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122話 黒河内の回想⓮ 豊島区『法明寺鬼子母神堂』


≪急患です!≫


 また病院‥‥‥



≪全治一ケ月≫


 もうどうでもいいや……


≪黒河内さん! また病室でタバコを吸ってるんですか! 他の同室の患者さんに迷惑になります! 4度もルールを破りましたから歩けるようになった時点で退院してもらいます!≫


 この看護師うるせえな…‥‥




( ˙灬˙ )≪黒河内さん、また入院したんですね? 少しお話できませんか?≫


 また戸津川と若い刑事デカの二人かよ……


「戸津川さん? アンタさあ、そんなにワタシの事を知りてえの?」


( ˙灬˙ )≪はい


「分かった、ワタシの事を話してやる‥‥‥だから捕まえてくれよ?」


( ˙灬˙ )≪やっと話す気になったくれたんですね? よし、録音するからどうぞ


「初めてのセックスは9歳。 ワタシの父とヤクザの遠藤の罠にハマって借金地獄に落ちた母を買った、ヤクザの遠藤が相手だった。 そん時に口もケツもやられたわ。 妊娠中絶は10歳で経験してる、もちろん精子も遠藤……」


( ˙灬˙ )≪で?


 で?


「で? ……ってなに? 突っ立てねえで、さっさと遠藤を捕まえに行けよ?」


( ˙灬˙ )≪私が聞きたいのはクリスマスの件です


「遠藤は?」


( ˙灬˙ )≪警察は民事不介入。 そんな事より、あなたが浦岡を殺したんですよね? 自分が犯した罪を認めれば、罪は軽くなるよ?


 コイツ‥‥‥

 マジでクズだな‥‥‥

 ぜってええ‥‥‥もうコイツには何も喋らねえ‥‥‥

 



 数日後‥‥‥


 タバコが原因で、傷は治ってねえけど退院させられた。


 五反田のアパートに帰る。

 ポストにワニ皮レザースーツの荷物の不在届があったから、電話して運ばせ、黒のワニ皮レザースーツを着た。

 ビニールとは全く違う肌感‥‥‥

 汗がレザーに吸い込まれる様な一体感があった。


 土曜日だけどワタシには、これといってやる事もねえし‥‥‥

 暇つぶしに、ひさしぶりに西野の長男のケイタイに電話する。


 何回もしつこくかけ直すけど出ねえ? 


「馬鹿なヤツ‥‥‥ 電話出ねえと取り返しつかねえと言ったのにな?」


 西野の家に電話する。


≪西野です≫


 おっ? 母か? ちょうどいいや。


「健太郎君いますか?」


≪健太郎ですか? あなた誰ですか?≫


 ワタシはタバコ(アメリカンスピリット)を咥え火をつけて、


「ワタシ、健太郎君の秘密を知ってるんです」


≪は? あなた何言ってるんですか?≫


「去年、お宅の近くで火事があったでしょ? 人は死なずに済みましたけど……アレは健太郎君がやったんですよ? その時の動画もあります」


≪あなたもしかして…… 健太郎が、家のお金を盗んでいた原因の人ですね? 今から警察に連絡します≫


「それは知りませんけど、お宅のパソコンのメアド知ってますから今から健太郎のいろんな酷い動画を送りますね? 言っときますけど‥‥‥送って10分以内にリダイヤルして来なかったら、本人の住所と名前出して全部の動画をネット掲示板にバラマキます」



 10分後……



「もしもし見た?」


≪オマエいい加減にしろよ! ぶっころすぞ!!≫


「お? とうさん登場かよ~? そんなキレんなよ~? 紳士になろうぜ?」


≪俺と一対一で会え……≫


「へえ? 一対一? やっと……オマエがワタシの世界に下りて来てくれるんだ?」


≪何言ってんだオマエ?≫


「ワタシが誰か分かってる?」


≪健太郎から聞いて、だいたい察してる≫


「じゃあ今夜9時、あの時の盆踊りの場所だ……1人で来いよ?」


≪オマエ…… 本当に一人で来るんだな? 仲間とか連れて来るんじゃねえぞ?≫


「一対一の約束だろ?」


 通話を切る。


 この後……

 アイツが約束を守り、アイツが一人で来ていたら、

 ワタシは殺さなかっただろう……

 

 アイツに謝らせたかったんだ……


 アイツはワタシと血の繋がった父。

 





