子の「つまんで!50本入り」を取り出し、


青髪⦿⦿≪とりあえず最初はコレから行こうぜ。 それと、モアイが神鳥に勝ったらワタシらのオゴリで《《新宿の笑・笑で祝勝会》》してやろうぜ


 狂獄軍団は酒盛りを始めた。




 慰問プロレス開始直前……


 出場選手達は体育館の幕の閉まった壇上が控室。


 第一試合に出る広田キラは体育座りで項垂れている。

 細目の山田カリンはポンと広田キラの肩を優しく叩き、


ーー「どうした広田? もうそろそろ試合なのに元気ないね?」


 顔を上げた広田キラはニコと笑い、


(●)¶(●)「カリン先輩? 緊張してただけです。 でも…もう大丈夫です」


ーー「試合が始まったら、ちゃんと集中しないとダメだよ? 大ケガするかもしれないからね?」


(●)¶(●)「はい!」


ーー「それと社長(神鳥)から伝令だよ? 広田の出る二試合は、広田のキャプチュード(必殺技)の使用は無し」


(●)¶(●)「はい!」


ーー「これから始まる第一試合は7分過ぎにワタシが裸締スリーパーホールドをかけて広田はタップだよ?」


(●)¶(●)「はい!」


ーー「広田、さあ立ちな」


 広田が立ち上がった時……



 カツン カツン カツン……

 

 近づいてくる鉄のハイヒールの歩き近づく音の方を、山田カリンと広田キラは向く……

 黒河内が二人の前に歩いて来て、


≪プロレスラ~って本当に強いんですかね? ワタシよりケンカの方は?≫


 ハイヒールと合わせて身長が181センチの黒河内は、170センチの山田カリンと168センチの広田キラを、笑みで見下ろす。


 細目の山田カリンは黒河内を睨み、


ーー「あんただれ? ここは関係者以外は立ち入り禁止だけど?」


≪黒河内真由美、ワタシは最後の試合に出るからここに来たんだよ? ワタシの試合までの間、そこの幕の隙間からくだらねえプロレスを見させて貰う≫


ーー「くだらないだって? ケンカ売ってんのかオマエ? プロレスを舐めてんなら、ワタシがケンカを買ってやるぞ?」


 黒河内は目を細めたニヤけた顔で、


≪アンタ? ワタシのケンカを買ってくれるんだ?≫


 その一瞬……


 スっと……

 後ろから、黒河内の首に腕が入った。

 一瞬で締め落とされた黒河内は力なく崩れ落ちた。


 広田キラと山田カリンは倒れた黒河内の向こうに神鳥シノブを見る。


「「社長!?」」


 神鳥は倒れた黒河内を見下ろして、


【このバカ? 自分がノールール(なんでもあり)が強いとでも思ってんの? それならよ? 背後が隙だらけじゃダメじゃねえか?】


 タバコ(キャスターマイルド)を咥えて火をつけて、一服吸った後に黒河内の顔をグリグリ踏みつけ、


【コイツにサブミッションで骨を折られる度胸があんのかよ? プロ相手にケンカなんて言葉、軽はずみに出すんじゃねえよ? バカ】


 神鳥は山田カリンを睨み、


【カリンも、こんな素人に舐められんじゃねえよ? プロだろ? あれこれ面倒なことを言う前にぶっ壊せよ?】


ーー「はい!」


【さあ試合だ。 二人とも行ってこい】


 

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