表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/189

113話 黒河内の回想➎ 東京連合副総長 ブラックチェリー


 3日後……


 12月7日の夜9時。

 渋谷の小さな喫茶店ルブルのクラシックな店内はテーブルが二つが並んで置かれており、カウンターはイスが三脚。

 カウンター席にシャーロットとスキンヘッドの二人が座ってウイスキー(アベラワーアブーナ)の水割りを飲んでいる。

 カウンター内のショーンコネリーの晩年の様な髭とU字で禿げたマスターが、一口サイズに切られたカラスミの並んだ皿を、シャーロットとスキンヘッドの前に置いた。

 


 チリン



 店のドアが開き、東京連合5代目総長の浦岡が入って来た。

 白パーカーを着た190センチ130キロの浦岡は顔も大きく、雄ライオンの様な眼と金の髪とヒゲをしている。

 浦岡の後ろには黒のニッド帽と黒のスエットの屈強な男が二人。 この二人は浦岡がオーナーをしている地下格闘技団体の所属選手である。

 浦岡は地下格闘技団体所属選手17名のうち、常に誰かを自分の傍に連れている。

 この時、浦岡はシャーロットに呼ばれた事で、地下格闘技団体の所属選手の中から、選りすぐりの二人を連れて来ていた。

 ちなみに…… 浦岡は店の外に止めてあるハコバン3台に、他の全ての所属選手15名をすぐ動ける態勢で待機させていた。




 浦岡がテーブル席に座ると、黒ニッド帽二人はカウンターのシャーロットに対して浦岡の盾になるようにズボンのポケットに両手を入れながらシャーロットにガンを飛ばす。


 浦岡は白パーカーのポケットからタバコ(キャビン)を取り出して火をつけて吸いながら、シャーロットの後ろ姿に、


【シャーロットさん? 俺を呼び出して何の用だ?】


 シャーロットは振り向く事なく、


≪浦岡、わざわざ護衛まで連れて来たのですね?≫


 座るシャーロットが浦岡の方へ振り向くと、

 盾役の黒ニッド帽の二人は一歩下がり、それぞれがポケットからバタフライナイフを出して刃を出して構える。


 シャーロットは、ニチャ~~


≪浦岡? なかなかいい盾じゃありませんか?≫


 浦岡はタバコを吸いながら、


【ミーティングとはいえ相手はシャーロットさんですからね? 護衛の一人や二人は連れ来たくなりますよ】



 ピロン


 スキンヘッドのラインが鳴り、スキンヘッドがケイタイの画面を見た後に浦岡を見て、


「浦岡? なにが護衛1人や2人だよ? オメエ……外にうじゃうじゃ兵隊を連れて来てるな……?」


 浦岡はスキンヘッドに獅子の様なガンを飛ばし、


【保険すよ…… で? 用事って何すか?】


 スキンヘッドはイスから歩き、盾役の二人の前に立ち、


「どけ、チンピラ、浦岡の前に座る」


【オメエらどいてやれ、オメエらはシャーロットさんだけを警戒してろ】


「「うっす」」


 スキンへッドは浦岡の前に座り、


「上納金をハネてんだろ?」


【知りませんけど?】


「バレてんだよ? 森本がゲロしたんだ」


【あのクソホストが? ち……】


 舌打ちを聞いたスキンヘッドの低い声で、


「オマエ? 俺に舌打ちしやがった?」


 ズボンと腹の間に隠していた銃を取り出し浦岡に銃口を向けた。


「もう一回、舌打ちしたら殺す」


【……はいはい】


「上納金をハネたぺナルティだ、次から20から40パーな?」


【無茶苦茶だろ? オメエらマジで言ってんのか?】


「それと、これからはオメエの下に副総長を置かせて貰う、オマエの監査役としてな」


【副総長だと?】



 シャーロットが、

≪ブラックチェリー、浦岡に挨拶を……≫


 ずっと、もう一つのテーブルのソファーに座っていた黒の長袖のワンピース姿のサングラスをつけた黒河内は立ち上がり、歩む。


 シャーロットを向いている盾役の黒ニッド帽の後ろを通り、浦岡を見下ろし……


「ワタシはブラックチェリー」


【ブラックチェリー? なんだそれ?】


≪素性を隠したい事情がありますので、サングラス姿でブラックチェリーなのです。 浦岡、今度からブラックチェリーからの連絡は必ず出なさい。 ブラックチェリーが会いに来た時にも拒否してはいけません≫


 浦岡は立ち上がりブラックチェリーを見下ろし、


【ブラックチェリー… サングラス越しでも感じるぜ……】


 ブラックチェリーは見上げ、


「何が?」


【俺にビビってんのがよ……フッ】


 浦岡は頭を下げて、ブラックチェリーの顔の直前でガンを飛ばす。

 ブラックチェリーは、浦岡のライオンのたてがみの様な髪をガシっと掴み、ヌ―――っと引き離せ、


「息がクソ臭いな? 二度と息できなくしてやろうか?」


 浦岡はバッっと髪の毛を掴まれてた手を振り払い、

【帰るぞ】

 黒ニッド帽二人を連れて、喫茶店ルブルから出ようとドアへ歩む途中で足を止め、


【ブラックチェリー…… 無理しやがって、足が震えてたぞオマエ?】


 ブラックチェリーも、サングラスの下の口角が上がり、


「震えてねえよ、威圧でマウントしようとするセコい野郎が考えそうなやり口だな」


 浦岡は真顔でブラックチェリーに振り向き、


【あっ? 今なんて?】


 ブラックチェリーは胸の隙間から鉄警棒を取り出し伸ばし、

「ワタシはビビッてねえぞ? なんならココでタイマンするか?」


【ひょっとしてオメエ、マジで俺を舐めてる?】


 振り向いてガンを飛ばしていた浦岡は、


 ガシャン!!!


 ドアを蹴り壊わして去った。


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