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127話 黒河内の回想⓱ 黒河内の奥の手……勝者は……


「ぁぁ……ぁ」


 もう…… ダメだあぁ……


 なんて蹴りだよ…… アバラも内臓も逝っちまってるぅぅ‥‥


「おええええ……」


 漂白の原液を飲まされて気持ち悪い……


 漂白のせいで目が見えねえけど…… 

 やっと上げれた仰向けの手がプルプルしてる……


「おえええ……誰か…水…… 水をくれ…… 死んじまう」


≪おい?≫


 うっ…… 京極の声……


≪まだ生きてたのか? 誰か水を持ってこい≫


Ω≪ああ


≪目を開けろ、水をかけてやる≫


 もしかしたら…… キレた京極が助けてくれんのか?

 んな訳ねえよな……


 目を開けると、給水機の水を逆さまにして顔に水をかけられた。


 目は僅かに見えるようになる。


≪黒河内を椅子に座らせろ≫


Ω≪ああ…… まだやるのか京極? コイツもう何もできねえだぞ?



 京極のルームメイトの外人どもに座らされる。


 京極はワタシのヒザに包丁を置いて、


≪自殺しろ≫


 マジ? 


 食堂の扉を叩く音が、


「ガン! ガン! 溶接の道具を急いで持って来い!」


 やっと刑務官達の救援きたあああ、てか遅いぞおい……


 前を見ると、


≪早く自殺しろ…… ≪●≫≪●≫ ≫


 京極は殺意の眼をワタシに向けて、手に包丁を持ってやがる……

 こりゃ救援は間に合わねえな……

 ワタシはココで100パー死ぬ……


 死んでても生きてても変わらねえ様な……くだらねえ人生だったな…… 



 だけど… なおみ……


 なんでクリスマスにワタシを見捨てたんだよ…… クリスマス……?

 そうだ……

 赤銅ヘタレに邪魔されなきゃ、京極をクリスマスの時にあのまま殺せてたのに…… クリスマスに京極を殺しておけば、ワタシが死なずに済んだのによぉぉ…


 クリスマスに…… ん? クリスマス? ……そうだクリスマスだぁぁ……


 フフフ 


 どうせ死ぬんならよぉぉ…… 一か八かに賭けるしかねえな……


 ワタシは小声で、


「京極ぅぅ…… クリスマスに頭を鉄警棒でタコ殴りにされただろう?」


≪なに?≫


 明らかな反応あり……


「オメエ……スタジオに恋人へのクリスマスプレゼント持って来てたよな?」


≪なんで知ってる?≫


「よく考えろ……? ギャラリーから引き離した方がいいぞ?」


 京極はワタシを髪の毛を掴み調理場に引きずりながら、


≪誰も入って来るな……≫


 ワタシは、京極の変化に手応えを感じてた。


「あへへへ…… うへへへ……きひひひ……きひひ」




 調理場の一番奥に運ばれた。


「クリスマスのサングラスの黒ワンピースの女はワタシだよ」


≪オメエがアタシの頭を鉄警棒でぶん殴ったのか? 殺してやる≫


「まあ聞け? ワタシが死んだらさあ、ロッカー室に入ってる遺品を片付けられるよなあ?」


≪それがどうした?≫


「この女子刑務所にオメエがいる可能性もあると思って保険をロッカーの中に用意してたんだよ?」


≪保険?≫


「オメエ、ワタシを刺した女を守ろうとして、オメエがワタシを刺した事にして罪を被ってんじゃん? あの時はワタシもオメエが犯人ってことにしてたけどよ~、ロッカーの中に真実とワタシを刺した女の特徴を詳細に書いてるんだよね~…… 名前は「しゃくどう」だよな? それも書いてるよお?」


 京極はすげえガンで見下ろしてくる……


≪オメエ… どこまで腐りきってやがる……≫


「よく考えろ? ワタシを殺してもさあ……自殺した財前は帰ってこねえよ? オメエの守りたい「しゃくどう」の人生は台無しだけど?」


 京極は包丁を振り上げて、


≪嘘つくんじゃねえ…… オメエがソノ保険の話を出すのがおせえ…… 出すならもっと早く出してたはずだ…… ≫


 やっぱ、ソコを突いて来る?

 でも……

 京極は…… ウソだと感じていてもワタシを殺せねえだろ?

 ワタシが直美を思うように、京極は「しゃくどう」が大事なんだろ?


 それに、どうせ一か八かだしな……


 ああ…… 喉が痛い……


 京極はズボンのポケットから紙切れを取り出し、その紙切れにガンを飛ばし唇を噛みしめている?


 紙切れ? なんだありゃ?


 そうか……たぶん……

 財前のヤツが京極にイジメの復讐してくれ的な手紙を渡したんだな?

 

 なら……


 ワタシは最後の力を振り絞り、仰向けからうつ伏せになり、


「京極…… 命をかけて誓う…… もう二度と弱い者イジメはしねえ……」


≪本当か? ウソだったら、間違いなくぶっ殺すぞ……≫


 キタ!!

 やったぜ!!


「もう二度とイジメはしないし、「しゃくどう」の事も誰にも言わないから…… どうか命を助けてください……」


 前から包丁が落ちる音がした。


 しばらくうつ伏せのままでいると、


【京極を抑えろ!!】


 刑務官の声……


 どんだけ半殺しにされようとも、あの状況で殺す気だった京極から生き延びる事が出来たんだ…… 


【黒河内!? 大丈夫か!】

【救急車を!】


 


 ワタシは救急隊員にストレッチャーに乗せられて救急病院に移送される。


【コレは酷い! ショック状態で痙攣ケイレンを起こしてる!】

【意識はありますか!? 病院まで意識を持ちこたえて!!】


「がっはははは!! あはははは!! 京極!! がっははは!!」


【そう! もっと笑って!】

【意識を高ぶらせて!】


「このワタシが反省する訳ねえだろ!! ワタシの勝ちだああ!!」




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