 午後9時10分


 月が照らす豊島区『法明寺鬼子母神堂ほうみょうじきしもじんどう


 ワタシは盆踊りの場所でタバコを吸って待っていた。


おせえ…… もう10分過ぎてるぜ……」


 その時、近づいて来る二人が見える……


「フッ…… 何が一対一だよ‥‥‥」


 無茶苦茶ガッカリした。


 一人は父の西野、もう一人はヤクザの遠藤だった。


 しばらく見ない間に、五厘刈りのデブになってるヤクザの遠藤は刺青垂れ流しの白のランニングを着ていた。


【真由美? 久しぶりやな? 噂は聞いとっで? 赤リボンやろ? ワルで有名になったな?】


「遠藤? なんでオマエが来てんだ?」


 遠藤は西野の頭を平手でパン!パン!強めで叩き、


【コイツに相談されたんや】


「なんて?」


【コイツと手打ちして、さっさと息子の動画をワシに渡せや。 真由美も五島興業ヤクザを敵に回しとうないやろう?】


「遠藤‥‥‥ 西野から幾ら貰う気だ?」


【30万や】


 ワタシはたまらず吹いた。


「ぷっ、ははははは……30万? 安っ‥‥‥」


 ワタシは西野を笑って見て、


「オマエ馬鹿か? コイツ(遠藤)は本物の極悪だぞ?」


≪おめえよりマシだろ? だから、こうするしかねえだろ?≫


 母は未練たらしく、こんな男に会いにパチンコ屋に行っていたのか‥‥‥ 

 つくづくバカな母だ。


「西野オマエ‥‥‥ 何も分かってねえし、知ろうともしねえ‥‥‥刑事デカと一緒だ」


 デカという言葉に遠藤は過敏に反応し、


【オメエ! サツ連れて来とんやないやろうな!?】


 顔を顔に接近させて来た‥‥‥


「口くせえから離れろよ、遠藤ぉぉ」


【あ? なんや真由美? ワシに立派な口を利けるようになったんやなぁぁ】


 ワタシは、ガンを飛ばしてくる遠藤にガンを返しながら、


「西野? コイツに動画が渡ったら家も奪われて、それどころかオマエはまた子供も嫁も、ワタシと母みたいにする‥‥‥ 思い出せよ? 遠藤はそういう男だ」


≪うっ‥‥‥≫


 遠藤の顔を見てるだけでキレそうなワタシは、


「ハッキリ言うけど、ワタシは西野から全てを奪う権利があるけど、コイツ(遠藤)にはねえ‥‥‥ コイツにだけはカネが流れるのは許せねえ…‥」


 西野は急に走り距離を取り、ケイタイを取りだし、


≪もう警察を呼ぶ!≫


「遠藤にカネが流れるくらいなら、それでいいよ‥‥‥」


 遠藤は西野を向いて。


【西野? オマエ覚えとけや? こんど子分連れて家に挨拶に行くからな?】


≪その時も警察呼ぶ!≫


【クソが‥‥‥ 西野‥‥‥確実にカタにハメたるからなぁぁ】


 遠藤はワタシを向き直し、


【はやく動画、渡せや】


 ワタシはケイタイを取りだし、ネット掲示板の投稿を押した。


「いまネット掲示板に西野の息子の放火動画を流した」


【あ? ほんまか?】


 ワタシはケイタイの画面を見せてURLを押す。


【うわっ‥‥‥マジでやりよった‥‥‥ アホか真由美? これじゃ1円にもなんねえやろうが?】


「オメエには関係ねえだろ? 去れ‥‥‥殺すぞ?」


【殺す?】


 また顔面を近づけて来る。


【子供の頃は駄菓子で喜ぶ姿が可愛かったんやけどなあ? 詫びに久し振りにオメエの嫌がってたケツでヤラせろや】


「タイマンならやってやる」


 ニヤリと笑った後に、遠藤は向こうへ向き歩きながら、


【オメエとはやらんけど、キレたからオメエの母ちゃんをカタにハメてやる。 すでにワシもアイツに飽きとるしな】


 もう我慢の限界だった。

 ワタシは遠藤に近づきながら、


「待てブタ」


【あ?】


「オマエ、いい加減にしろ」


 目

 喉

 睾丸⇦


 グチャ


 鉄のハイヒールのツマサキ蹴りで遠藤の金玉を潰してやった。

 オメエの精子なんていらねえしな。


【ぐえええええ!! ぶっころす”!!!】


 やっぱりタオルに巻いた柳刃包丁を隠し持ってやがった。

 ワタシの腹を刺してきたんだけど‥‥‥

 ワニ皮のレザーだよ。


【あああ!? なんだこれ! 刺さらねえ!!】


 一歩下がり、キンタマ潰れて動きが鈍い遠藤の包丁を持った右手に!


 ブン!!


 ― 鉄のハイヒールのミドルキック ー

破壊力

★★★★★

★★★★★

★★★★★

★★★★


 包丁と一緒に、遠藤の右手首から先がちぎれて飛んで行った。


【やめてくれ!! やめてくれええ!!】


「遠藤‥‥‥ ワタシがそう言っても、ケツをいつもめてくれなかったよな?」



警察「被害者すでに死んでいます」

警察「救急車を呼んで」

警察「コッチに包丁がありました。 凶器だと思われます」


 体育座りしながら、これからしばらく吸えないタバコ(アメリカンスピリット)を味わっていると、タバコを摘まんでいる右手に手錠をつけられた。

 まだ吸いたかったタバコを取られる。

 でも後悔はねえ。


警察「21時41分。 傷害致死容疑で逮捕します。 あなた名前は?」


 ワタシはサツに笑みを上げて、


「ブラックチェリー」


警察「おいふざけるな」


 ワタシは笑ったまま、


「…………黒河内真由美」


 

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