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112話 黒河内の回想➍ 初めて


 12月4日の22時、横山直美の部屋


 

 ワタシは再びシャーロットの家に来た。

 シャーロットは外に出かけていて、今ワタシは横山直美の部屋にいる。

 部屋の中の大きなクマのヌイグルミを見ていると……


《脱いで》


 直美に、そう言われたワタシはレザースーツの後ろのファスナーを下ろし脱いだ。


《これを着て》


 そう言われたワタシは黒のワンピースを手渡されたから着る。

 直美も三つ編みを解き、黒のワンピースに着替えている。

 ワタシも赤いリボンを外した。

 二人とも黒のワンピースに着替え終わると、部屋にある三面鏡ドレッサーにワタシは誘われる。


《よく似ているわね…… でも目だけ少し違う‥…》


「確かにな、サングラスでもあれば」


《用意してあるよ》


 直美が三面鏡ドレッサーの引き出しを開けるとサングラスが2つあった。 1つを手渡されたから付ける。 直美はもう1つを付ける。

 二人で鏡を見つめる……


《これ……もう分からないよね? どっちが黒河内か私か?》


「そうだな…… サングラス外さないと分からねえな? パンプスで直美の身長を調整したら完璧だ」


 鏡を見てると温かい手が頬に触れた……


 え?


 鏡に映る直美の顔が近づいてきた……


 ずっとワタシは横目で鏡を見ていた……


 もう一人のワタシが唇を尖らせて、ワタシに口づけをしている姿を……


 直美…… なんてぎこちなくてヘタクソな口づけ…

 違う…… 教えてやる…… こうだよ……

 優しく… そして… だんだん激しく絡めるんだ…

 鏡に映る直美の体の力が抜けていくのが見える…

 そう……

 わけ分からなくらい… ずっとキスしてたいと思わせるように… 


 ずっと鏡を見ていたワタシは……

 直美のサングラスを取った… 直美もワタシのサングラスを取った。


 ワタシは直美をキスしたまま体を強く締め付ける様に抱き……ベッドに押し倒した。

 顔を上げたワタシに直美は、最初にキスして来たクセに、どういう顔していいか分からない様な顔して目を逸らしてる。 

 ワタシは、直美の頭を右手で掴み、左手で顎を触って正面を向けさせて、


「ワタシはレズじゃねえけど…… 直美ならいいよ……」





 23時半


 

 ワタシはレザースーツを着た後に、赤いリボンを付けて、

「もう帰るわ、シャーロットが帰って来たらアレだから」


 直美もパジャマを着ながら、

《真由美? 明日の夕方は、またココで会えないかな? 明日かあさん帰ってくるの遅いから》


「明日の夕方?」


 あ? そっか…… 明日の夕方は西野の妹を連れて来させる予定あるわ……


「気が向いたら色々と教えてやるよ、だから夕方にラインして来い」


 ワタシは500万円の入ったビニール袋を手に持ちながら、ドアを開けて部屋を出て階段を下りる。




 0時

 

 タクシー呼んだ後、五反田の一人暮らししてるアパート前に降りたけど……

 なんか気分良くてアパートの近くにあるよく行く、2時までやってる焼き鳥屋に来た。

 この焼き鳥屋は古くて小さいけど未成年のワタシを受け入れてくれる。


 カウンターに座るワタシに、頼んだチュ―ハイのジョッキがカウンター越しにきた。

 グッと飲む。


 うまい。


 付き出しの皮とニラの味噌炒めを食べる。


 これもうまい。


 店の白髪のジイサンの大将が、


「黒ちゃん、注文は?」


「ハツ3本と……レバー3本っいや、今回はレバーじゃなくて白レバー2本くれ、それと牛タン2本と………焼きおにぎり一つ、今回はそれで」


「はい、いつも通り全部タレですね」


「うん」


 焼きだしたジイサンが、


「いつもより注文が少ないね? ダイエット? 好きな人できた?」


「アホ、違うわ」


 ワタシはタバコ(アメリカンスピリット)に火を付けて、


「す~~ふう~~ でも…… もしかしたら、そうかもしれねえな……まさか初恋が女とは思っても無かったけどね」


 焼き鳥を焼いてるジイサンには聞こえて無かった。

 ここはちょっと恥ずかしかった。


 飲みながらタバコを吸い、すこし経って、出て来た焼き鳥を食べる。

 

「大将? やっぱココの焼き鳥のハツは安いけどうめえな?」


 オジイサンはオニギリを握りながら、


「生でも食べれるからね」


 今度、店は汚いし和式便所だけど、ワタシの行き付けのココに直美を連れ来てやろうか?

 でも直美って酒を飲めるのかな?

 でもまた、さっきみたいに……ワタシが色々と教えてやればいいか?


「おかわり」


「はい同じので?」


「次はハイボールってのお願い」


「ハイボールね? はい」


 オジイサンはワタシの飲み干したジョッキを取り、製氷機の氷を追加に満タンに入れ、トランプのジャックのラベルのウイスキー(ブラックニッカ)にサンガリアの炭酸を入れてワタシに出した。


 あ? 


 明日の夕方って、西野が妹を連れて来るんだっけ?

 明日……もう西野はいいや。


 明日は直美をココに連れて来る。


 

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